http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/102/0080/10206050080021c.html

第102回国会 法務委員会 第21号
昭和六十年六月五日(水曜日)    (1985年)
    午前十時一分開議

略)

○柴田(睦)委員 私は、いわゆる統一協会の問題
 宗教法人の隠れみのをつけた韓国製の反共謀略集団であるというふうに私は考えておりますが、その親泣かせの原理運動あるいは怪しげな集団結婚、こういう問題でマスコミでも報道されました統一協会、勝共連合というのは、現在もなお一層巧妙に違法な訪問販売や正体不明の団体の名前を使って難民救済などいろいろな、いわばありとあらゆる名目の募金活動などで資金集めをして反共謀略活動に狂奔し、そしてまたそこで集めた金は教祖の文鮮明に献金する、こういうことをやっているわけです。
 彼らの違法行為の一端というのは、さきの当委員会でも明らかにされましたように、元最高幹部の一人であった副島嘉和、こういう人によって暴露されております。彼は「文芸春秋」に出たわけですけれども、「資金カンパ、歳末助け合い募金、印鑑、大理石のツボ、多宝塔の販売などによって、金集めに狂奔している実態は、宗教法人の宗教活動の域を、はるかに逸脱している。」こういう「文芸春秋」の記事があります。
 そこで、元「世界日報」幹部でありましたこの副島嘉和という人が、勝共連合の理事長であります梶粟玄太郎らによって暴力的に「世界日報」から排除された事件がありました。これは、五十八年の十月の初めです。警視庁は、昨年の六月十二日にこの事件の被告訴人五人を暴行、傷害及び暴力行為等処罰ニ関スル法律違反ということで東京地検に送付したというように、国会で報告されております。その後、東京地検はどう処置されたのか、まずお伺いします。
○筧政府委員 御指摘の事件につきましては、東京地方検察庁が警察から送付を受けまして、その後関係者の取り調べ等所要の捜査を続けているところでございます。現在、なお捜査を継続中でございまして、できるだけ早い機会に最終処理がなされるものというふうに考えております。
○柴田(睦)委員 ところで、これはもう事件が発生して一年以上になるわけです。そして、この事件というのは、当時国会でも指摘されましたように警察官が見ている前で行われた事件である、送検されて半年たっている。そういう状況の中でどうしてこんなに時間がかかるのか、お伺いします。
○筧政府委員 告訴人あるいは被告訴人等多数でございますし、事実もたしか三つぐらいに分かれておったかと思います。この事件につきましても、現在所要の捜査を続行中ということしか申し上げられませんが、一般的に申し上げまして、傷害事件等につきましてもその背景、動機あるいはその他の関係事実を調べるのに手間を要することもございますし、あるいは事件によりましては、双方の言い分がいろいろな点で食い違っておるというような場合もあるわけでございます。この事件につきましてどうということではございませんが、傷害についてなお今後引き続き捜査が必要であるということで、今鋭意捜査を継続中でございます。
○柴田(睦)委員 何しろ警察官が見ている前での事件であるということから考えてみて、そしてちゃんと告訴もなされて、五人だけですけれども、送検されている。それから一年たつ。今日までまだ捜査中。確かに、事件によっては時間がかかるのもあるかと思いますけれども、そんな事件じゃないと思うわけです。そういう意味で、これはちゃんとけりをつけるようにすべきであるということを申し上げておきたいと思います。
 この事件にも関連すると思いますけれども、今度は、昨年の六月二日に世田谷区の路上で副島嘉和という人が刃物様のもので刺されてけがをしたという事件について、これは警察が捜査をされておりますけれども、この犯人の検挙はどうなっておるでしょうか。また、この事件ももうちょうど一年以上になるわけですけれども、どういうことになっているのか、お伺いします。
○藤原説明員 御質問の事件の捜査状況でございますが、警視庁におきましては、ちょうど昨年の六月二日でございますが、午後八時四十分過ぎに事件が発生いたしたようでございますが、被害直後に一一〇番通報によりまして事件を認知いたしまして、直ちに現場付近の検索、聞き込み、その他関係者からの事情聴取などを進めているところでございますが、目撃者などの発見も困難な状況にございまして、引き続き容疑情報の収集など、必要な捜査を現在継続しておるという状況でございます。
○柴田(睦)委員 そうしますと、犯人のきっかけがない、いわば迷宮入りになるような捜査状況ということでしょうか。
