撮影中****
ここはまゆみの養父の自社ビル就航パーティー会場。まゆみは慣れないドレスと慣れない人の多さに戸惑いながら、若干壁の花になりかけていた。そこに『まゆみちゃん?』と聞き覚えのある声が届いた。声のする方へ振り向くと相変わらず人のよさそうな笑顔をたたえる上野と少し後ろにみのるが立っていた。
「今日はお招きありがとう、まゆみちゃん。」と上野が嬉しそうに挨拶する。
「来てくれて嬉しいわ。」と上野に笑顔を返すまゆみ。後ろにいるみのるにちらっと視線を向けるが、みのると視線が合う事は無かった。
「こいつさぁ、あれから拗ねちゃって、ほっんと大人気なくて困っちゃうよ。」と上野がフォローする。「えっ、そうなの?」と形だけの相槌をうちながらまゆみはまたみのるを見た。みのるはばつが悪そうな顔をして横を向いたままだ。
「まゆみちゃんはどうしてこんな所に?今日は主役の一人だろ?」
「えぇ、人が多くて困っちゃって…。」
「あぁ、どんどん隅に追いやられた訳だっ!」
「…、うん、まぁ。」
「相変わらずだなぁ。そこが可愛いんだけどね。なぁ、みのる?」と上野が後ろを振り向けば相変わらずみのるは横を向いていた。
「おいおい、ちょっとは愛想よくしろよ。ここの招待客と繋がり持つのも目的の一つなんだぜ。そんな仏頂面してちゃ、貰える仕事も貰えなくなっちゃうよ。」
「あ、あぁ…。」
「解ればいい、気をつけてくれよ、社長!」
「佐伯君が社長なんだ。」
「そう、俺はそういう肩書き面倒だからさ。」
「段々具体的になるのね?」
「うん、もう卒業も目の前だからね?」
「…うん。」
「まゆむ、お友達かい?」
「あ、お父さん。大学の同期の上野君と佐伯君です。」「「こんばんは。」」
「やぁ、こんばんは。上野グループと佐伯コーポレーションの跡取りが友達とは、うちの娘もなかなかやり手だなぁ。」
「お、お父さんっ!」
「あの、おじさん、ご無沙汰しています。今日は父が急に来れなくなってしまって申し訳ありません、」
「いや、和樹君、久しぶりだね。君が来てくれてうれしいよ。」
「こんばんは、初めまして。佐伯みのるといいす。」
「あぁ、佐伯さん、君のお父さんとは何度か会った事があるよ。初めまして。よろしく。」
まゆみの養父は穏やかな口調で青年達と握手を交わす。
「それにしても親同士は犬猿の仲なのに息子同士は共同経営者とは面白い巡り合わせだね。」
まゆみは養父の言葉に驚いた。
ここはまゆみの養父の自社ビル就航パーティー会場。まゆみは慣れないドレスと慣れない人の多さに戸惑いながら、若干壁の花になりかけていた。そこに『まゆみちゃん?』と聞き覚えのある声が届いた。声のする方へ振り向くと相変わらず人のよさそうな笑顔をたたえる上野と少し後ろにみのるが立っていた。
「今日はお招きありがとう、まゆみちゃん。」と上野が嬉しそうに挨拶する。
「来てくれて嬉しいわ。」と上野に笑顔を返すまゆみ。後ろにいるみのるにちらっと視線を向けるが、みのると視線が合う事は無かった。
「こいつさぁ、あれから拗ねちゃって、ほっんと大人気なくて困っちゃうよ。」と上野がフォローする。「えっ、そうなの?」と形だけの相槌をうちながらまゆみはまたみのるを見た。みのるはばつが悪そうな顔をして横を向いたままだ。
「まゆみちゃんはどうしてこんな所に?今日は主役の一人だろ?」
「えぇ、人が多くて困っちゃって…。」
「あぁ、どんどん隅に追いやられた訳だっ!」
「…、うん、まぁ。」
「相変わらずだなぁ。そこが可愛いんだけどね。なぁ、みのる?」と上野が後ろを振り向けば相変わらずみのるは横を向いていた。
「おいおい、ちょっとは愛想よくしろよ。ここの招待客と繋がり持つのも目的の一つなんだぜ。そんな仏頂面してちゃ、貰える仕事も貰えなくなっちゃうよ。」
「あ、あぁ…。」
「解ればいい、気をつけてくれよ、社長!」
「佐伯君が社長なんだ。」
「そう、俺はそういう肩書き面倒だからさ。」
「段々具体的になるのね?」
「うん、もう卒業も目の前だからね?」
「…うん。」
「まゆむ、お友達かい?」
「あ、お父さん。大学の同期の上野君と佐伯君です。」「「こんばんは。」」
「やぁ、こんばんは。上野グループと佐伯コーポレーションの跡取りが友達とは、うちの娘もなかなかやり手だなぁ。」
「お、お父さんっ!」
「あの、おじさん、ご無沙汰しています。今日は父が急に来れなくなってしまって申し訳ありません、」
「いや、和樹君、久しぶりだね。君が来てくれてうれしいよ。」
「こんばんは、初めまして。佐伯みのるといいす。」
「あぁ、佐伯さん、君のお父さんとは何度か会った事があるよ。初めまして。よろしく。」
まゆみの養父は穏やかな口調で青年達と握手を交わす。
「それにしても親同士は犬猿の仲なのに息子同士は共同経営者とは面白い巡り合わせだね。」
まゆみは養父の言葉に驚いた。