side 蓮
「最上さん、お腹空いてない?」
そんな問いかけをしたのは車のコックピットの時計が夕方7時を差していたから。お昼前からスタジオ入りしたから普通ならそろそろお腹のむしが騒ぎ出す頃だ。
「そういえば…、はい。」と答えた最上さんはまだションボリした顔をしている。この娘を笑顔にするにはどうすればいいんだろう?
「あの、珍しいですね。敦賀さんからお腹の具合をきかれるなんて…。」
「そういえばそうだね。君のお陰で一応気にするようにはなってきたのかな?」
「私ごときが少しでも敦賀さんのお役に立てたなら嬉しいです。」
「いや、いつも本当にありがとう。」
「そんな…。」
「それじゃ、今日はいつものお礼にご馳走するよ。何が食べたい?」
「えっ、そんな…、私は…そんなに大した事もしてませんから…」
「俺の気持ちだよ。感謝してるんだ、本当に。」
「…はい、ありがとうございます。」
「この前取材で使ったレストランなんだけど、ハンバーグが大人気らしいんだ。最上さん、ハンバーグ好きだったよね?」
「は、はいっ!ハンバーグ大好きですっ!」
「なら、そこでいいかな?割と近いし?」
「はいっ!」
最上さんが笑顔になった。俺の待ち望んでいたその笑顔に会えて俺も顔が崩れてしまうのを抑えられない。
程なく目的のレストランに到着して、俺はさっと車を降りると助手席側に回る。助手席のドアを開けて「到着しましたよ、お嬢さん?」と手を差しのべると、ごく自然に手が重ねられた。軽く引き寄せるとぽすんと腕の中に収まってしまう。そして上目遣いで俺を見上げて「ありがとうございます」と笑顔を炸裂されてしまえば、俺の思考回路は一瞬でショートして動けなくなる。
「つるが…さん?」というよびかけにハッとして彼女をもう一度見ると少し心配そうな顔で俺を見上げている。
「敦賀さん、お疲れなんじゃないですか?」
「いや、その衣装、よく似合ってると思って。他の男が見立てたのがなんだか悔しくて、ね?」
「えっ?ありがとうございます。」
「さぁ、行こうか。ハンバーグが待ってるよ?」
「はいっ!」
俺は最上さんの腰をしっかりホールドしてエスコートする。最上さんはさっきとは違ってちゃんと自分の足で歩みを進める。でも、俺の手を拒む事なく寄り添ってくれる。
俺はそんな君に、期待してもいいのかな?
「最上さん、お腹空いてない?」
そんな問いかけをしたのは車のコックピットの時計が夕方7時を差していたから。お昼前からスタジオ入りしたから普通ならそろそろお腹のむしが騒ぎ出す頃だ。
「そういえば…、はい。」と答えた最上さんはまだションボリした顔をしている。この娘を笑顔にするにはどうすればいいんだろう?
「あの、珍しいですね。敦賀さんからお腹の具合をきかれるなんて…。」
「そういえばそうだね。君のお陰で一応気にするようにはなってきたのかな?」
「私ごときが少しでも敦賀さんのお役に立てたなら嬉しいです。」
「いや、いつも本当にありがとう。」
「そんな…。」
「それじゃ、今日はいつものお礼にご馳走するよ。何が食べたい?」
「えっ、そんな…、私は…そんなに大した事もしてませんから…」
「俺の気持ちだよ。感謝してるんだ、本当に。」
「…はい、ありがとうございます。」
「この前取材で使ったレストランなんだけど、ハンバーグが大人気らしいんだ。最上さん、ハンバーグ好きだったよね?」
「は、はいっ!ハンバーグ大好きですっ!」
「なら、そこでいいかな?割と近いし?」
「はいっ!」
最上さんが笑顔になった。俺の待ち望んでいたその笑顔に会えて俺も顔が崩れてしまうのを抑えられない。
程なく目的のレストランに到着して、俺はさっと車を降りると助手席側に回る。助手席のドアを開けて「到着しましたよ、お嬢さん?」と手を差しのべると、ごく自然に手が重ねられた。軽く引き寄せるとぽすんと腕の中に収まってしまう。そして上目遣いで俺を見上げて「ありがとうございます」と笑顔を炸裂されてしまえば、俺の思考回路は一瞬でショートして動けなくなる。
「つるが…さん?」というよびかけにハッとして彼女をもう一度見ると少し心配そうな顔で俺を見上げている。
「敦賀さん、お疲れなんじゃないですか?」
「いや、その衣装、よく似合ってると思って。他の男が見立てたのがなんだか悔しくて、ね?」
「えっ?ありがとうございます。」
「さぁ、行こうか。ハンバーグが待ってるよ?」
「はいっ!」
俺は最上さんの腰をしっかりホールドしてエスコートする。最上さんはさっきとは違ってちゃんと自分の足で歩みを進める。でも、俺の手を拒む事なく寄り添ってくれる。
俺はそんな君に、期待してもいいのかな?