文科省から4月に次のような通知が出ていたようですね。
https://www.mext.go.jp/content/20220428-mxt_tokubetu01-100002908_1.pdf
僕もこれをブログで知ったのが先週の月曜日のことでした。
ちょうど大学院出願のタイミングだったので色々と忙しく、今日になりました。
まず概要を見てみましょう。
文部科学省は、令和3年度 特別支援学級及び通級による指導の実態調査という調査を行いました。これは、令和3年の「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議報告」に基づき、特別支援学級に在籍しながら特別支援学級で十分な時間の指導を受けていない児童がいる、という事例について行った実態調査です。
まず書面調査では、特別支援学級における「交流並びに共同学習の時間」の取り扱いについては市町村で大きな差異があることが明らかになっています。自立活動が設定されていないケースもあったとのことです。他にも、「個々の児童生徒の状況を踏まえずに、特別支援学級では自立活動に加えて算数(数学)や国語の指導のみを行い、それ以外は通常の学級で学ぶといった、機械的かつ画一的な教育課程の編成が行われている」とのことでした。
次に個別ヒアリングでは、主にその理由に焦点を当てていました。理由として、通級が設置されていないため、特別な支援を受けたい場合特別支援学級しか選択肢がないことが大きな理由として挙げられそうです。
そうした結果を踏まえた上で、通知が出されました。通知の内容を要約すると、
・通級による指導と特別支援学級は指導時間という点で明確に分かれるべきである。
・したがって、ほとんどの時間を交流学級で過ごすなら、通級に転換することが求められる。
ということです。
個人的には賛成の立場なのですが、意外にも反対意見が目立ちます。反対意見としては、今まで行われてきたインクルーシブ的な風土がうしなわれるということを理由に挙げていますが、実際には通級を設置すればいいのでは、と思います。(もちろんそれが簡単なことではないのでしょうが)
まず全体論としては、文科省がこういう方針を明確に打ち出すことそのものに賛成です。学ぶ学級の選択は子供の社会性や将来の進路を大きく規定するので、行政によって選択肢が変わるのはなるべく避けたほうがいいのではないか、というのが基本的な立ち位置です。
その上で、今回の通知は特別支援学級と通級の違いを明確に打ち出したものとなり、これから日本各地で両者の整備が進んでいくと思います。課題としてはそこの人材確保が挙げられますが、保護者から見れば選択肢が増えるのは望ましいことでしょう。
だがそれ以上に、文科省がこのようなことに関心を持っていたのが最も驚きでした。特別支援教育の理念が「個々のニーズに応じた配慮を提供すること」として、従来の特殊教育と対比されますが、個々のニーズに重点を置くあまりに、学級としての経営や行政学的な視点が欠如しているのではないか、というのが僕の問題関心だったので、そこは非常に望ましいところです。確かに「機械的な運用」は問題だと思いますが、規則が全くないのも様々な歪みを生みます。
さて、実はこれ、僕の卒論の研究テーマと完全に被っています。この一週間はこの通知をどう卒論に活用するか考えていました。ですが、今年が卒論の年だったのはかなり幸運ではないか、と受け止めています。
まだ意見が纏まっていない部分もありますし、このテーマで誰かと話ができればいいのですが。