side 蓮
社さんと別れた後、俺は最上さんを抱き上げたまま彼女の楽屋に向かった。下ろしてく列言い募る最上さんに「今はまだ歩けないんだから遠慮しないように」と言い含めて大人しくさせる。最上さんは大人しくはなったがしゅんとしてしまった。俺は君にそんな顔をさせたい訳じゃないんだ。俺は彼女の頭を軽くポンポンと撫でて歩みを進めた。彼女の華奢な体は羽根のように軽くて、いったいこの体のどこにあんなパワーを秘めているのかと思うほどだ。そこがまた俺の加護欲を掻き立てるんだけれど、ね。
彼女の楽屋につくと彼女をパイプ椅子に座らせて帰り支度を始めた。彼女の私服はきちんと畳んで紙袋に入れてあったのでそれと彼女の手荷物を持って彼女に振り返る。
「最上さん、荷物はこれだけでいいのかな?」
「…はい」
彼女の消え入りそうな声に少し笑ってしまった。
「立てるかい?」
と聞くと
「は、はいっ!」と元気な返事が返ってきて少し残念に思ってしまった。
「それじゃ行こうか?」と手を差しのべると、彼女はその手を頼りに立とうとしたがまだ上手くいかない。
「なんだ、まだ無理しちゃダメだよ?」と言ってまた片手で彼女を抱き上げる。
「つ、敦賀…さん、大丈夫…ですから…」
「全然大丈夫じゃないじゃないか。今は恋人役の俺に甘えて?」
「それは、もう、終わったじゃ…ないですか。」
最後の方は本当に小さな声で聞き取るのがやっとだった。もしかして、恋人役が終わるのを少しは寂しいと思ってくれているのだろうか?
「さっきも言っただろ?もう少し恋人気分でって。ダメかな?」
そう言って見上げるといつもと違う方向からの自然に彼女の顔が一気に赤くなるのが解る。
「ダメ…じゃ、ないで…す。」
「じゃあ行こうか?」
「…はい」
俺は彼女のそんな反応に気をよくして歩き出す。
地下駐車場に置いてある車まで歩いて、助手席のドアを開いて彼女を乗せると「ありがとうございました。」と小さな呟きに気持ちはほっこりする。彼女の荷物は後部座席に置いて助手席のドアを閉めた。
運転席側にまわって乗り込むと最上さんに申し訳無さそうに謝られてしまった。
「敦賀さん、ごめんなさい、ご迷惑お掛けしちゃって…。」
その消え入りそうなその声にドキッとしてしまう。助手席に背中を預けてこちらを伺う最上さんがとても儚げで、綺麗だ。
俺は何も言わずに車を滑らせた。
社さんと別れた後、俺は最上さんを抱き上げたまま彼女の楽屋に向かった。下ろしてく列言い募る最上さんに「今はまだ歩けないんだから遠慮しないように」と言い含めて大人しくさせる。最上さんは大人しくはなったがしゅんとしてしまった。俺は君にそんな顔をさせたい訳じゃないんだ。俺は彼女の頭を軽くポンポンと撫でて歩みを進めた。彼女の華奢な体は羽根のように軽くて、いったいこの体のどこにあんなパワーを秘めているのかと思うほどだ。そこがまた俺の加護欲を掻き立てるんだけれど、ね。
彼女の楽屋につくと彼女をパイプ椅子に座らせて帰り支度を始めた。彼女の私服はきちんと畳んで紙袋に入れてあったのでそれと彼女の手荷物を持って彼女に振り返る。
「最上さん、荷物はこれだけでいいのかな?」
「…はい」
彼女の消え入りそうな声に少し笑ってしまった。
「立てるかい?」
と聞くと
「は、はいっ!」と元気な返事が返ってきて少し残念に思ってしまった。
「それじゃ行こうか?」と手を差しのべると、彼女はその手を頼りに立とうとしたがまだ上手くいかない。
「なんだ、まだ無理しちゃダメだよ?」と言ってまた片手で彼女を抱き上げる。
「つ、敦賀…さん、大丈夫…ですから…」
「全然大丈夫じゃないじゃないか。今は恋人役の俺に甘えて?」
「それは、もう、終わったじゃ…ないですか。」
最後の方は本当に小さな声で聞き取るのがやっとだった。もしかして、恋人役が終わるのを少しは寂しいと思ってくれているのだろうか?
「さっきも言っただろ?もう少し恋人気分でって。ダメかな?」
そう言って見上げるといつもと違う方向からの自然に彼女の顔が一気に赤くなるのが解る。
「ダメ…じゃ、ないで…す。」
「じゃあ行こうか?」
「…はい」
俺は彼女のそんな反応に気をよくして歩き出す。
地下駐車場に置いてある車まで歩いて、助手席のドアを開いて彼女を乗せると「ありがとうございました。」と小さな呟きに気持ちはほっこりする。彼女の荷物は後部座席に置いて助手席のドアを閉めた。
運転席側にまわって乗り込むと最上さんに申し訳無さそうに謝られてしまった。
「敦賀さん、ごめんなさい、ご迷惑お掛けしちゃって…。」
その消え入りそうなその声にドキッとしてしまう。助手席に背中を預けてこちらを伺う最上さんがとても儚げで、綺麗だ。
俺は何も言わずに車を滑らせた。