サイドキョーコ

「あのね、グレイトフルパーティーの時の…招待客のリスト…とかあると嬉しいんだけど…」
私は少し躊躇しながらそう尋ねた。知りたい、でも知るのが恐い。そんな感じ。
「リストですか?勿論ありますわよ。写真などもありますからすくにお見せできますわよっ!」
「そうなんだ、…ありがとう。」
「お姉さま、どうかなさいましたの?」
「うぅん、どうもしないわよ。ちょっと気になる人が夢に出てきたから、誰だか解ればと思って…。」
「そうですのっ!?よかったですわねっ!」
マリアちゃんはまるで自分の事のように喜んでくれる。私もつられて笑顔になる。
「では、今夜お帰りになったらマリアの部屋へお越しくださいませ。用意しておきますからっ!」
「うん、ありがとうマリアちゃん。」
「あ、蓮様もご一緒に来て下さるようにお伝えくださいね?」
私は敦賀さんに視線を向けた。敦賀さんは優しく頷いてくれたので「えぇ、一緒に伺うわ。何か欲しいものはある?」と自然に聞けた。
「私、お菓子が食べたいですわ。」
そういったマリアちゃんとスーパーやお菓子屋さんで売っている袋菓子を見繕って持ち帰る事を約束して電話を切った。

「お電話ありがとうございました。」と敦賀さんに携帯を返すと「よかったね、みつかるといいね?」と優しく笑ってくれた。

帰り道、セバスチャンにお願いしてスーパーに寄ってもらった。社さんのアドバイスで四ツ矢サイダーとポテ○チップス、ラッキーターン、パッキー、平家パイ、やっちゃんイカを買って帰った。
社さんが言うには、『昭和の日本の一般家庭には大抵あったもの』なんだとか。私はともかく、敦賀さんやマリアちゃんにはあまり縁のないものばからだろう。セバスチャンも「初めて見ました。」と笑っていた。
いいお土産になったかな。

マリアちゃんの部屋に行くので、今夜は社長宅の正面玄関から入った。大きな門扉を潜って屋敷の玄関に向かうとマリアちゃんが飛び出してきて「蓮様ぁっ!」と敦賀さんに飛び付いて「抱っこしてぇっび」と甘える。そんなマリアちゃんがとても可愛らしい。敦賀さんも満面の笑みでマリアちゃんを抱き上げて「ただいま、マリアちゃん。」と優しくマリアちゃんの頭を撫でてあげる。
敦賀さんに抱き上げられたままマリアちゃんは私に向き直って「お姉さま、おかえりなさい。用意出来ていますわよ?」と無邪気な笑顔をくれた。