side 蓮

撮影現場にはジョンが来てくれていた。そして仕上がったばかりだというiPoneケースを二つ手渡された。限定品という事で木製の化粧箱まで用意したというのだからさすがというしかないだろう。
中身を確認しろと言われて、そっと木箱をあけてみるとライトブラウンのケースがちょこんと入っていた。取り出して背面を見ると右下に刻印がある。
『armandy 00000-F kyoko』
俺の物を見るとダークブラウンの同じ場所に『armandy 00000-M Ren』とある。その刻印を見るだけで顔が崩れるのを堪えるので精一杯になるなんて、俺はいったいなんなんだろう…。

『最上さん用のものはプレゼント仕様にラッピングをするから取りあえず一度返してくれ。後で蓮に渡すから。』というジョンを少しだけ待たせて、背面のカードケースに俺の部屋のカードキーを入れた。そのままケースを木箱に納めてジョンに渡した。
ラッピングを施されて戻ってきたケースはアルマンディの包装紙を纏って落ち着いた雰囲気になっていた。

俺は自分用のケースにiPoneを入れてポケットに入れた。こそっとお揃いの予定が公共の電波に乗せて日本全国に見せびらかす事になるなんて。最上さんがちゃんと使ってくれるかどうかは解らないけど、記念品扱いくらいはしてくれたら嬉しいな。撮影本番では彼の設定を借りて最上さんへの気持ちを伝えられたらいいんだけれど…。