side キョーコ
敦賀さんの寝室のソファ。凄く居心地のいいここで枕を抱いて座っていたらふんわりしてきてしまった。
ダメよダメっ!こんなところで寝ちゃったらダメよ、キョーコっ!
でも、そんな努力も虚しく次の瞬間私は夢の世界に旅立っていた。
目が覚めると軟らかいベッドの上。この体に馴染んだ感触にほっとする。両サイドを見れば、隣にいるはずの人がいなくて不安がよぎる。驚いて身を起こせば薄暗い寝室は静まり返っている。辺りを見回すとソファに人の輪郭が見えてほっとする。暗闇でもその輪郭だけで敦賀さんだと解るから。
私はベッドを降りて敦賀さんの傍に近づいた。薄暗くても解るその端正な顔立ち。規則正しい寝息が私を安心させてくれる。どうしてこの人はここで眠っているのかしら。自分のベッドを私に明け渡してこんな窮屈なところでねちゃうなんて…
起こしてベッドに移るようにお願いした方がいいのかしら。あ、でも、それだとまた気を使われてしまうわ。
敦賀さんと私、記憶をなくす前にはお付き合いしていたのよね。こんな綺麗な人がどんな敬意で私なんかとお付き合いする事になったのかしら。それに、なぜ私はそんな大切な事をすっかり忘れてしまったの?あの時、敦賀さんが居なくなっちゃうかもって思った時、本当に怖かった。また一人になってしまうと思って必死にすがり付いた私。でも、私は一人じゃないじゃない。記憶を失った今も色んな人が私を支えてくれているのに、どうして一人ぼっちになるなんて思ってしまったのかしら?
記憶を失う前の私は一人ぼっちだったの?
多分、私にも家族や友達がいたはずよ。今はまだ何も思い出せないけど、きっと両親や(いるならば)兄弟がいる。社長は『身内には会社から連絡する。本人が関わっていらぬスキャンダルを引き起こせば君のためにならない。』とおっしゃってらしたからお任せした。実際のところ、自分を保つので精一杯。関わるのは最低限の人たちだけで十分すぎる。だからこの状況に甘んじている。でも、疑問がたくさん沸いてきて、自分の中で折り合いがつけにくくなっているのも事実。私は…、私は…。
敦賀さんの顔をぼんやり眺めながらそんな事を考えていると、敦賀さんの眉間にシワがよって、まぶたがゆっくり上がった。二~三回瞬きをして、その瞳に私が映る。
「起こしちゃいましたか?、ごめんなさい。」
さっきまでの考え事は胸にしまって、私はにっこり笑って見せた。
敦賀さんの寝室のソファ。凄く居心地のいいここで枕を抱いて座っていたらふんわりしてきてしまった。
ダメよダメっ!こんなところで寝ちゃったらダメよ、キョーコっ!
でも、そんな努力も虚しく次の瞬間私は夢の世界に旅立っていた。
目が覚めると軟らかいベッドの上。この体に馴染んだ感触にほっとする。両サイドを見れば、隣にいるはずの人がいなくて不安がよぎる。驚いて身を起こせば薄暗い寝室は静まり返っている。辺りを見回すとソファに人の輪郭が見えてほっとする。暗闇でもその輪郭だけで敦賀さんだと解るから。
私はベッドを降りて敦賀さんの傍に近づいた。薄暗くても解るその端正な顔立ち。規則正しい寝息が私を安心させてくれる。どうしてこの人はここで眠っているのかしら。自分のベッドを私に明け渡してこんな窮屈なところでねちゃうなんて…
起こしてベッドに移るようにお願いした方がいいのかしら。あ、でも、それだとまた気を使われてしまうわ。
敦賀さんと私、記憶をなくす前にはお付き合いしていたのよね。こんな綺麗な人がどんな敬意で私なんかとお付き合いする事になったのかしら。それに、なぜ私はそんな大切な事をすっかり忘れてしまったの?あの時、敦賀さんが居なくなっちゃうかもって思った時、本当に怖かった。また一人になってしまうと思って必死にすがり付いた私。でも、私は一人じゃないじゃない。記憶を失った今も色んな人が私を支えてくれているのに、どうして一人ぼっちになるなんて思ってしまったのかしら?
記憶を失う前の私は一人ぼっちだったの?
多分、私にも家族や友達がいたはずよ。今はまだ何も思い出せないけど、きっと両親や(いるならば)兄弟がいる。社長は『身内には会社から連絡する。本人が関わっていらぬスキャンダルを引き起こせば君のためにならない。』とおっしゃってらしたからお任せした。実際のところ、自分を保つので精一杯。関わるのは最低限の人たちだけで十分すぎる。だからこの状況に甘んじている。でも、疑問がたくさん沸いてきて、自分の中で折り合いがつけにくくなっているのも事実。私は…、私は…。
敦賀さんの顔をぼんやり眺めながらそんな事を考えていると、敦賀さんの眉間にシワがよって、まぶたがゆっくり上がった。二~三回瞬きをして、その瞳に私が映る。
「起こしちゃいましたか?、ごめんなさい。」
さっきまでの考え事は胸にしまって、私はにっこり笑って見せた。