サイドキョーコ
夢を見た。色んな場面が浮かんでは消えてあまりよくは覚えていない。でも、一ヶ所だけしっかり覚えている。
細身で恐持ての顔できゅっと口を引き結んだ男性。板前姿がとても似合っていた。その隣にはふくよかで穏やかな笑顔を剥けてくれている女性。和服に割烹着姿がとても素敵で、私の心も穏やかに満たされていく。恐持ての男性もこちらに向ける視線はすごく優しくて、ほんわり嬉しくなった。凄く懐かしい感じ。多分、私はこの人達を知っている。いや、今は解らないけど、知っていた。きっと大好きだった…。
「お父さんとお母さん…なのかな…?」
ふと口から溢れた言葉に敦賀さんが反応しちゃった。
「どうしたの?」
台本から視線を上げて私を見る敦賀さんは少し驚いた顔になっていた。
「夢を見たんです。優しそうなご夫婦が出てきて。すごく懐かしい気持ちになって…。だから、お父さんとお母さんなのかもって…」
「そうなんだ。じゃあ、探してみようよ。」
「えっ?そんな事出来るんですか?」
「うん。以前、マリアちゃんと君が主催したグレイトフルパーティーってのがあったらしい。マリアちゃんと君がお世話になった人達を沢山招待した大掛かりなパーティーだったそうだよ。」
「…そうなんですか…。」
「俺は招待された側らしい。」
「はい、かなりお世話になっていたはずですしね?」
「そうかも。だから、その招待客の中にいるんじゃないかな?」
「なるほど!」
「招待客の写真とかあるんじゃないかな?」
「そうですね!帰ったらマリアちゃんに聞いてみなきゃっ!」
敦賀さんはとてもにこやかに私に携帯を差し出した。
「はい、マリアちゃんの連絡先。今電話しておけば用意してもらえるんじゃないかな?」
「蓮様っ!マリアにお電話くださるなんて嬉しいですわっ!どうされましたの?」
「やぁ、マリアちゃん。実はね、キョーコちゃんがマリアちゃんに用事があるっていうから、俺もマリアちゃんの声が聞きたかったしね。」
「そうですの?私も蓮様の声が聞けて嬉しいですわ。それではお姉さまに代わって頂けます?」
「うん、ちょっと待ってね?」
敦賀さんから携帯を受け取って耳に当てる。
「もしもしマリアちゃん、いきなりごめんなさいね?」
「大丈夫ですわ。蓮様とお姉さまなら何時でも大歓迎ですのよっ!」
「ありがとう。早速なんだけどね…」
話ながら少しだけ怖くなった。
夢を見た。色んな場面が浮かんでは消えてあまりよくは覚えていない。でも、一ヶ所だけしっかり覚えている。
細身で恐持ての顔できゅっと口を引き結んだ男性。板前姿がとても似合っていた。その隣にはふくよかで穏やかな笑顔を剥けてくれている女性。和服に割烹着姿がとても素敵で、私の心も穏やかに満たされていく。恐持ての男性もこちらに向ける視線はすごく優しくて、ほんわり嬉しくなった。凄く懐かしい感じ。多分、私はこの人達を知っている。いや、今は解らないけど、知っていた。きっと大好きだった…。
「お父さんとお母さん…なのかな…?」
ふと口から溢れた言葉に敦賀さんが反応しちゃった。
「どうしたの?」
台本から視線を上げて私を見る敦賀さんは少し驚いた顔になっていた。
「夢を見たんです。優しそうなご夫婦が出てきて。すごく懐かしい気持ちになって…。だから、お父さんとお母さんなのかもって…」
「そうなんだ。じゃあ、探してみようよ。」
「えっ?そんな事出来るんですか?」
「うん。以前、マリアちゃんと君が主催したグレイトフルパーティーってのがあったらしい。マリアちゃんと君がお世話になった人達を沢山招待した大掛かりなパーティーだったそうだよ。」
「…そうなんですか…。」
「俺は招待された側らしい。」
「はい、かなりお世話になっていたはずですしね?」
「そうかも。だから、その招待客の中にいるんじゃないかな?」
「なるほど!」
「招待客の写真とかあるんじゃないかな?」
「そうですね!帰ったらマリアちゃんに聞いてみなきゃっ!」
敦賀さんはとてもにこやかに私に携帯を差し出した。
「はい、マリアちゃんの連絡先。今電話しておけば用意してもらえるんじゃないかな?」
「蓮様っ!マリアにお電話くださるなんて嬉しいですわっ!どうされましたの?」
「やぁ、マリアちゃん。実はね、キョーコちゃんがマリアちゃんに用事があるっていうから、俺もマリアちゃんの声が聞きたかったしね。」
「そうですの?私も蓮様の声が聞けて嬉しいですわ。それではお姉さまに代わって頂けます?」
「うん、ちょっと待ってね?」
敦賀さんから携帯を受け取って耳に当てる。
「もしもしマリアちゃん、いきなりごめんなさいね?」
「大丈夫ですわ。蓮様とお姉さまなら何時でも大歓迎ですのよっ!」
「ありがとう。早速なんだけどね…」
話ながら少しだけ怖くなった。