〈統一教会から離脱する苦しみ〉
統一教会をどうやってを離れたかっていうと、まず、教会の礼拝とか集会に行かないということから始めました。 次はできるだけ統一教会についての本、統一教会の真実についての情報を集めようとしました。どんなに文鮮明一家、統一教会が経済的に、堕落しているか、から初期の文鮮明がどんなひどい女性関係を持っていたか、というふうなことです。
知識は力であり、自由です。力と自由を私たちに与えます。こういうふうにして実態を知ってくるとまず起こってきたのは、本当に激しい怒りの感情でした。統一教会と、文鮮明に対する。
人にもよりますけども、こういう種類の怒りを何ヶ月も、人によっては、年単位でおさまらない。そういう強い怒りを感じました。このくらい騙されたということを知ってしまうと、怒りというのは、ちょっとやそっとではおさまらない。特に年配の最初から一生懸命やっていた人達は、統一教会を離れても、食べていけないんですね。本当に強い怒りを感じている。
次に思うようになったのは、私はこういうことを本当に聞いてくれる人を見つけたい。カウンセリングをしてくれる人、或いはとにかく自分が普通だったら言えないようなことを経験してきたわけですね、それを聞いてくれる人を、私は、探しました。
この頃はアメリカでは、洗脳に対して逆洗脳、ディプログラミングがあったんですが、私も両親もそういう人の世話にはなりませんでした。一生懸命自分達のことを聞いてくれる人、そういう人は大事に思いましたけれども。ところが統一教会はその程度のことを私や両親がしているだけで、彼女達は逆洗脳を受けているんだと非難をした。
そうこうするうちに大学時代に今の夫と出会った。22歳で大学4年生。2年位お付き合いしてから、94年に私は結婚しました。統一教会とは何の関係もない大学生として出会った相手です。そして、今では子供が2人います、男の子と女の子。
最初は私は自分にこういう人生を歩ませた両親にも怒りを感じていました。しかし、段々とこう思うようになったんです。やっぱり親子関係も癒していかなければならない。それからそういう恨みの感情だけでは、新しい人生は、やっていけないと私は思うようになりました。
私はこんなふうにして、皆さんの前でお話をしたり、色々と書いたりするようになったのは、個人的にいつまでも文鮮明に怒りを感じるとか憎んでいるっていうことじゃなくて、できるだけ、多くの人達が統一教会の正しい情報を知るほど、統一教会に入る人は少なくなっていく、統一教会の力が弱まるだろうとそう思ってるわけです。私は今では、文鮮明個人に怒りを感じるとか、もうそういう状態ではありません。
私がこういうふうに勇気をもって今日ここだけではなくて、アメリカでも、色々書いたり、お話したりできるようになったもう1つのきっかけは、「わが父文鮮明」文藝春秋社から出してる、あの、文鮮明の息子のドラッグと暴力でめちゃめちゃに息子に虐待されて、離婚した、子供と1緒に逃げ出した彼女のあの手記、彼女がああいう手記を書いたということもとても私を勇気づけてくれて、私はこういうふうに、公の場所で話すことができるようになりました。
とにかくあまりにも多くの人達が統一教会で苦しんでいる。死んだ人もいっぱい、日本人だけじゃなくて、ヨーロッパのメンバーで死んだ人達もいるからです。だから私がこのように話をすることは意味があるだろうと思ってます。
もう「真の聖なる家族」なんてのは問題にならない。全部彼のやってることは嘘だし、聖の逆だと思います。 もう1つのことは私は誰でも統一教会を辞めることはできるっていうことの生き証人となりうるだろうということです。非常に難しいことなんですが、しかし現に私はこうやって統一教会を去ることができた。これはきっと誰にも出来ることだ。
生まれの高貴さということは、これは生まれた時の特権ですね、生まれつきの権利。だけども本当の人の価値はそれから後、その人が何をするか、によって決まるということです。
まだまだ色々お話しなきゃならないことがあったけれども、省いてしまったと思います。その点はお許しください。本当にご静聴くださってありがとうございました。
〈文ファミリーの実態〉
質問 今ホン・ナンスクさんはどうなっていますか?
