この間、たまたまテレビをつけたら、松本サリン事件の容疑にかけられた、サラリーマンの河野さんという方の半ドキュメンタリードラマをやっていた。

壮絶だった。

オウム真理教の車が裁判所に向かって撒いたサリンが、たまたま自宅を通ったために被害に遭い、愛犬は死亡、家族4人が入院し、妻は寝たきりになってしまった上、たまたま物置きに写真用の薬品が置いてあったという理由だけで、警察に容疑をかけられてしまった善良なサラリーマン。 なんの確証もないのに、メディアからは犯人扱いされ、新聞には実名まで出されていた。

その後、自身も重い後遺症に苦しみながら、自白を強要してくる警察の事情聴取を受け続け、地下鉄サリン事件が勃発してやっとのことで真犯人が明らかになり、疑いは晴れた。


でも、妻は寝たきりのまま。昔のように、一緒に夢を語り合うこともできない。 そんな妻を、河野さんは「生きてくれているだけで、みんなにすごいエネルギーを与えてくれてるんだよ。がんばって生きててくれて、ありがとう。」と声をかけ励ましていた。

そんな河野さんがなかでも凄いと思ったのが、加害者である元真理教信者でサリンをばら撒いた車を運転していた加害者を、出所後、受け入れていたことだ。

映像では、一緒に温泉につかったり、庭の手入れをさせたり、妻の寝ている部屋に出入りさせたりしている様子が流れ、河野さんはインタビューでこう語っていた。

「ひととひとの信頼関係が得られれば、加害者という立場は外してもいいんじゃないですか。」


わたしには到底想像することのできない、もの凄い心身の過程を経、辿り着いた境地。

とは言え、河野さんだからできたことで、ものすごいフラットすぎるくらいフラットで。

わたしには、まず無理だなぁ。。。