この前の記事で書いた、「書きたかった記事」です。

 

特別支援教育資料(令和2年度)が公開されました。たまにはデータ分析をやってみましょう。

 

個人的な今年最大のトピックは、中学校特別支援学級卒業者の進学先において、「高校等」が初めて「高等部」を上回ったことです。(P.51)ここで「高校等」とは高等学校、中等教育学校後期課程、高等専門学校を、「高等部」は特別支援学校の高等部を、それぞれ指すようです。P.9には「特別支援学校高等部への進学率の推移」が載っており、こちらでは中学校特別支援学級からの進学者は昨年時点で既に50%を下回っていますが、その他の選択肢があったことにより若干高等部の方が上回っていたようです。

この要因は障害が軽度の子供が支援学級に通うようになったのが最大の要因かと思われます。

 

特別支援学級からの高校進学が大きな関心となっている人も多いようで、インターネット上でも進学率に関する情報は出回っていますが、割合は年々変わっていくため、最新のデータ、それもできるだけ信用できるデータを探す必要があるのでしょう。LITALICOの情報などは信用できますね。

 

特別支援学級(中学校)卒業後の進路先は?発達障害がある子どもが将来を見据えた学校選びをするには?高卒認定や大学受験資格の解説、学校選びのポイント

 

一般論に関してはこんな感じでいいのですが、大体「地域によって異なるので、学校や教育委員会に問い合わせてください」という文章がテンプレのように入ってきます。進学率については直接の統計は出ていませんが、特別支援学校の(高等部の人数ー中等部の人数)を全員特別支援学級出身者と仮定すれば、おおよその傾向が見えてきそうです。これによって分析してみたところ、県によって約2〜8割まで差があるようです。これに関しては都道府県によって特別支援教育対象者の基準が異なることもありますが、(例えば東京都は特別支援教室が通級に分類されるため、支援学級の人数は人口比で少なく、見かけ上の高校進学率は低くなります)地域による差異はかなり大きいことが伺えるでしょう。(ある意味障害児教育は家庭の経済的な問題がそこまで大きくないのは良いことだと思っていますが、その分地域格差があまりにも大きいように感じます)更にこれらは先行研究にも乏しく、差異が可視化されていないようです。

 

高校進学の問題ともう一つ、特別支援学校の設置基準は先月ようやく策定されました。現状の、教室を2つに仕切ったりしている状況が少しずつ改善されていくようです。これにも大きな地域差があるでしょう。

 

昨今インクルーシブ教育などが言われていますが、希望した進路に進めなかったり、教室が狭かったり(密を避けなければいけない状況にもかかわらず)というのは人権侵害と言ってもいいと思うので、まずは目下の課題から取り組んでいくべきかと思います。

 

大体卒論でやりたい研究はこんなところなのですが、やはり地域差は大きいと感じますか?