サイド蓮
ここ、だるま屋に来てからキョーコちゃんはよく笑う。凄く可愛い顔で笑う。俺が今まで見たどのキョーコちゃんよりも可愛い笑顔で笑う。俺は思わずその笑顔に見惚れてしまう。
俺達を迎え入れてくれたご夫婦。キョーコちゃんにとっては東京での両親というべきご夫婦。キョーコちゃんの夢に出てきた人に会いたいと言ったキョーコちゃんと一緒にここに来た事を俺はちょっと後悔し始めている。あんな顔見た事ない。あんな仕草見た事ない…。だが、その全てが自然体でそのままキョーコちゃんなのだ。
キョーコちゃんを心から可愛がっているお二人とお二人に甘えているキョーコちゃん。いつもどこか遠慮がちなキョーコちゃんがここでは素直に可愛がられている。キョーコちゃん自身は気づいていないのだろうが、ご夫妻への信頼と可愛がられている事への自信がそれを許しているのだろう。
俺の隣ではしゃぐキョーコちゃんが凄く可愛いと思う。それと同時にとても苦いものが込み上げてくる。これは嫉妬だ。
そういえば、事故の後、東京に帰ってから出会った何人かの人達。キョーコちゃんにはみんなフレンドリーだった。病院まで迎えに来てくれた社さんに琴南さん、社長と孫娘のマリアちゃん、新開監督もそうだし、松内瑠璃子ちゃんもだ。社さんは俺のマネージャーだから俺とも近しい関わり方をしている。けれど、琴南さんやマリアちゃんは俺とは少し距離を保っている。だが、みんなキョーコちゃんへの態度はとても柔らかい。
キョーコちゃんはいつも人の輪の中にいる。中心でなくてもその中にちゃんと居場所がある。むしろ輪の入れてないのは俺の方だ。
『敦賀蓮』は温厚紳士、誰にも分け隔てなく優しくて好意的。記憶を失った俺にはそのキャラクターを演じるのは凄く楽だった。他人との間にソフトに壁を作って卒なく笑顔を張り付けておけば誰もそこから先へは入って来なかった。記憶を失う前の『敦賀蓮』もこんなふうに演じていたのかも知れない。そんな浅い付き合い方を悪いとは思わない。人に心を揺さぶられる事もないし、人を傷つける事もないから。でも、だからこそ人の輪の中に俺の居場所はない…。
この子のように他人の喜怒哀楽に翻弄され、自分自信も素直に感情表現をし、人の輪の中に溶け込むなんて芸当は俺には出来ない。だからこそキョーコちゃんの周りにいる全てが俺にとっては嫉妬の矛先になる。
ここ、だるま屋に来てからキョーコちゃんはよく笑う。凄く可愛い顔で笑う。俺が今まで見たどのキョーコちゃんよりも可愛い笑顔で笑う。俺は思わずその笑顔に見惚れてしまう。
俺達を迎え入れてくれたご夫婦。キョーコちゃんにとっては東京での両親というべきご夫婦。キョーコちゃんの夢に出てきた人に会いたいと言ったキョーコちゃんと一緒にここに来た事を俺はちょっと後悔し始めている。あんな顔見た事ない。あんな仕草見た事ない…。だが、その全てが自然体でそのままキョーコちゃんなのだ。
キョーコちゃんを心から可愛がっているお二人とお二人に甘えているキョーコちゃん。いつもどこか遠慮がちなキョーコちゃんがここでは素直に可愛がられている。キョーコちゃん自身は気づいていないのだろうが、ご夫妻への信頼と可愛がられている事への自信がそれを許しているのだろう。
俺の隣ではしゃぐキョーコちゃんが凄く可愛いと思う。それと同時にとても苦いものが込み上げてくる。これは嫉妬だ。
そういえば、事故の後、東京に帰ってから出会った何人かの人達。キョーコちゃんにはみんなフレンドリーだった。病院まで迎えに来てくれた社さんに琴南さん、社長と孫娘のマリアちゃん、新開監督もそうだし、松内瑠璃子ちゃんもだ。社さんは俺のマネージャーだから俺とも近しい関わり方をしている。けれど、琴南さんやマリアちゃんは俺とは少し距離を保っている。だが、みんなキョーコちゃんへの態度はとても柔らかい。
キョーコちゃんはいつも人の輪の中にいる。中心でなくてもその中にちゃんと居場所がある。むしろ輪の入れてないのは俺の方だ。
『敦賀蓮』は温厚紳士、誰にも分け隔てなく優しくて好意的。記憶を失った俺にはそのキャラクターを演じるのは凄く楽だった。他人との間にソフトに壁を作って卒なく笑顔を張り付けておけば誰もそこから先へは入って来なかった。記憶を失う前の『敦賀蓮』もこんなふうに演じていたのかも知れない。そんな浅い付き合い方を悪いとは思わない。人に心を揺さぶられる事もないし、人を傷つける事もないから。でも、だからこそ人の輪の中に俺の居場所はない…。
この子のように他人の喜怒哀楽に翻弄され、自分自信も素直に感情表現をし、人の輪の中に溶け込むなんて芸当は俺には出来ない。だからこそキョーコちゃんの周りにいる全てが俺にとっては嫉妬の矛先になる。