サイド蓮
俺は一体どれだけ彼女に救われたら一人立ち出来るんだろう。気まずい空間で距離を詰めてくれたのは彼女、気不味い沈黙を破ってくれたのも彼女。結局は何もかも彼女がきっかけを作ってくれて、俺はそれに乗っかっているだけだ。なのに、彼女はいつも俺を立てて控えめな態度を変えたりしない。大和撫子ってのはきっと彼女みたいな女性の事をいうのだろう。それに比べて俺はなんとも情けない。『敦賀蓮』は業界一いい男の称号を欲しいままにしているが、キョーコちゃんの前にいる俺はただのダメ男でしかない。彼女がいないと何も出来ないヘタレ男だ。彼女の前では大人で格好いい紳士でいたいと思うのに、そう想う程に情けない部分ばかりを晒している。そんな情けない俺をキョーコちゃんは笑顔で受け入れてくれる。こんな俺には過ぎた女性だ。そんな事を考え始めると俺はどんどんネガに落ちてしまう。
マグカップをシンクの中に置いてキッチンを出る。ふとキッチンを振り替えるとキョーコちゃんがそこにいて俺に笑いかけてくれる笑顔が思い浮かぶ。それだけで自分の顔が崩れていくのを実感する。俺は…重症だな。
そして、部屋でまってくれているであろう彼女のもとに急ぐ。
扉の前まで来てから深呼吸を二つ。急いで少し息が上がっていることをキョーコちゃんに気づかれないように、ごく自然にゆったりした動作を演じながら扉を開けて部屋に入る。照明を最低限に抑えた室内きキョーコちゃんの気配があるだけでこんなに穏やかな気持ちになって、同時にドキドキと落ち着かない。彼女がいるはずのソファを見ればキョーコちゃんは俺が部屋を出た時と同じ姿勢でソファの隅に丸まっている。「キョーコちゃん、お待たせ。」隣に座って声をかけても反応がない。不思議に思ってよく見ると眠っているようだ。規則正しい小さな寝息が聞こえてきて、俺は思わず失笑してしまった。疲れてたんだね、ごめんよ、キョーコちゃん…。
俺は彼女を起こしてしまわないように横抱きに抱き上げてそっとベッドに横たえるとブランケットをかけてやる。そしてさっきまで彼女が眠っていたソファに体を沈めて目を閉じた。
今夜は怖い夢にうなされる事はないだろう。
俺は一体どれだけ彼女に救われたら一人立ち出来るんだろう。気まずい空間で距離を詰めてくれたのは彼女、気不味い沈黙を破ってくれたのも彼女。結局は何もかも彼女がきっかけを作ってくれて、俺はそれに乗っかっているだけだ。なのに、彼女はいつも俺を立てて控えめな態度を変えたりしない。大和撫子ってのはきっと彼女みたいな女性の事をいうのだろう。それに比べて俺はなんとも情けない。『敦賀蓮』は業界一いい男の称号を欲しいままにしているが、キョーコちゃんの前にいる俺はただのダメ男でしかない。彼女がいないと何も出来ないヘタレ男だ。彼女の前では大人で格好いい紳士でいたいと思うのに、そう想う程に情けない部分ばかりを晒している。そんな情けない俺をキョーコちゃんは笑顔で受け入れてくれる。こんな俺には過ぎた女性だ。そんな事を考え始めると俺はどんどんネガに落ちてしまう。
マグカップをシンクの中に置いてキッチンを出る。ふとキッチンを振り替えるとキョーコちゃんがそこにいて俺に笑いかけてくれる笑顔が思い浮かぶ。それだけで自分の顔が崩れていくのを実感する。俺は…重症だな。
そして、部屋でまってくれているであろう彼女のもとに急ぐ。
扉の前まで来てから深呼吸を二つ。急いで少し息が上がっていることをキョーコちゃんに気づかれないように、ごく自然にゆったりした動作を演じながら扉を開けて部屋に入る。照明を最低限に抑えた室内きキョーコちゃんの気配があるだけでこんなに穏やかな気持ちになって、同時にドキドキと落ち着かない。彼女がいるはずのソファを見ればキョーコちゃんは俺が部屋を出た時と同じ姿勢でソファの隅に丸まっている。「キョーコちゃん、お待たせ。」隣に座って声をかけても反応がない。不思議に思ってよく見ると眠っているようだ。規則正しい小さな寝息が聞こえてきて、俺は思わず失笑してしまった。疲れてたんだね、ごめんよ、キョーコちゃん…。
俺は彼女を起こしてしまわないように横抱きに抱き上げてそっとベッドに横たえるとブランケットをかけてやる。そしてさっきまで彼女が眠っていたソファに体を沈めて目を閉じた。
今夜は怖い夢にうなされる事はないだろう。