諸人登山
しょにんとざん
諸人登山は三十六景で唯一
冨士の姿が見えない構図です。
何故なら、この場所こそが冨士そのもの。
その昔、藤原鎌足の子孫のひとりが
修行中にお告げを受け
富士山で一千日の苦行をし
角行(かくぎょう)と名乗りました。
そこから生まれたのが富士講(ふじこう)で
冨士を信仰し、毎年集団で登拝をしていたそうです。
白装束にすげ笠、金剛杖と鈴
といういでたちで
登山ができない人々の想いを背負い
険しい岩山を命がけで登ります。
角行はその後も百数十回の登山と三百日の断食を行い
106歳で即身仏となる為に入定したと言われ、
多くの信者がこの後を追ったそうです。
江戸時代のコミュニティともいえる富士講。
江戸から富士山に行くだけで十日かかったそうですから、
もう、へとへとだったに違いありません。
登りきったという達成感は見えず
みな倒れそうな顔をしています。
洞窟の中で休憩をする人々。
なんだか、しゃれこうべのようにも見えます。
そのぐらい疲弊している姿を
時空を超えたつねきちは眺めてきたのでしょう。
新しく生まれ変わる為の姿だったのかもしれません。
さて、こちらが
見るだけで若返る御来光。
色にはそれぞれエネルギーや波長があり
赤系はアドレナリンやエストロゲンの分泌を促します。
その色の食べ物を摂る事でも効果があるほど。
原画はこんなに赤くなく
模写器のつねきちが
念入りに着色をしたこの絵には
自律神経の活性を促す橙も含んでいます。
ましてや富士山そのもの、です。
冨士登山に加われなかった人々のため
富士塚と呼ばれる小さな山が、各地に作られました。
今でも残っている所が
渋谷区鳩森八幡神社、上野の小野照崎神社、江古田浅間神社
等にあるそうです。
江戸を中心として関東中に広まった富士講。
私たちの先祖でも関わった人がいたに違いありません。
ぜひ一度訪れてみたいものです。
きっと更なるパワーを頂けると思います。
本日もご覧いただき、ありがとうございました。