私が網代にいるとわかると、

必ず「お魚が美味しいでしょう」と、言われます。

それはその通り、朝のうちに買いに行けば、

氷水の入ったバケツを並べて売っているところがあります。

都会の魚屋さんのように色々な種類は選べません。

その日の早朝に水揚げしたものだけ。

今回は、子どもの頃に仕込まれた、

包丁を使わずに手だけで捌く鯵のタタキを紹介しましょう。

網代のソウルフードです。

鯵は身がしまっています。

先ずはエラの下を、親指と人差し指でしっかり掴み内蔵を取ります。

胸鰭も一緒に取れてしまいます。

よーく洗って、血の一滴もありません。

ここで皮をむきます。

頭側のエラの下から爪を使ってひん剥いていきます。

線を引いたような(側線というらしい)

硬い鱗のついてるのも一緒に取れます。

腹側と背側にあるトゲトゲした硬い背びれと腹びれ尻びれも

しっかり指と爪で引っ張って取ります。

ポキンと折って頭を取ります。

身と骨の間に親指を入れて剥がして行きます。

いわゆる三枚におろすというのを親指でやるんです。

ここまで一切、出刃包丁は使いません。

そして、出刃の登場です。適当に切ってからタタキます。

生姜をすりおろし、醤油を用意して

「いただきま~す」

新鮮なお魚って、

生臭さが無いどころか何の匂いもしません。

舌が喜ぶソウルフード手開き編でした!

因みに骨は、

塩だけで味付けした潮汁(うしおじる)にします。