ドクター三上診察所 -5ページ目

「ゑひもせず…」第3巻〔会〕その10

和喜は、早速、姫宮の黛さんに声をかけ…ようと思っていたが、


そう、だがしかし、近づく途中で、黛さんの見た目に気がついた。

お嬢様カットの髪、顔はふくよか、パーツは…微妙。

不満が溜まって、それが出てるんじゃないかと思う表情。

体格を判断しても、「ふとましい」という表現が、似合うような。


ここで戻るのも挙動不審だと思い、いや、本気で戻りたかったが。

とりあえず、隣の板倉さんとやらに目をやってみた。

小柄で小顔、大きめの目に、髪はショートでさらさら。

……話しかけるなら、こっちかな。先輩だから緊張するけど。


……あ、そうそう。俺のこと、チャラいとか軽いとか、誤解してない?

江川先輩とか、あからさまに警戒してるもんな。でも、違う。

俺は、チャラいんじゃない。必要以上の感情を持ち込まないだけだ。

生徒会はあくまで生徒会、仕事を普通にこなしていればいい。

「生徒会だから」と固くなったり、責任感を持つのも、また違うと思う。

必要なのは、自分への還元、生徒会に関しては「維持」だろう。

そうそう、俺にだって、さじ加減というものはある。まあ見てなって……


「はじめまして。垣宮1年の川島です。今日はよろしくお願いします」

「あ、はじめまして。姫宮2年の板倉です。こちらこそ、よろしくね」

どうやら、この人は固くはないらしい。友好的なオーラを感じる。

「宣伝資料は読んだのですが、いくつか質問してもいいですか?」

「いいよー、ってか、そんなに固くならなくていいのにー」


和喜は、この後、板倉さんと話し続けた。主に質問だったが。

どうやら京子は和喜に好意を抱いているようだが、和喜は気づかなかった。

まどかは隣で「なんで板倉先輩はこんなに緩いんだろう?」と考えていた。

このとき、俊樹たちが、よく話す京子を見て驚いたのは、言うまでもない。


彼は席に戻る際、一般参加人の中に変わったオーラの持ち主を見かけた。

「ゑひもせず…」第3巻〔会〕その9

窓際では江川先輩と他校の先輩2人がしゃべっていた。

川島は姫宮の2人…ではなく、先輩のほうにに話しかけていた。

ほぼ向かいの席の小川さんは、自分の席に座ったままだった。

隣にいるはずの悠子が見当たらなかったが、トイレにでも行ったのだろう。

せっかくなので、まずは小川さんに話しかけてみることにした。

向かいの席まで、歩いていく。3つ隣は司会席だった。

「小川さん、どうもはじめまして。柳瀬です」

「あ、はじめまして、柳瀬さん」

ぎこちないが、自己紹介はできた。次は……共通の話題がいいだろう。

「あの、悠子はどこへ?」

「ああ、ちょっとお手洗いに行くとか」

これじゃあ、悠子を探しているみたいだな。そしたら、えっと……

「あ、貴明じゃん。愛佳に変なこと吹き込んでないよね?」

誰かが俺の肩をたたき、話しかけてきた。悠子だった。

「んなわけないだろ、ってか、誤解されるからやめろよっ」

ははは、と悠子は笑った。小川さんも、笑いをこらえきれないらしい。

「ちょっと、小川さんまで笑わないでよ」

「ごめんなさい、おもしろくって」

「まあ、貴明のことは悪いようには紹介してないから、大丈夫よ」

どうやら、俺のことは、悠子の目線で細かいところまで知られているらしい。

「で、悠子、どんな話をしたんだよ」

「それは女の子の秘密ってやつだから、教えなーい」

そうかい、そうかい。女の子の秘密かい。

実際、今までにも、こういうことはあったから、慣れているけれど。

「柳瀬さん、悠子とは付き合ってないんですか?」

「ちょっと、そんなこと、貴明に聞かないでよ」

悠子が赤くなることはないだろ、と思いつつ、俺は丁寧に答えた。

「付き合いたいと思ったことはあったけどねー」

「……!………!!」


その瞬間、悠子の顔は真っ赤になった。

えっ……?

短編をどうするか?

「ゑひもせず…」第3巻〔会〕その9は、明日かあさってに出します。

ドクター三上です。


とりあえず、この第3巻が終わったら、間に短編を挟もうと思っています。

で、人の心が読める云々と考えていたんです。が、


NHKで、同じようなの、やってるんですよね。


なので、方針を変更して、二つほど原案を練りました。

どちらかをやるつもりですが、どうなることやら。

その短編を進めながら、ゑひもせずの背景を拡充していきたいなぁ。


短編(案)


「ぼくとクレヨン(仮題)」

クレヨンで世界を描く、絵本みたいな物語。

インスピレーションはこのあたりから↓

「はろるどとむらさきのくれよん」C.Johnson

「私の絵本」M.Imamura


「素顔ライダー」

素顔を大切にする、正義の味方の物語。

インスピレーションはこのあたりから↓

・素顔なんとかっていう、中3の教科書に載ってたやつ

・仮面ライダー


ドクター三上でした。これからもよろしくお願いします。