母方の祖父も酒を飲んでは、家族を苦しめた。母も酒は一切飲まなかった。だが新興宗教の布教活動にのめり込んだ。

相手を信者にする活動は、関心が絶えず外に向く。

自分の中の寂しさに向き合わないですむ。



母は、お金が膨らんでいくような世界とか宗教とかテレビの世界とか、現実から離れたことが好きだった。

実際テレビの画面を見ている時間のほうが、子どもと向き合う時間より長い。

母は心がないんだ。目の前にいる子どもは嫌いだったのかもしれない。



表出した感情を受容された経験がない。母の関心は○○の成績だけだった。返された試験問題用紙を見ては一カ所でも間違っていると怒った。絶えず満点を要求した。

「何でこんなのが、できないの。私だって簡単にできるのに、子どものあんたができないのはおかしい」

自分を絶対基準にして怒る。


『自尊心泥棒 西山明p84〜85』から抜粋



この本は、著書の方の視点と表現がなかなか鋭く、刺さるものがあるので、紹介しました。