○藤原説明員 昨年来、強力な捜査を続けておるわけでございますが、現在の時点では、なかなかこの犯人に関するような情報その他がないという段階でございます。
○柴田(睦)委員 重大事件ですから、やはり厳重な捜査を要求しておきます。
 警察庁の方はもう結構であります。
 次の問題ですが、これまで、国際勝共連合、統一協会、インチキ的な資金集めの数々が当委員会でも取り上げられてまいりました。四月二十九日の共産党の「赤旗」では、さらに新しい手口が使われていることが暴露されております。「赤旗」によりますと、統一協会の直属組織であります一心病院、これが事実上の主催者でありながら、このことを隠して、「ガン予防友の会」という、そういう名称の団体をつくって、全国縦断マラソンなどのイベントを企画いたしまして、これもやはり資金集めをしているわけです。きょうは詳しく触れることはできませんけれども、「ガン予防友の会」というのは、がんの超早期発見が可能になったとか、ついにがんの予防が可能になったとか、これはもう独禁法に違反すると思われるような誇大な宣伝をして集団検診を進めるという悪質な行為をしております。この中心人物というのは、一心病院の副院長であって、ホリスティック・メディカル・クリニックという病院の院長でもあります大林常雄という人物で、これは本名は小林常雄というのですけれども、文鮮明の指示によって大林と名乗るように指導されたと言われる男であります。こういう点から見まして、これは統一協会ぐるみの詐欺行為と言っても決して言い過ぎではない、組織的悪徳医療であるというように私は思います。彼らは、この方法で資金集めをするために、マスコミの利用を図りまして、朝日新聞やNHKなどを通じて「ガン予防マラソン」と銘打ったチャリティーマラソンの報道をしてもらいまして、がんに苦しむ国民をだまして、不当な寄附などの名による金集めをしてまいりました。
 幸いにして、「週刊文春」の記事から見ますと、「朝日新聞」は、背後に統一協会があるということがわかった、それで取材を控えたとしてキャンペーンを現在中止したということであります。
 NHKにつきましては、昨日私、直接担当者にただしましたところ、「赤旗」の報道もあって調べたところ、やはり不透明な部分もあるので、今後この問題については報道は差し控える、こういう回答でありました。これらのマスコミの措置は、報道は公正を期さなければならないという点から見ますと非常に適切な措置であったと思うわけであります。この問題は根が非常に深いし重大な問題を含んでおりますので、いずれ機会を見てたださなければならないと思っておりますが、きょうは問題の指摘だけにとどめておきまして、こういう事実があるということも、大臣、ひとつ念頭に入れておいていただきたいと考えます。
 さらに、今度は四月五日、アメリカのカリフォルニア州レッドランド市で日本人統一協会員が訪問販売中に殺害されるという事件が発生しております。事件の概要につきまして外務省が把握している事実をまずお伺いしたいと思います。
○池田説明員 御説明申し上げます。
 私ども、米国カリフォルニア州のサンバーナディノ警察署から得ました情報によります事件の概要でございます。
 事件は、四月五日午後八時二十分ごろ、サンバーナディノ市のグリーンスポットという通りで、通りかかりましたトラックの運転手が若い東洋人と見られる女性の死体を発見した。所持品とか服装から身元調査したところ、捜索願が出ていた小松真弓さんであることが四日後に判明した。それで、この方は統一協会に所属しておられまして、昨年秋に渡米され、四月五日、同教会の資金寄附金集めの一環としてイースターエッグを売るために仲間数名とともにレッドランド市に到着、同日午後六時三十分ごろ一人で戸別訪問した訪問先で容疑者デービッド・スプーナーという人の宅内に引っ張り込まれまして、ライフルで頭部を殴打されて殺害された。その後、容疑者は車で死体を運び出し、先ほど申し上げました路上に遺棄した。それで、容疑者は四月十日、身元が判明した次の日でございますけれども、逮捕され、婦女暴行及び殺人罪で起訴され、現在留置所に収容されておりまして、裁判は今月の六日に開始の予定。これが私ども、警察署から聞きました事件の概要でございます。
○柴田(睦)委員 それではもう一つ尋ねますが、この被害者の遺体引き取りの関係については何らかの措置がなされておりますか。
○池田説明員 御説明申し上げます。
 私ども、四月十一日に現地総領事館を通じてこの事件の事実概要をアメリカ側に照会いたしまして事実を確認いたしました。その段階で、遺族の方々が至急現地に赴きたいということでございましたので、私ども、旅券の緊急発給を行いますとともに、現地の総領事館の方にも連絡をいたしまして米国の入国査証を早くとれるように側面的に協力するとともに、遺族の方々が現場に行かれたり、それから遺体の処置をされる等のための側面的な協力をさせていただいた、こういうことでございます。
