本日、2026年5月8日はソラ監督35歳の誕生日

朝からスマホの通知が止まらなかった。
「ソラちゃん誕生日おめでとうございます!」
 「35歳!?見えなすぎる」
 「監督、今日はアイス何個食べるんですか?」

そんなメッセージを見ながら,イム・ソラ監督は家を出た。

「35かぁ……」
そう呟きながらコンビニで新作アイスを2個購入。 結局,片方は歩きながらすぐ食べ始めていた。

校内へ入り,監督棟へ向かう。すると廊下の途中で,アシスタントのハン・ユジンが資料を抱えながら立っていた。ユジンはソラ監督の姿を見ると,ふっと表情を柔らかくする。

ユジン
「ソラさん,お誕生日おめでとうございます」

落ち着いた丁寧な口調だった。
その瞬間,ソラの顔がぱっと明るくなる。

ソラ
「ユジーン!ありがとう!」

普段は「ユジン」と短く呼ぶことが多いソラだったが,感情が高ぶると少し伸びる。ユジンは少しだけ笑う。

ユジン
「今日は朝からかなり機嫌が良いですね」

ソラ
「だって誕生日だもん」

ユジン
「子供みたいですね」

ソラ
「35歳の子供だからセーフ!」

意味不明な理論だった。ユジンは呆れ半分でため息をつく。

ユジン
「一応言っておきますけど,今日は午後から練習ありますからね。浮かれすぎないでください」

ソラ
「えー」

ユジン
「あとアイス食べ過ぎです」

ソラ
「なんで分かったの!?」

ユジン
「袋見えてます」

ソラ監督が慌てて背中側へ隠す。
そんな様子を見て,ユジンは小さく笑った。

ユジン
「まあ……楽しそうで何よりです」

ソラ
「ユジンもあとでアイス食べる?」

ユジン
「いえ,私は大丈夫です」

ソラ
「遠慮しなくていいのに〜」

そんなやり取りをしながら,2人は監督棟へ向かって歩いていった

昼からは徳明館グラウンドへ。
選手たちはいつも通りアップを始めていたが,どこか様子がおかしい。
やたらニヤニヤしている。

ソラ
「……なに?気持ち悪いんだけど」

するとキャプテンの小谷が前に出る。

小谷
「監督,誕生日おめでとうございます!」

その瞬間,ベンチ裏からクラッカー音。

ソラ
「うわっ!びっくりした!!」

さらに部員たちが, 「監督を日本一の女に!」 と叫び始める。

「いやそれ普段のスローガンでしょ!」
笑いながらツッコむソラ

すると奥田が大きな箱を持ってくる。

奥田
「監督,みんなからです」

中を開けると,大量のアイス。しかも全部違う種類だった。

ソラ
「え,待って,天才?」 「これ一生かけても褒め続けられるレベルなんだけど」

テンションが上がるソラ

その横で妹尾がぼそっと言う。

妹尾
「監督,35歳なんだから食い過ぎると腹出ますよ」

無言でボールを投げるソラ監督。

妹尾
「痛っ!!」

グラウンドが笑いに包まれた。


その後,監督棟作戦会議室に集まった選手たち、モニターに映像が流れる。

大学2年生になった高津総一朗からのビデオレターだった。2年前の夏に引退した強打のサード。ソラ監督と毎日アイス会をするなど、ソラが最も仲良くしてきた選手の一人である。

高津
『監督〜,誕生日おめでとうございます!』
 『アイス食い過ぎてお腹壊さないでくださいね!』

ソラ
「わぁー、高津くんだ!ちょっと垢抜けた?」

監督、久しぶりの高津に大興奮

続いて映ったのは同じく大学2年生の染谷悠斗。
高津の同級生で当初はショートスタメンであったが、スーパールーキー山口の登場でセカンドにコンバートされた。

染谷
『35歳っすか。もうベテランっすね』 
『でもソラ姉はグラウンドだと相変わらず落ち着きないんで安心しました』

ソラ
「誰が落ち着きないの!!」

テレビに向かって突っ込むソラ

染谷
『でも徳明館は俺らの代で終わりじゃないんで』
 『小谷たちをちゃんと甲子園連れてってください』

その言葉に,グラウンドの空気が少しだけ締まった。

ビデオレターが流れた後,ソラは少しだけ真面目な顔を見せた。

ソラ
「35歳になってもさ,まだまだ勝ちたいんだよね」
「もっと強い景色見たいし,みんなと甲子園行きたい」
「だからさ……これからもよろしくね」

選手たちは静かに頷いた。

その直後。
ソラ
「よし!じゃあ誕生日だから今日は監督のおごりでアイス食べ放題!」

一同
「うおおおおおお!!」
「細い身体でも太っ腹だぞ〜!」

結局,最後はいつもの徳明館だった。
ソラ監督、誕生日おめでとうございます!