iPoneを耳に当てるとさっきと同じようにトゥルルルルというコール音が聞こえる。数回のコール音の後に電話は繋がった。するといきなり『申し訳ございませんでした!!』と最上さんの絶叫が響く。俺は即座にびしっと土下座する最上さんの姿を想像してしまった。だめだ、笑いが込み上げてくる。一生懸命笑いをこらえようとするが、それは逆効果で最初小刻みに揺れだした肩がどんどん大きく揺れだして、結局は我慢できずに爆笑してしまった。どれくらい笑っていただろう。やっとの事で呼吸を整えてiPoneの向こうにいる最上さんに話しかける。
『まいったな、最上さんには敵わない。これ、俺のプライベートの携帯だから登録しといてね。』
まだ気を抜くと笑いがぶり返しそうなのを必死で堪えてそう言ったところでADさんが出番を告げに訪れた。
『出番らしいから』と通話を終えてスタジオに向かう。
次に会う時、俺もiPoneを持ってる事を教えたらあの娘はどんな顔をするだろう。色違いのケースを渡したら使ってくれるのだろうか…?

最上さんに会った時には彼女の反応が楽しめるだろうが、それはまた別の機会に。

Fin