先週のドラゴン桜が結構反響があったようで、何人かの方が取り上げていらっしゃいました。もう公表しちゃっていいと思いますが、現役東大生の立場から書いてみたいと思います。
と思い立ってから1週間。なんとか次の放送までに書き終われば…
「東大」と書いていますが、京大や東工大など高学歴とされる大学との共通項も多いかと思われます。
①入学試験
東大入試は共通テスト5教科7科目と2次試験3教科4科目を受けます。これらをバランスよく取れないと合格できません。勿論特定の科目が東大水準で非常に良くできれば受かるのですが、それはごく少数でしょう。「教科のバランス」は発達障害と相性が悪いのではないでしょうか。と言いつつも受験勉強自体の適性がある、と言い切られてしまうとなんとも言い難いですが。
②書き起こし
講義の書き起こしの文化があるのは法学部だけではないでしょうか。法学部の事情については詳しくないのですが、試験対策のためにできたという指摘が多いですね。法学部は大学に行かない学生も(コロナ以前は)結構いたようですし。あと差別的な発言であったら申し訳ないのですが、果たしてテストのために特別な勉強をしなくてはいけない大学が日本にいくつあるのでしょうか。
③支援体制
こちらの方が詳しく書かれていらっしゃいます。(勝手に引用すみません)
東大の支援体制が充実しているのは紛れもない事実です。東京大学では学生相談所、精神保健支援室、コミュニケーションサポートルームなど多くの組織が「相談支援研究開発センター」のもとに所属しており、連携されていて、兼任職員もいるようです。
これに関しては人数が多いから支援体制が整っていると一概には言えず、むしろ研究が盛んであることの裏付けとしての意味合いの方が大きいでしょう。
④何を持って発達障害とみなすか
5年前に東大生の4人に1人がASDという旨のツイートが話題になりました。
実際これは合っているのかもしれませんが、「本人がそれにより困り具合を持っている」というのも一つの要件になるかと思われます。特性だけで一概に判断するのはどうかと思います。実際には凸の部分で凹の部分を補ったりできる東大生も多いでしょうし、そういう能力も「学力」の一つとして捉えられるでしょう。
もう一つ、「自分の困り具合を具体的に認識して支援機関に自ら出向く」ということが必要になります。実際にはもっと偏差値の低い大学では、自己認識や行動を起こすのが難しいというケースも多いのではないでしょうか。
「流石に4人に1人もいないだろう」というのは駒場保健センター精神科の室長さんの見解でもあります。だが実際のところ東大に果たして多いのかまでは分からないとのことでした。
⑤留年・降年・休学
降年というのは東京大学独自の制度です。2年生のSセメスター(前期)が終わった後、1年生のAセメスターからやり直す制度です。通説によると東大生の留年・降年率は2割のようです。
留年・降年の理由は多様です。希望の進路が変わったり高い点数が必要だった場合、在学中に事業を立ち上げたり参加したりする場合といったケースも数多いですが、精神的問題が原因となるケースが多いのも事実です。
そもそも東大のカリキュラム自体が(特に前期の理系は)かなり必修単位が多いので、マルチタスクが得意ではないと厳しいというのもありますが。
⑥進路の多様性
発達障害の学生が就活でつまづくケースも多いかと思われますが、東大の場合官僚、司法試験(弁護士、検察官など)という選択肢も考えられ、そして大学院への進学率がかなり高いです。割合とは関係ないですが、就活を避けられるというのは大きなメリットになるでしょう。
⑦まとめ
「東大生に発達障害が多いか?」についてははっきりとした結論は出せませんが、おそらく偽でしょう。それは、ある程度の特性を持ちつつも工夫して日常生活に支障がなくなっている東大生が多いだろうこと、逆にヘルプを求められずに可視化されない下位大学(良い呼称あったら教えてください)の学生が数多くいるであろうことが理由です。
ですが、「現役で入学し、4年間で卒業し、就職する」という学生の方がむしろ少数派であることから異なることへの偏見が小さく、まさにダイバーシティを実現できていると言えるのではないでしょうか。(女子学生比率が低いなどの問題は残っていますが)そういう点では過ごしやすい学生も多いでしょう。