続き! ラストです!

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では、どのようにして魔女は水晶玉を獲得するに至ったのだろうか。ここからはあくまで私の仮説である。

魔法界(この時点では「魔法」という明確な力は認識されていなかった可能性が高いが)に住む男女は、人間界の人間とあまり変わりはないが、少し特殊な力を持っていた。少しだけ時間を止めることができたり、動物と会話ができたり、体をほんの少し浮かしたりといった、少しだけ不思議な力を持っていたのである。その「不思議な力」は、魔法界に自生する植物の力がもともとの由来であり、魔法界に存在する動物たちが植物の力を取り入れながら進化していく過程で身についたものであった。魔法界に存在する植物には、願いを叶えるラブシュプリームやウィッチ―・クイーン・ハートなどがあった。また、植物が生み出す「魔法玉」や「魔法の実」を使用すれば、自分の持つ「不思議な力」を思い通りに操ることができた。だが、魔法玉や魔法の実は消耗品であり、また貴重なものであったため、身分の高い者しか使用することができなかった。

だがある時、たいへん画期的な植物が発見されたのである。それが、バラの花であった。人間界にもバラは存在するが、魔法界で独自の進化を遂げたバラは、魔法玉や魔法の実をはるかに上回る力を秘めた玉を生み出すのだ。その水晶のような美しさから。魔法界の人々はそれを「水晶玉」と呼ぶようになった。水晶玉が、魔法玉や魔法の実と大きく異なるのは。「消耗しない」点であった。1度水晶玉を手にすれば、無限に魔法を使えるのである。さらに、水晶玉を手にすると寿命が延びるのである!それまでとは比較にならないほどの、千年単位の寿命を手に入れることができるのである。当然人々は水晶玉を欲しがった。しかし、水晶玉は魔法玉や魔法の実よりもさらに貴重だったため、やはり身分の高い者が独占する形になっていった。水晶玉を手に入れた者は、自らの魔力を操るために修行をし、水晶玉と自分の肉体や精神を共にしていった。こうして、水晶玉を手に入れた者は「魔女」や「魔法使い」として、水晶玉を肉体的・精神的に我が物にしていったのである。

こうして、魔法界では身分の差が顕著に広がっていくのだが、同時に「男女格差」も生まれていった。人間界において「男尊女卑」の考えが存在するように、魔法界においても力のある男性、すなわち「魔法使い」が女である「魔女」を蔑むような風潮が生まれていった。政権は専ら魔法使いが独占し、水晶玉もほとんどを魔法使いが独占した。そこで立ち上がったのが、当時の王妃と王女であった。2人は王家であることから水晶玉を持っていたが、魔法界の大半の女性は水晶玉を持つことを許されず、貧しい生活を強いられていた。その現状を嘆かわしく思った王妃と王女は、魔法界の女性を助けるために王様や国家を裏切る決断をしたのである。2人は密かに水晶玉を生み出すバラの花を育て、種を増やした(後の「クイーンズガーデン」)2人は水晶玉を量産することに成功し、それを水晶玉を持たない貧しい女性たちに配った。だが、魔法使いたちがそれを黙って見ているはずがなかった。水晶玉を巡って、魔女と魔法使いの戦争が始まる。

この戦争は、はじめは圧倒的に魔法使いが優勢かと見られた。しかし、意外な結末が待っていたのである。

 王妃と王女の尽力により、水晶玉を有する「魔女」の数は増えてはいたが、それでも魔法使いたちの力には及ばなかった。弱い魔女たちは降参することを覚悟したが、王妃と王女が魔女たちの先頭に立って彼女らを励ました。「みんなで力を合わせれば、奇跡は起こります」と。魔女たちは2人を中心に輪を作り、水晶玉を掲げた。すると、魔女たち全員の魔力が合わさってとんでもない威力の魔法が生まれたのである。これが、魔法界初の「マジカルステージ」であった。

 このマジカルステージの結果、戦争はまさかの魔女たちの勝利に終わった。魔女と魔法使いは交流を断絶し、それぞれ王国を作った(魔女界と魔法使い界)。水晶玉を生むバラは全て魔女たちのものになった。

 これで平和な世界が実現した…はずであったが、当然大きな問題に直面することとなる。魔法使いとの交流がなければ、子孫を残すことができないのである。水晶玉を手に入れ、長い寿命を手に入れたが、命は永遠ではない。このままでは何千年後かには魔女界は滅びてしまうのである。このとき、元王妃は魔女界の初代女王として統治していたが、魔女界の将来を危惧して再び大きな決断をする。初代女王は、無償の愛を持つ者ならどんな願いでも叶えられるというラブシュプリームの花の力を使うことにした。初代女王は、魔女たちのためなら自己犠牲もいとわないほどの愛を持った人物であったから、ラブシュプリームの条件を満たすには十分であった。女王はラブシュプリームを手にし、願った。魔女界の存続を。魔女の子孫繁栄を。魔女たちの幸せを…。すると、女王と女王の水晶玉が光り出し、その光が融合したかと思うと、無数に散らばったのである。女王の姿は跡形もなく消えてしまった。悲しみに暮れる魔女たちだったが、奇跡が起きる。なんと、水晶玉を生むバラの花から、水晶玉を持った可愛い赤ちゃんが生まれたのである!!それは、初代女王が命をかけて守りたかった魔女界にとっての希望であった。その後、別のバラの花からも次々と赤ちゃんが誕生し、魔女界は繁栄したのであった。赤ちゃんを産むバラの花を人々は「ウィッチ―・ローズ」と呼んだ。そのウィッチ―・ローズの中でも、ひときわ強大な魔力を持つ赤ちゃんが生まれる青いバラがあった。それは、初代女王が魔女たちを救うために一生懸命育てた花のひとつであった。これが、「ウィッチ―・クイーン・ローズ」なのである。

一方、戦争に負けた魔法使いたちは絶望の淵にいた。住む土地を奪われ、水晶玉を生むバラも全て奪われてしまった。彼らも、魔女との交流がなければ子孫を残すことができない。魔力を持たない人間の女性と交わったところで、魔法使いの血はどんどん薄まり、もはや人間と変わらない存在に成り果ててしまうだろう。そんな時、魔女界では男性と交わらずとも子を産むことに成功する。魔法使いたちもそれを見習おうとしたが、魔法使い界にはバラはない、ラブシュプリームもない。そこで王様が目を付けたのが、バラと同じバラ類に属するナズナ(ペンペン草)であった。ナズナには、バラには及ばずとも、バラが生む水晶玉と同じような力を持つ玉(詳細は不明)を生む性質があった。魔法使いたちはこのナズナに最後の希望を込めて、マジカルステージを発動させた。すると、王様と水晶玉が1つのナズナと融合したのである。王様は結果的に、自らを犠牲にして魔法使い界の危機を救う形となった。そのナズナは「ウィザードペンペン草」と名付けられた。しかし、ウィザードペンペン草は1本のみ。魔法使いたちが努力をして種を増やしたが、魔女界のウィッチ―ローズと比べ明らかに数が足りず、魔法使いの数は減少していった。かくして、魔女界と魔法使い界の勢力図は現在のような形になってしまったらしい。



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えーー、以上になります 笑



全部読み切った素敵な人、いるのかな?笑




もうちょっとわかりやすいバージョンのやつもそのうち書こうと思います!


最後まで読んでくださりありがとうございました!!