企業が行う資金調達は、出資法という法律によって色々な規制が入っている。例えば、非上場企業が資金調達をする場合、50人以上から公募で出資してもらうことは禁止されている。ただし、私的に集める分には問題ない。

 

これが、上場企業になると、50人以上から堂々と公募ができるようになる。公募するのは企業ではなく、証券会社(金融商品取引業者)が代わりにやってくれるからだ。出資法の特例として、証券会社に限っては50人以上から公募しても問題ないようになっている。上場した方が資金調達は圧倒的にやり易くなる。新規事業をしようとして増資したいとなった場合、資金調達が容易に行えれば、その分、行動力が速くなるのは確実だ。

非上場企業であってもプライベートエクイティというファンドを通して、資金調達を行うことはできる。ただし、このファンドはハイリターンではあるが、あまりにもハイリスクな商品だ。IPOまで成長するベンチャーなんて、ほんの一握り中のひと握りでしかなく、倒産する企業の方が圧倒的に多いというのが現実だからだ。

プライベートエクイティで、上場株のように小口で多くの人から資金を集めるようなことはできない。少なくても今はできない。しかし、近い未来、仮想通貨を使うことで、小学生の小遣いからでも、プライベートエクイティ投資ができるような仕組みを作ろうという流れはあるようだ。既にクラウドファンディングという仕組みがある。資金調達の敷居は徐々に低くはなってきている。

さて、上場することのメリットであるが、資金調達がしやすくなるだけでなく、メリットは他にもある。もう1つ大きなメリットは、社会的信用度がつくというとだ。また、上場することで株価の流動性が増し、価値が上がるという点もある。他に節税メリットもある。上場株の譲渡益に対する課税には優遇措置があり、20%と低く設定されている。

 

ただし、上場にはメリットばかりではない。上場すると有価証券取引法に基づいて、有価証券届書を内閣総理大臣に提出することになっている。会社のインサイダー情報が全て公になるということになる。上場企業のことをパブリックカンパニーという言い方をするが、上場株を過半数持っていたとしても、その企業はオーナーのものではなく、所有者はあくまでも公ということになってしまう。倒産寸前の企業を国が税金を投入して救済するような事例があるが、要はそういうことだ。