    〔森(清)委員長代理退席、委員長着席〕
○柴田(睦)委員 おっしゃいましたように、結局事件の発端は統一協会の訪問販売、在留資格の点から考えてみましてもアメリカの法律にも触れているはずだと思いますが、いわば違法な訪問販売、これが事件の発端になっていると思うわけです。言われました小松真弓さんはそう言う点では統一協会の犠牲者でありますし、これをやらせた統一協会の責任は極めて重大だ。アメリカまで行ってやらせている、そしてこういう結果を引き起こす、協会の責任は非常に重大だと思うわけです。
 統一協会の方では自民党の代議士さんも中に入られて善後策を講じておられるやに聞きましたけれども、問題は、宗教法人という名前に値しない、こう断言できると思いますが、この統一協会に対して、反共集団であるために数々の犯罪行為が黙認されるようなことがあってはならないし、やはり犯罪に対しては政府は厳しく対処することをやらなければならないと考えます。この統一教会の問題につきましてはもう過去十年ぐらい前から国会の場で、社会党の委員の方また共産党の議員、合わせますともう数十回取り上げられております。そして、その中では本当に数々の犯罪行為が重ねられている事実が指摘されていながら、今日なお一層それがひどくなっている。こういう宗教団体はほかには類を見ないというふうに私は見ます。そういう点から、
私は、この統一協会がまさに宗教団体に値しないということを現実に示しておりますし、解散させるべき団体であるとさえ考えるわけであります。世界のキリスト教会などでも宗教団体とは認められないという声明を発表しております。現にアメリカには文鮮明自身が懲役刑で収監させられているという事実があるわけです。
 外務省が今言われました事件が発生いたしまして、被害者父母の会には、娘さんがアメリカへ連れていかれて音信不通になっているという符崎市の方からの連絡を初め多くの父母から、息子や娘の安否を気遣って、居所を知りたい、会わせてほしいが何とか手は打てないか、こうした問い合わせが殺到していると聞いております。ちなみに、行方不明になっている間に精神異常となった事例、統一協会の修練所で殺害されたといわれる事例、過労で死亡した事例、過去のこういうものを挙げますと本当に限りがないわけであります。原理運動被害者父母の会で判明した分だけでも昭和四十二年から現在までで二十件の死亡者が出ている、こう発表されているわけです。
 そこで、私、法務大臣に本当にやってもらいたいのですけれども、このように多数の死者、精神異常者が出ております団体につきまして、いつもこの問題が出ますと、宗教法人であるから、こういうことを言われますけれども、宗教法人であるということで逃れないで、本当に文部大臣などとあるいは関係機関とも協議していただきまして、この団体あるいはまたそこから出てくるいろいろな人権じゅうりんの問題、犯罪行為、こうしたものに対して厳正な措置をとっていただきたいというように思います。その点いかがでしょうか。
○嶋崎国務大臣 お尋ねの件につきましては、事実の把握状況につきまして警察その他で調査をしておられるのが実情であろうというふうに思うのでございますが、これらの調査の結果、仮に犯罪に関係のあると思われる事実が発見された場合には、捜査当局とよく連絡をとりまして適切に対処していくことが必要であると思うのでございます。また、人権侵害の事実があるというようなことがある場合には、そういう意味でも人権擁護のためにもいろいろな意味で十分な調査を進めてまいりたいというふうに思う次第でございます。
○柴田(睦)委員 やはりこの問題というのは本当に全国各地にあるというように思います。
 私の事務所が千葉にありますけれども、千葉の事務所にもやはりこの問題で、何とか力をかしてほしいということで多くの人から相談が寄せられます。恐らくこの問題に取り組む議員さんのところにはそういう相談が集まっているというように思います。まあ私が経験した例からいいますと、娘が統一協会に入って新潟から千葉に連れていかれたので、連れ戻したい、力をかしてくれ。また、千葉の駅頭でアンケートでつかまって、それからビデオセンターへ連れていかれて原理教に入った、親の知らないうちに退学届を出して行方不明になった、これは未成年の短大生の両親からの話です。また、千葉大医学部の女子学生の両親から何としてもこういう世界からやめさせたい、本当に深刻な訴えを聞くわけです。