ドナ 他人のことは余りたくさんは言いたくないんですが、少しだけ申し上げます。彼女のあの本が出たこと、それから彼女が公に出て色々話したことで、大勢の人々が統一教会をやめました。彼女は統一教会側からある程度のいやがらせも受けました。しかし彼女は自分のやったことは、よいことだったと、やるだけのことはやった、それで少し普通の家庭生活に戻りたいというので、ひところよりは、もっと静かな暮らしをしてます。お子さんも5人。
私と彼女、かなり仲がいいんです。彼女は勉強も好きで今一生懸命勉強もしているようです。
彼女にとって重荷は、文の息子の子供でしょう。5人を抱えてるっていうことは、彼女にとってはかなり心配の種だと思います。
あの家族の中にいればお金はいくらでもあったんだけども、今はそうはいきません。加えて、孫達をまだお金でつり戻せるんじゃないかなという思惑が、文鮮明の側にあるということも彼女は心配している。
質問 子供達について、知っていることを教えてください。
ドナ 文の子供のうちの2~3人について、ちょっとお話します。子供として私が知ってる11人か12人、もう死んだ人もいますが、それ以外に文は、他の女性に生ませた子供があります。その別な女性の子供の1人は私のとても親しい友人です。
統一教会と何の関係も持ってない。
長男のヒョウジンは今も依然として、ドラッグ、その他逮捕されたり、そんなめちゃめちゃな暮らしをしているのです。
文鮮明の子供や孫等は文鮮明っていう人物が本当にメシアだとは思ってない。だけどもとにかく、豪勢な暮らしからは抜け出せない、抜け出したくない。そういう子供が多いと思います。
文の長女の夫は、ナンスクさんのお兄さんです。だけどこの、長女の方は離婚をしている。それは信じられないということを言われるかもしれないけれども、事実上離婚してる。それでも贅沢な暮らしぶりに慣れちゃってるので、そこから離れられない。そして、そういうことはあまり公表されてないから、よくわかってない人達がいる。次男のフンジンは交通事故で死にました。
ウンジン(恩進)さん、彼女は統一教会をきちんとやめたんです。辞める前にタイガパークスと結婚して子供が2人。
タイガパークスという名前の韓国人と結婚していたんだけど、彼はもう既に亡くなっていて、その方との間に2人のお子さんがいるんですけども、ウンジンさんが統一教会をおやめになった後に、親権をめぐって向こう側が優秀な弁護士を雇ってきて、2人の子をお母さんから引き離して、取られちゃった。で今ウンジンさんは欧米の方と出会って再婚をした。新しい夫との間に赤ちゃんが生まれました、去年。
こういうことは文鮮明としては、非常に困ったことなので、一生懸命その、生活苦の中 の写真を撮ろうとしたり、色々するんです。
文鮮明の子供達は、ある意味、高学歴で自分が偉いと思っています。当然特権のところに生まれてるから、すごく傲慢な意識があり、実際そうでした。
クッチン(国進)という4男は銃砲店を持っている。それからソンジン(普進)。彼女は1回、教会を去ったんだけども、やっぱり贅沢さの魅力ね、戻ってきちゃったんです。本当に文鮮明を信じていません。
私は思うんですが、いったい文鮮明の子供達は、犠牲者なのか、或いは犠牲者を作っている側なのか、私は複雑な思いがします。
外へ行けば普通のように振るまいますけども、中ではもう、メンバーいじめたいだけいじめるという具合です。
〈統一教会内での日本の評価〉
質問 離教される前、日本の実情についてはどのように教えられ、また理解しておられましたか?
ドナ 日本の統一教会が経済的に貢献してるということは、ちゃんと聞いてました。
統一教会は日本人の人がいいところを本当に悪用していたと思います。日本人が1番長時間、1番たくさん、働いてお金を一生懸命作ってるということは聞いていました。そうしないと、それはとても、お父さん達に恥ずべきことと言われて日本人の信者は一生懸命やってると聞いていました。
統一教会では1番偉いのは韓国の信者。その次は日本人で、ヨーロッパ人、欧米人はその下だとそういうふうに露骨に言います。
文鮮明は80年代頃までの日本は経済も成長していて、いくらでも日本から、何億円でもお金が送られてくるので、非常に日本に対して覚えが良かった。ところが今はデフレになって、日本からの入りが少なくなってきているんで、もう手段なんか選ぶなと、どんな悪辣なことをしてでも、もっと儲けろというふうに今言いだしています。
文鮮明は1920年生まれですから、日本語もできるんです。日本に来たこともあります。日本人の言葉がわかる、だから彼は日本人を操るのが上手なんだと思います。統一教会の非常に年長のリーダーたちも同じです。日本語を使って日本人をどんどん操れる。
日本は朝鮮に対して、戦前ひどいことをしていた。そういうことについて、韓国の年配の人達は今でもそのことに対して怒りを持ってる。だからお前たちは韓国のために尽くすのは当たり前だと。
そして韓国の統一教会の年配のリーダー達が、日本について非常に恨みを持っていることあったんですが、それだけではなくて、日本は近い国だという意識もあって、韓国のリーダー達の両面感情があるようです。プラス1番問題なのは、文鮮明は相手によってしゃべることを変える。韓国人にはこういうことをしゃべる。日本人に対しては、韓国では日本人はもうとんでもない奴らだと言うんですが、日本人に対してしゃべるときには、それだけではなくちょっと誉めることもやる。西欧の統一教会メンバーにしゃべるときには、また別のことをしゃべる。これが文鮮明のやり方です。
2男のヒョンジン(顕進)のことが出てきたんですが、彼何回か日本に来ていますけれども、彼は平和なんとか基金を作るんだから、何億円集めろとか、そんなことを日本人に血判で誓わせた。そんなこともさせています。
〈信者の家族や2世信者へ〉
質問 もう子供は諦めましたという親や、子供が行方不明になっている親をどう元気づけていったらいいでしょうか?
