私は一頻り笑ってやっと落ち着いた。弾んでしまった息を整えてからおばちゃんを見ると、おばちゃんは少し拗ねた顔で私を睨んでくる。
「キョーコちゃん、いつになく意地悪なのは『彼』のせいかい?」
「えっ!?」
一瞬で今度は私が真っ赤になってしまった。
「おやおや、キョーコちゃん真っ赤だよ?」
からかう気満々のおばちゃんの声に私はぷぅっと頬を膨らませて怒って見せる。
「おばちゃんこそ意地悪ですっ!」
「おあいこだよ、ねえ、お兄ちゃん?」
「クスッ、そうですね。キョーコちゃん、勝てないよ?」
「もぉ、敦賀さんまで酷いっ!」
私の言葉におばちゃんが固まる。
「…うそ?」
「えっ?…あっ!」
私は自分の失敗に漸く気づく。が、どうしようもない。
「ま、まさかとは思ってたけど、本物なのかい?」
おばちゃんは目をこれでもかと言わんばかりにキラキラさせながら私に聞いてくる。
「いえ、あの…はい」
最後は蚊の鳴くような小さな声しか出なかった。
「ち、ち、ちょっと待ってておくれ!」とおばちゃんは大急ぎでお店の奥に入っていくと大きな画用紙と油性マジックを持って帰ってきた。私は自分の失言で敦賀さんの事をばらしてしまったあげく、おばちゃんがなにかを頼んでも快く受けてしまうであろう敦賀さんに心の中で土下座&平謝りだ。なのに、おばちゃんは画用紙とマジックを私に押し付けた。
「えっ?」
「『本日貸し切り』って書いておくれっ!」
私は頭が追い付かず呆然としてしまう。
「ほら早く、キョーコちゃんの字はすこぶる綺麗なんだから、ほら、早く書いとくれよっ!」
その言葉に私ははっとして、大きな画用紙いっぱいに『本日貸し切り』と書き上げた。おばちゃんはそれを満足そうに眺めると一緒に持ってきていたらしいセロテープを画用紙の四隅に付けて外から入口に貼った。そしてお店の中に戻ってきて、入口の鍵まで閉めてしまった。
事の流れが読めずに呆然とする私は放っておいておばちゃんは「これで邪魔者は来ないよ。ゆっくりしていっておくれ、お兄ちゃん。」と敦賀さんに話しかける。ちゃっかり敦賀さんの向かい側のさっきまで私が座っていた席に陣取っているおばちゃんに『やはりこの人には勝てない』と思ってしまった。
私は厨房に入って手早く生地を作り、たこ焼きを返す串三本と一緒にテーブルに運んだ。
「キョーコちゃん、いつになく意地悪なのは『彼』のせいかい?」
「えっ!?」
一瞬で今度は私が真っ赤になってしまった。
「おやおや、キョーコちゃん真っ赤だよ?」
からかう気満々のおばちゃんの声に私はぷぅっと頬を膨らませて怒って見せる。
「おばちゃんこそ意地悪ですっ!」
「おあいこだよ、ねえ、お兄ちゃん?」
「クスッ、そうですね。キョーコちゃん、勝てないよ?」
「もぉ、敦賀さんまで酷いっ!」
私の言葉におばちゃんが固まる。
「…うそ?」
「えっ?…あっ!」
私は自分の失敗に漸く気づく。が、どうしようもない。
「ま、まさかとは思ってたけど、本物なのかい?」
おばちゃんは目をこれでもかと言わんばかりにキラキラさせながら私に聞いてくる。
「いえ、あの…はい」
最後は蚊の鳴くような小さな声しか出なかった。
「ち、ち、ちょっと待ってておくれ!」とおばちゃんは大急ぎでお店の奥に入っていくと大きな画用紙と油性マジックを持って帰ってきた。私は自分の失言で敦賀さんの事をばらしてしまったあげく、おばちゃんがなにかを頼んでも快く受けてしまうであろう敦賀さんに心の中で土下座&平謝りだ。なのに、おばちゃんは画用紙とマジックを私に押し付けた。
「えっ?」
「『本日貸し切り』って書いておくれっ!」
私は頭が追い付かず呆然としてしまう。
「ほら早く、キョーコちゃんの字はすこぶる綺麗なんだから、ほら、早く書いとくれよっ!」
その言葉に私ははっとして、大きな画用紙いっぱいに『本日貸し切り』と書き上げた。おばちゃんはそれを満足そうに眺めると一緒に持ってきていたらしいセロテープを画用紙の四隅に付けて外から入口に貼った。そしてお店の中に戻ってきて、入口の鍵まで閉めてしまった。
事の流れが読めずに呆然とする私は放っておいておばちゃんは「これで邪魔者は来ないよ。ゆっくりしていっておくれ、お兄ちゃん。」と敦賀さんに話しかける。ちゃっかり敦賀さんの向かい側のさっきまで私が座っていた席に陣取っているおばちゃんに『やはりこの人には勝てない』と思ってしまった。
私は厨房に入って手早く生地を作り、たこ焼きを返す串三本と一緒にテーブルに運んだ。