第2部 群青の向こう側(未来編)




9. 再会



 五年ぶりの分かれ道。

 夕焼けが群青に変わりかける。

 駅前の景色も、古びた看板も、ほとんど変わっていない。


 先に立っていたのはあい。

 髪が少し伸びて、大人っぽくなっている。

 でも振り向いた瞬間の目は、昔のまま。


 「久しぶり」

 少し低くなった声に、胸がぎゅっとなる。


 「……久しぶり」


 あいがじっと俺を見上げる。

 「……身長、伸びた?」

 「いや、もう伸びねーよ」

 「えー、絶対伸びてる」


 あいが手を伸ばして髪に触れる。

 「前はもう少し目線近かったよね?」

 「それはお前がヒール履いてるからだろ」

 「あ、履いてないし」


 小さく笑い合う距離感。

 五年分の時間が、一気に縮まった気がした。

 「覚えてる?」

 「オレンジジュースだろ?」

 「……ばか」



 


10. 桜の髪



 公園のベンチに向かう途中、桜の花びらが舞う。

 一枚、あいの髪に落ちる。

 指先でそっと花びらを払う。

 「ついてた」

 あいは少し息を止める。

 「いきなり触るの反則」


 笑いながらも目を逸らさない。

 「前もやっただろ、入学式の日」

 「覚えてるの?」

 「覚えてるよ」


 風に舞う桜が二人を包む。

 距離も、時間も、少しずつ溶けていく。





11. ベンチの記憶



 桜の花びらが少し積もるベンチ。

 「あの頃のこと、覚えてる?」

 「ブランコ取り合いして泣いたの」

 「お前が先に順番抜かしたんだろ」

 「違うし、かけるが遅かったの」


 「大学で離れてさ、強がって終わらせたけど、本当は全然終わってなかった」

 「俺も」

 短いけど確かな言葉。


良かっら感想をよろしくお願いいたします。