ドナ 非常に難しい問題です。あちらこちらで聞かれるんですが、とても難しい問題だと思います。
2世として生まれた子供の場合とそれから統一教会の信仰を持って入った1世の場合とは同じ若者でも違うと思います。2世はわりあい、教会をやめちゃう。だけども、統一教会を、クリスチャンに改宗するみたいに、本当に改宗したつもりで、統一教会に入った人達は非常に難しい。なんかこう、文鮮明先生との関係で、特別霊的な体験をしたというふうに思い込んでる、新鮮な思いで統一教会に入った信者の若者達には多い。
それに加えて、以前よりも統一教会は布教の仕方がしつこくなってきています、チョンピョンに大勢日本人を連れてって徹底的に洗脳するでしょう。
1つ言える事は子供がなんで統一教会に行っちゃったんだろう、自分たち親のどこが悪かったんだろうとかいって、自分を責める親御さん達がおられますが、それは絶対そうじゃありません。親が悪いから行くんじゃないです、間が悪くて行っちゃうんです。
もう1つ、どんな親でももうだめだと諦めることはいけません。
もしアドバイスできるとすれば最初に我が子が入った事実を知ってからあんまり子供に対して否定的に批判的にならない。とにかくコンタクトをずっと取りつづけているということが大事だと。
もう1つは子供に対して批判的な態度をとらないで、長くコンタクトしていると、暮れなどの期間に帰ってくるようなことがあります。そういうときに、話し合いによって、いわゆる強制なんかしないで、なんとか話し合いで。この機会に、あなたに対して、たくさんの情報を与えてくれる人と会ってくれないかとか。皆さんのような。そしてその時嫌なら、強制しないけどもという言い方で、子供に話を持ちかける。
ずっとコンタクト続けて、チャンスがあったら、納得ずくでカウンセラーに会ってもらって、情報を提供するっていうことです。リーダー格の人や文鮮明の実態、私生活がわかりますね。まっとうな人ほど神格化していて、それがわからない。だから、そういうことについての情報を提供できる余地があるわけです。
ひどい洗脳を統一教会がしてるとは言えないかもしれないけれども、統一教会は一種の集団の力学を使って、そしてできるだけ本人を内部だけに留めておいて、外の情報、或いは本当のこと、統一教会、文鮮明の、そういうことはなるべく知らせないようにしてメンバーを管理していると思います。
こういうカルト問題、統一教会を含めて。こういうことがもっと大勢の人達がこれは誰にでもあり得ることだとわかってくれば、統一教会を抜けようと思って抜けた人に対して、社会が寛大になれるだろうと思います。とても大事なことだと思います。
質問 2世の信者に対しての救出のあるべき姿について、考えを聞かせてください?
ドナ 2世はさっき言ったように、統一教会をやめるケースが多い。ただ問題は恥ずかしくてそのことを誰にも言えない。いつまでも言えない。だから自分だけで後ろめたく、過去に統一教会だった、統一協会(統一教会)の2世だったってことを、隠しつづけてる。これは精神衛生上いいはずがありませんね。
2世はやめる率は多いって言ったんですが、逆に心の傷も持っているし、それから経済的にも、統一教会から出たら何もないわけですから、非常に強い怒りを統一教会に対して持つ場合が多いです。しかし、時間と一緒になんとか、回復していくのは、できるだけその統一教会の2世だったということはまあなかったかのようにしようと思っていても、やっぱりその事実はきちんと整理しとかないと、よくない。
2世で、統一教会をやめた人たちは中で色んな騙された経験を持ってるから、普通の人が近づいていって何か役に立ってあげようと思って言っても、なかなかそれを信じたり、受けようとしません。だからアルコールでごまかしちゃだめじゃないのなどと言ってあげてもね、そのことではなかなか変わらない。やっぱり自分自身で、そういうことを克服していかなきゃならない。アルコール中毒の患者と同じように、自分が自分でその問題を克服しようと、思う気持ちにならないと本当には立ち直れないです。
もう1つは、それぞれの本人達の個性、それから家族、特に両親の性格によっても、問題がきれいにいく場合と問題が残る場合があると思います。普通の家庭で子供が統一教会行っちゃったというのとちょっと違いますね。その親の抜けた子に対する関係、こういう関係が2世の場合にはある。