 今言いました三つのケースというのは、いずれも未成年のときにつかまって要するに洗脳されてしまったケースであるわけです。勧誘の手口、これも全く同じであります。駅頭でのアンケートで接触してビデオセンターに連れて行って、何回か通わせる、その後修練会に参加させ本格的な洗脳を行っている、これは共通して言えます。この国会でも十年余にわたりましてもう何十回か当委員会の質疑が行われまして、そこで明らかになって、おりますように、統一教会というのはほぼ監禁状態の異常な雰囲気の中で青年を洗脳して全く別人格の人間につくり変えております。政府の答弁は、宗教法人ですから憲法上の問題がありますから、こういうことになるわけでありますけれどもも、この統一協会というのは、その実態を本当に調べてみれば、その実態を底の底まで洗っていけば、私が指摘しておりますように、
決して宗教法人と呼べるような団体ではないと思うわけであります。
 きょうもこの議員会館の会議室で全国原理運動被害者父母の会が「人権を剥奪された「統一協会信者を思う親の抗議集会」」を開いております。集会の案内では、「朝日ジャーナル」「文化評論」「東京新聞」など一連のマスコミで信者の実態が邪教として取り上げられ鮮明になったと指摘しておりまして、洗脳で良心、知性を喪失、非人間的となる。インチキ募金、詐欺商売を信仰の自由と表現する。信者はホー、レン、ソウ、これは報告、連絡、相談、これをやらされる。その義務を負って、自主性をなくし、操作されている。それから、健康保険もなく社会保険もない、そういう中で働かされている。生命、結婚の自由もなく、人権は剥奪されて、早朝から深夜まで働きずくめで、したがって、これはもう労働法から見ても法違反、そして住居も不定という状態。肉親との交流がなくて精神的に非常に切迫しておる。いろいろと統一協会に引き込まれた息子、娘自身が人権を剥奪され、違法行為を重ね、生命まで犠牲にしいるその事実を明らかにして、親の側も、家庭が破壊され、本当に親の側の精神的苦痛もはかり知れないものがあることが訴えられております。この会に寄せられたものだけでも二十人以上の死者があって、精神異常者が多数出ていることを先ほど指摘しました。
 ここに一枚のカードがあるわけです。これは誕生カードですけれども、表は文鮮明夫妻の写真、裏には「祝誕生日 死んでも信じ、死んで滅びるとしても信じて滅びよう。 み旨の道」、こういうようになっております。こういうものを見た親は本当にどんなに心配するか。これはもう大臣もその両親の心配は御理解できると思うわけであります。被害者父母の会の願いは、このような反社会的な団体が消滅し、息子、娘がもとどおりの健全な心身を持った人間に戻るということであるわけです。当面の切実な願いとして、本人と連絡をとって会いたいという親と会えるようにする。この会いたいという親の感情が満たされるということが必要であると思います。そういう点で、法務省の人権擁護局にもやはり多くの相談が来ていると思いますけれども、この件数と処置について、ちょっと時間がなくなりましたので、ひとつ簡潔に報告願いたいと思います。
○永井(敬)説明員 先生御指摘のように、啓発機関である人権擁護機関がこの問題にどこまで入れるかというのは難しい問題がございますが、現在人権擁護局では、入信者の父母の方々の御相談を受けまして、入信者と会いたいという要望につきましては人道上もこれはできる限りの努力の必要がある問題ととらえておりまして、東京法務局を窓口にしてその仲介の労をとっておるところでございます。最近の数字を申し上げますと、昭和五十六年八件、昭和五十七年八件、昭和五十八年五件、昭和五十九年十九件、それから、ことしに入りまして現在五月末日まででございますけれども、八件という取り扱い件数が出でございます。これらのものにつきましては、一応入信者と父母の方との面接と申しますか、意思の疎通は図られておるというふうに聞いてございます。
 なお、この窓口につきましては今後も持続いたしまして、人道的な見地からできるだけ父母の方と入信者の方とが連絡がとれるような措置を取り計らっていきたいと考えております。
○柴田(睦)委員 時間が参りましたが、ともかくこれは調べれば調べるほど重大な問題であります。そういう点で、ひとつ大臣に、決意を持って人間を守っていくという立場で取り組んでいただくことを強く要望いたしまして、終わります。
○片岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十一分散会

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11. これが『統一教会』の秘部だ

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