撮影中****
親子三人で囲む食卓。穏やかな父と優しい母、元気で素直な娘。理想的な家族がそこにあった。
食事を終え、食後のコーヒーをまゆみが用意する。そして三人でゆったりとした時間を過ごす。そこでまゆみは話を切り出した。
「お養父さん、この前のお見合いの話なんですが…、少し待って貰えませんか?」
「そうか、何か気になる事でもあるのか?」
「私はまだ学生ですし、もう少し世の中を知らなければいけないと思うんです。凄く大事に何不自由なく育てて頂いて、こんな我儘はいけないと思うんですが…。」
「まゆみちゃん、我儘だなんて…。」
「そうだな。まだ二十歳そこそこのお前には少し早すぎたかもしれないな…。」
「あなた…、あっさり引き下がるんですね?」
「あぁ、この前お前にも強く抗議されてしまったし、少し考える時間もあったからな…。」
「ごめんなさい、お養父さんお養母さん。」
「謝る事はない。まゆみはこれまでずっと聞き分けのいい子供だった。我儘を言わず、私達の期待には予想以上の結果で答えてくれる愛しい娘。たまには困らせて欲しいなんて不満に思ったりしたものだ。」
「まぁ、あなたったら…。」
「ありがとうございます、お養父さん。」
先方には上手く取り次いでおく。まぁ、急な話だったからな。ただ、今度のパーティーにだけは出席してくれないか?」
「パーティー…ですか?」
「あぁ、新しい自社ビルのお披露目なんだ。色んな業界の人が集まるんだが、家族での参加を推奨されている。」
「という事はあなた、私もですか?」
「あぁ、勿論だ。社長婦人が来なくてどうする?」
「それはまぁ、確かに。」
「お義母さんは相変わらず暢気ですね?」
まゆみはクスクス笑う。それにつられれ養母も笑う。そして養父も笑った。
まゆみは思い切って養父に話をしてみて、もっと叱られたりすると思っていたが、あまりにあっさり受け入れられて拍子抜けしてしまった。こんな事ならみのるに八つ当たりしたり上野の前で泣いたりする前に、養父に話をすればよかったと思ってしまった。
親子三人で囲む食卓。穏やかな父と優しい母、元気で素直な娘。理想的な家族がそこにあった。
食事を終え、食後のコーヒーをまゆみが用意する。そして三人でゆったりとした時間を過ごす。そこでまゆみは話を切り出した。
「お養父さん、この前のお見合いの話なんですが…、少し待って貰えませんか?」
「そうか、何か気になる事でもあるのか?」
「私はまだ学生ですし、もう少し世の中を知らなければいけないと思うんです。凄く大事に何不自由なく育てて頂いて、こんな我儘はいけないと思うんですが…。」
「まゆみちゃん、我儘だなんて…。」
「そうだな。まだ二十歳そこそこのお前には少し早すぎたかもしれないな…。」
「あなた…、あっさり引き下がるんですね?」
「あぁ、この前お前にも強く抗議されてしまったし、少し考える時間もあったからな…。」
「ごめんなさい、お養父さんお養母さん。」
「謝る事はない。まゆみはこれまでずっと聞き分けのいい子供だった。我儘を言わず、私達の期待には予想以上の結果で答えてくれる愛しい娘。たまには困らせて欲しいなんて不満に思ったりしたものだ。」
「まぁ、あなたったら…。」
「ありがとうございます、お養父さん。」
先方には上手く取り次いでおく。まぁ、急な話だったからな。ただ、今度のパーティーにだけは出席してくれないか?」
「パーティー…ですか?」
「あぁ、新しい自社ビルのお披露目なんだ。色んな業界の人が集まるんだが、家族での参加を推奨されている。」
「という事はあなた、私もですか?」
「あぁ、勿論だ。社長婦人が来なくてどうする?」
「それはまぁ、確かに。」
「お義母さんは相変わらず暢気ですね?」
まゆみはクスクス笑う。それにつられれ養母も笑う。そして養父も笑った。
まゆみは思い切って養父に話をしてみて、もっと叱られたりすると思っていたが、あまりにあっさり受け入れられて拍子抜けしてしまった。こんな事ならみのるに八つ当たりしたり上野の前で泣いたりする前に、養父に話をすればよかったと思ってしまった。