「あ、お待ちしてました。こちらになります。」と店員さんに案内されてお店の奥のスペースへ入る。そこには白い自転車と赤い自転車が仲良く並べて置かれていた。私はその光景をなんとも微笑ましいと思った。そして、隣に立つ敦賀さんの顔を盗み見るとなんとも柔らかい表情で自転車を見ていらっしゃる。『敦賀さんも同じように感じてくれたら嬉しいな…』
そんな事があるのかどうかは定かじゃないけれど、今はそう思わずにいられない。
「なんだかこの自転車たち、かわいいね?」と不意に私の方をみて仰る言葉に一瞬鼓動が跳ねた。そして嬉しくてじんわり気持ちが暖かくなっていく。
「実力派ですが見た目は決して厳つくない。それがこのメーカーの自転車全般に言える長所です。」と店員さんは得意気に説明を始める。この店員さんは本当に自転車が好きなんだなぁと思いながら一頻り話を聞く。敦賀さんの方の自転車はハンドルトップにブレーキレバーを取り付けてライトとテールとベルと鍵を付けたのみとのこと。私の方の自転車はハンドルを左右3センチずつ切って、手が置きやすいようにハンドルの橋にバーエンドを立ててみたらしい。バーを持ったままブレーキの操作が出来るようにブレーキレバーの先端とバーエンドの橋を揃えてあるとの事。一つ一つをウキウキしながら、でも丁寧に説明する店員さんはとても好感が持てた。
「最後になりますが、ライトとベルは色違い、テールと鍵は同じものを付けました。カップルみたくていいかもとか思いまして…。もし気に入らないようでしたら遠慮なく仰ってください。」
なぜか最後は声が小さくなって、店員さんは俯き加減。ふと気になって敦賀さんを見ると、先程より笑みが深い。
「いや、ありがとう。大事に使わせてもらいます。ね、最上さん?」
「はっ…はいっ!」
思わず大きな声で返事をしてしまい、慌てて口を押さえて黙りこむ。どんどん頬に熱が集まっていくのが判る。きっと今の私の顔は真っ赤なはずだ。
敦賀さんはそんな私の頭をポンポンと撫でて、店員さんに問いかける。
「その自転車、今から乗って帰れますか?」
「はい、勿論です。空気圧だけ調整します。受け渡しの前に防犯登録をお願いします。」
それぞへに受け取った登録用紙に住所と名前を書き込む。私はともかく敦賀さんが普通に住所とか書いて大丈夫なのかと心配で店員さんを見たら「顧客データは宝ですよ?」とにっこり安心させてくれた。
そんな事があるのかどうかは定かじゃないけれど、今はそう思わずにいられない。
「なんだかこの自転車たち、かわいいね?」と不意に私の方をみて仰る言葉に一瞬鼓動が跳ねた。そして嬉しくてじんわり気持ちが暖かくなっていく。
「実力派ですが見た目は決して厳つくない。それがこのメーカーの自転車全般に言える長所です。」と店員さんは得意気に説明を始める。この店員さんは本当に自転車が好きなんだなぁと思いながら一頻り話を聞く。敦賀さんの方の自転車はハンドルトップにブレーキレバーを取り付けてライトとテールとベルと鍵を付けたのみとのこと。私の方の自転車はハンドルを左右3センチずつ切って、手が置きやすいようにハンドルの橋にバーエンドを立ててみたらしい。バーを持ったままブレーキの操作が出来るようにブレーキレバーの先端とバーエンドの橋を揃えてあるとの事。一つ一つをウキウキしながら、でも丁寧に説明する店員さんはとても好感が持てた。
「最後になりますが、ライトとベルは色違い、テールと鍵は同じものを付けました。カップルみたくていいかもとか思いまして…。もし気に入らないようでしたら遠慮なく仰ってください。」
なぜか最後は声が小さくなって、店員さんは俯き加減。ふと気になって敦賀さんを見ると、先程より笑みが深い。
「いや、ありがとう。大事に使わせてもらいます。ね、最上さん?」
「はっ…はいっ!」
思わず大きな声で返事をしてしまい、慌てて口を押さえて黙りこむ。どんどん頬に熱が集まっていくのが判る。きっと今の私の顔は真っ赤なはずだ。
敦賀さんはそんな私の頭をポンポンと撫でて、店員さんに問いかける。
「その自転車、今から乗って帰れますか?」
「はい、勿論です。空気圧だけ調整します。受け渡しの前に防犯登録をお願いします。」
それぞへに受け取った登録用紙に住所と名前を書き込む。私はともかく敦賀さんが普通に住所とか書いて大丈夫なのかと心配で店員さんを見たら「顧客データは宝ですよ?」とにっこり安心させてくれた。