「ダメだ!最上さんは俺の大切なお姫様なんだ!」
気がついたら俺はそう叫んでいた。会場の来客がみな俺の声に驚き、シンと静まり返った。
彼女を囲んでいた人たちの視線が俺に集まる。
俺はハッとして我に返ったがもう取り返しはつかない。
最上さんはきょとんとした顔で俺をみている。
「つ…るがさ、…ん?」
彼女は掠れた声でそう呟く。俺はゆっくり息を吸うと笑顔を作って息を吐き出す。そして彼女の元にゆっくりと進む。彼女を囲んでいた人垣はすっと消え、俺は容易に彼女の前に進むことが出来た。ゆっくり近づく俺を変わらずにきょとんとした顔で見つめている最上さん。
俺は彼女の前まで進むとスッと跪いて彼女の右手を取る。手の甲にキスを送り、驚いている彼女を見上げると囁いた。
「お誕生日おめでとう。」
「……。」
「俺は、貴女の事がずっと好きでした。俺の、俺だけのお姫様になってください。」
「…ぇっ」
俺は彼女の彼女の掌にキスを送る。これは懇願のキス。そして俯いて彼女の返事を待つ。しんと静まり返っていた会場は目の前の光景に騒然となる。最上さんは動かない。俺は不安になってゆっくりと頭を上げて彼女を見上げる。と、彼女はその大きな目をこぼれんくらいに見開いて、声も出さずに静かに涙を流していた。
その瞬間、周りの風景も雑音も俺には届かなくなった。俺の目には最上さんしか見えず、耳には彼女の息づかいしか聞こえない。
俺は立ち上がり、吸い寄せられるようにその涙を唇で拭う。右目、左目と拭うけれど、次々に溢れる涙は拭いきれない。俺は両手で彼女の頬を包んで親指で涙を拭う。そしてそのまま彼女の艶やかな唇に俺のそれを重ねた。触れるだけのキス。唇を離すと至近距離で囁く。
「愛している」その声は情けないほど掠れていたけど、彼女の頬に触れた手は震えているけど、君への想いは本物、君を誰にも譲れない。
最上さんは何度か瞬きをして、まだ涙を流しながら俺を見上げている。
「…役者の…法則…」彼女の独り言のような呟きに俺はクスッと笑った。
俺がまた顔を近づけるとその目がゆっくりと閉じられた。また軽く触れるだけのキス。俺が唇を離すと
「これが、私の…ファーストキス…」
「うん、そうだね。」
「敦賀さん、私、私…、敦賀さんがファーストキス…の相手?」
「うん、そうだよ。嫌じゃなければ俺は嬉しい。」
気がついたら俺はそう叫んでいた。会場の来客がみな俺の声に驚き、シンと静まり返った。
彼女を囲んでいた人たちの視線が俺に集まる。
俺はハッとして我に返ったがもう取り返しはつかない。
最上さんはきょとんとした顔で俺をみている。
「つ…るがさ、…ん?」
彼女は掠れた声でそう呟く。俺はゆっくり息を吸うと笑顔を作って息を吐き出す。そして彼女の元にゆっくりと進む。彼女を囲んでいた人垣はすっと消え、俺は容易に彼女の前に進むことが出来た。ゆっくり近づく俺を変わらずにきょとんとした顔で見つめている最上さん。
俺は彼女の前まで進むとスッと跪いて彼女の右手を取る。手の甲にキスを送り、驚いている彼女を見上げると囁いた。
「お誕生日おめでとう。」
「……。」
「俺は、貴女の事がずっと好きでした。俺の、俺だけのお姫様になってください。」
「…ぇっ」
俺は彼女の彼女の掌にキスを送る。これは懇願のキス。そして俯いて彼女の返事を待つ。しんと静まり返っていた会場は目の前の光景に騒然となる。最上さんは動かない。俺は不安になってゆっくりと頭を上げて彼女を見上げる。と、彼女はその大きな目をこぼれんくらいに見開いて、声も出さずに静かに涙を流していた。
その瞬間、周りの風景も雑音も俺には届かなくなった。俺の目には最上さんしか見えず、耳には彼女の息づかいしか聞こえない。
俺は立ち上がり、吸い寄せられるようにその涙を唇で拭う。右目、左目と拭うけれど、次々に溢れる涙は拭いきれない。俺は両手で彼女の頬を包んで親指で涙を拭う。そしてそのまま彼女の艶やかな唇に俺のそれを重ねた。触れるだけのキス。唇を離すと至近距離で囁く。
「愛している」その声は情けないほど掠れていたけど、彼女の頬に触れた手は震えているけど、君への想いは本物、君を誰にも譲れない。
最上さんは何度か瞬きをして、まだ涙を流しながら俺を見上げている。
「…役者の…法則…」彼女の独り言のような呟きに俺はクスッと笑った。
俺がまた顔を近づけるとその目がゆっくりと閉じられた。また軽く触れるだけのキス。俺が唇を離すと
「これが、私の…ファーストキス…」
「うん、そうだね。」
「敦賀さん、私、私…、敦賀さんがファーストキス…の相手?」
「うん、そうだよ。嫌じゃなければ俺は嬉しい。」