※10/3 タイトルの誤字を修正
前回の記事の続きです。
先月のアクセス数は現在すでに700を超えています。ブログ経験はもう長いのですが、自己記録ではないかと思います。
それ以降の報道を追っていると、当初あったような誤解はだんだんなくなっていったような印象を受けましたが、整理しておきましょう。
あと、大学院の合格通知もいただきました。
※合格をいただいた26日には記事を書き始めていたのですが、遅くなってしまいました…
①国際的標準が正しいのか?
そもそも国際的な標準に合わせることが正解である、ということ自体が明確ではありません。人権思想は普遍のものと考えていい部分もあるでしょうが、西洋の常識を必ずしも東洋に当てはめて考えられない場合も存在します。といっても、条約に加盟している以上解釈については詰めるべきだとは思いますね…
②海外の動向
当初誤解が多かった部分の一つですが、海外でもフルインクルージョンを達成している国はイタリアしかありません。他の国は普通の学校に在籍する障害児もいるものの特別支援学校も存在します。
イタリアの教育を理想と考える人も一定数いますが、例えばPISAの成績を考えたときイタリアの成績は高いとは言えないなど学力水準が高い国とは見做されていないため、日本がイタリアの模倣をすればいい、というわけにはいかないと思います。
イタリアについては、10月1日にこちらの書籍が出版されました。
https://ousar.lib.okayama-u.ac.jp/files/public/6/63299/20220331140031425603/cted_012_075.pdf
こちらの論文によると、中国では障害児の58%が通常の小中学校に在籍しているものの、インテグレーションの傾向が見られることから、特別支援学校を選ぶ動きも広がっているとのことです。
主要国は文科省がデータをまとめています。※文科省を批判する立場から考えると、文科省のデータを用いること自体に問題があると言われるかもしれませんが…
https://www.mext.go.jp/content/1421964_3_2.pdf
こちらのデータも使えそうです。
https://www.nise.go.jp/cms/resources/content/13006/j6-21syogaikoku.pdf
数値で見ると、特別支援学校の在籍者比率は日本では児童生徒全体の0.69%ですが、これは他国と比較してもとりわけ高いとは言えないようです。あくまで数字の上ですが、「障害」とされる全体の人数を増やすことで、そのうち通常の学級で教育を受けている生徒の割合が高くなることは十分に想定されます。
ここから、日本を絶賛するのは間違いですが、実態以上に海外と異なっていると捉えてもいけないようです。
尤も、インクルーシブ教育で重要な点は通常の教育の改革であり、特別支援教育の動向では捉えきれない部分はありますが。今後そのようなところに踏み込んで考えて行きたいと思います。