『汝、星のごとく』を読んで ― 少し生き方を変えてみたいと思った理由
本屋大賞受賞作品ということで、ずっと気になっていた一冊を読みました。凪良ゆうさんの『汝、星のごとく』。
「恋愛小説なんだろうな」そんな軽い気持ちで読み始めたのですが、読み終わった今、うまく感想を説明できません。
感動した、とも少し違う。面白かった、と言うのも違う。
ただ、じわじわと心に残り続けて、気づくと自分の人生を考えてしまう。そんな不思議な読書体験でした。
この物語を読んで強く感じたのは、
「親から離れたいのに離れられない子ども」の苦しさでした。
離れた方が楽になれるかもしれない。でも、本当にそれで幸せになれるのかは分からない。
そして何より、親を放っておけない。
愛情なのか、責任感なのか、罪悪感なのか。そのどれもが混ざり合っていて、簡単には言葉にできません。
読みながら、何度も自分自身と重なりました。
同時に、今度は親の立場として考えてしまう自分もいました。
私は知らないうちに、子どもを縛ってはいないだろうか。「心配」という名前で、自由を奪ってはいないだろうか。
物語を読んでいるはずなのに、気づけば自分の生活を見つめ直していました。
この作品には、はっきりとした正解がありません。
誰が悪いわけでもなく、誰かが完全に正しいわけでもない。
それぞれが精一杯生きているだけなのに、人生は思うようには進まない。
だからこそ苦しくて、そしてリアルでした。
「こうすれば幸せになれる」という答えは描かれていません。
代わりに感じたのは、
人生に正解はないけれど、選び続けることはできるということでした。
特に心に残ったのは、櫂という人物です。
優しくて、不器用で、誰かを見捨てることができない。自分の人生よりも、誰かのためを選んでしまう。
その姿が切なくて、でもどこか理解できてしまう。
人は時に、優しさゆえに自分を後回しにしてしまう。それが幸せなのか、不幸なのかも分からないまま。
読み終わったあと、少し気持ちが沈みました。
けれどそれは、悲しかったからではなく、心の奥に触れられた感覚だったのだと思います。
これまでは変えられない。
この言葉が、読後に自然と浮かびました。
過去をやり直すことはできない。育ってきた環境も、人との関係も、選べなかったこともある。
でも――
これからの生き方は、少しずつ選べるのかもしれない。
大きく人生を変えるわけではなくていい。
少し無理を減らすこと。少し自分の気持ちを大事にすること。
少しだけ「本当はどうしたい?」と自分に問いかけること。
この本は、背中を押すわけでも、励ますわけでもありません。
ただ静かに、
「あなたは、これからどう生きますか」
と問いかけてくるようでした。
読み終えて思ったのは、
これからどう生きるか。
私は少し、生き方を変えてみたい。
自分の人生を生きる。
この本は、そんなふうに人生を見つめ直す時間をくれました。
しばらく、この本の余韻を大切にしたいと思います。



