中山町のコスモスを見たあと、
以前より行ってみたかった
大洲市の少彦名神社(おすくな大社)に行って来ました。

少彦名神社は全国にありますが、
こちらでは少彦名命終焉の地として建立されたのだそう。



ご祭神は少彦名命。

古事記や日本書記に登場する日本神話の神様で、
医薬、温泉、穀物、酒造にご利益があるといわれています。

大国主命と少彦名命が伊予の国に来た際、
重病になった少彦名命を大国主命が掌にのせて道後温泉の湯で温めたところ、
たちまち元気になり石の上で踊ったという話はよく知られているところですね。



古くて大きな石灯籠。



立派な鳥居の向こうには杉の木立が続き
ひんやりとした空気が流れます。






左手の小道に入ると、社務所があった敷地内に

総石造りの下宮がありました。


平成24年、拝殿に参拝出来ない人のために建立されたそうです。




傘の部分が傾いた自然石の灯籠です。

今にも落ちてしまいそうですが、
絶妙なバランスで保たれていますよ。



簗瀬川に架けられた石橋を渡り
参道を上がっていくと、



参籠殿が見えて来ました。

昭和3年に棟上げされ、昭和9年に竣工。

氏子を持たない神社であったため管理が行き届かず
平成14年、地元の有志「おすくな社中」が結成された頃には
老朽化が進み使用できない状態でした。



おすくな社中の方たちによる保護活動が認められ、
平成25年にはワールドモニュメント財団が文化遺産ウォッチに選定。

平成26年、
様々な困難を乗り越えて修復工事が完成しました。



参籠殿は、崖地や斜面を利用して建物が宙に浮いたように建てられる
懸け造り(かけづくり)構法が用いられています。





瓦には「少」の文字。



扉は自分で開閉。

観覧は自由です。



ガラス戸が三面に連続して巡らされており
窓に映る緑が美しく、開放的な空間が作り出されています。



この飛び出した床の下は、
頑丈に組まれた柱だけで支えられているとは。



参籠殿は、大洲の臥龍山荘を建築した中野虎雄氏の甥、中野文俊氏によって設計されました。

三方が崖の上にあり、規模が大きく、
床面積の9割の部分が崖に迫り出した建築物は
全国でも珍しいのだそうです。



懸け造りの部分には、桧の丸太の途中に穴をあけ、
貫(ぬき)と呼ばれる構造材を横に通して格子状に組み合わせる
伝統的な工法が使われています。



一見、木材だけで造られているように見えますが、
当初から金属ボルトが使用されるなど、
近代的技術が積極的に取り入れられました。



懸け造りの柱は極めて細く、長い所で13m。



1000本に1本あるかどうかの希少なもので、
肱川沿いの山林では発見出来ず、
既存の柱も使用しながら近い寸法の木材で復元されたのだそうです。



参籠殿より上に続く階段を登って行きます。





途中で振り返ると、先程の参籠殿。



さらに階段を上がるとその先にあるのが拝殿です。



赤い屋根はおそらく銅板葺。

拝殿と、その奥にある神殿は
昭和6年に造営が開始された歴史ある建物です。



拝殿から奥に進み、神殿の後ろを通り抜け
御加護があるようぐるりと一周。



拝殿の左手にある長い階段を登って行くと、
中腹には完全に崩壊してしまった神楽殿(中殿)。

山頂付近には御陵(本殿)が祀られており、
その当時は整備された立派な参道が本殿までつづいていたそうです。



今回参拝できたのは、下の方の神殿、拝殿まで。

御陵の祠がある本殿まではここから約1時間。

荒れた山道を登って行かなければ辿りつけないそうです。


参籠殿の隣には薬草、薬木園も整備されており、
山野草も育てられています。

秋の深まる日にもう一度ゆっくり参拝してみたい
清々しい神社でした。