本の紹介です
久しぶりにミステリー小説を読みました
以前何かで紹介されていて、本屋に行ったらちょうど平積みされていたので購入しました。
『償い』です。
- 償い (幻冬舎文庫)/矢口 敦子
- ¥680
- Amazon.co.jp
主人公はホームレスの男36歳。
男が住み着いた街で、次々と殺人事件や事件が起こります。
男はそれらの事件に巻き込まれながら、探偵のようなことを始めます。
医者だった男は妻と子供を亡くすのですが、その2人の死をきっかけにホームレスになりました。男はその悲しみやこれまでの自分を、心の奥底に封印しながら別の人間として生き始めていました。
何故なら、子供を病気で亡くしその後を追うように妻が自殺をしてしまったからです。
2人が亡くなったのは自分が家族を顧みなかったからだと。
そして、その街で1人の少年に出会います。
少年は、人の心の悲しみ、泣き声が聞こえるという。
人間は表情に表れていなくても、心の中で泣いていることがある。
その泣声を感じ取ることができるのだというです。
少年が男に近づいて行くのですが、それも男から泣声が聞こえたからだというのです。
それをきっかけに2人は近づいていきます。
そして、男の封印されていた気持ちが徐々に呼び戻されていきます。
私がこの本で面白いなと思ったのは、この少年との間で繰り広げられる会話と、登場人物から発せられるセリフです。
例えば、少年は事件で亡くなった人の死をこう言います
『あの人は死んで良かったんだと思う。』何故なら、『あの人は不幸だったんだ。死んでしまえば、もう不幸は感じずにすむだろう』と。
また別の登場人物からはこういう言葉が
『人の肉体を殺したら罰せられるけど、人の心を殺しても罰せられないのだとしたら、不公平です』
絶望を抱えながら生きる主人公の心の痛みと、謎めいた連続殺人事件の展開が面白く、ちょっと厚めでしたが一気に読み終えました。
最近はついつい自己啓発本や情報収集のための本を読んでしまいがちだった、久しぶりに小説を読んでやっぱり本はいいな~って思いました~