サイド蓮
横浜のロケの後からキョーコちゃんが少し遠くなった。闇に囚われた俺を光の元に連れ戻してくれた彼女に感謝しているし、ロケ後のお忍びデートは俺に幸せを運んでくれたのに、東京に帰って来てからなんとなく距離を保たれている気がする。
もしかして俺、嫌われてるのかな…?そんな事を考え始めるとどんどん気持ちは沈んでしまう。そんな後ろ向きな考えを必死で打ち消して彼女を見れば、彼女は軟らかい笑顔を返してくれる。その笑顔が俺だけに向けられている事に幸せを感じながら、彼女との時間を過ごすのに、いつもどこか不安で仕方がない。あの時に堕ちた真っ暗な世界に逆戻りしてしまうのではないかと怖くなる。この光の世界と俺を繋ぎ止めてくれるのは彼女の笑顔だけ。そう思うほどに気持ちが沈んでしまうのは彼女との微妙な距離のせいだろう。
横浜から帰って2日ぶりにゲストハウスで二人、遅めの夕食を終えて、後片付けを手伝おうとする俺を制して「私がやりますから敦賀さんは先にゆっくりして下さい。」とキョーコは俺をバスルームへ向かわせる。俺はキョーコちゃんに促されるままシャワーを浴びてリビングに戻った。キョーコちゃんはキッチンで明日の朝食の用意をしていた。バスルームから俺が出てきた事に気付いて冷えたミネラルウォーターを手渡しながら「これが終わったら私もシャワーして寝ますから。」と今度は寝室に追いやられる。俺はキョーコちゃんに言われるままに寝室に入ってベッドに腰かけた。なんとなくキョーコちゃんがいつもと違うように感じた。言葉も態度もいつもと変わらない。けれどなんとなく空気が違う。朝の件があったので気遣われているのかもと思ってあえて気にしないようにした。サイドテーブルにミネラルウォーターのボトルを置いてベッドに横たわると改めてベッドの広さを感じる。これまでずっと彼女が隣にいたからゆったり眠れる大きなベッドがとても快適だったのに、今はこの広さがさらに俺の不安を煽る。このままここに一人で取り残されてしまったら…。そんな事が頭を過るともう一人きりでここにいることが出来なくなってしまった。俺は徐にベッドから起き上がって寝室を出て、彼女がいるだろうリビングへ向かった。リビングに彼女の姿はなく、俺は焦りを感じる。目が、耳が、体中の感覚が必死に彼女を探してる。キッチンの方から漏れる光と音に吸い寄せられるように近づくとそこにある彼女の存在に一気にほっとしてしまった。
横浜のロケの後からキョーコちゃんが少し遠くなった。闇に囚われた俺を光の元に連れ戻してくれた彼女に感謝しているし、ロケ後のお忍びデートは俺に幸せを運んでくれたのに、東京に帰って来てからなんとなく距離を保たれている気がする。
もしかして俺、嫌われてるのかな…?そんな事を考え始めるとどんどん気持ちは沈んでしまう。そんな後ろ向きな考えを必死で打ち消して彼女を見れば、彼女は軟らかい笑顔を返してくれる。その笑顔が俺だけに向けられている事に幸せを感じながら、彼女との時間を過ごすのに、いつもどこか不安で仕方がない。あの時に堕ちた真っ暗な世界に逆戻りしてしまうのではないかと怖くなる。この光の世界と俺を繋ぎ止めてくれるのは彼女の笑顔だけ。そう思うほどに気持ちが沈んでしまうのは彼女との微妙な距離のせいだろう。
横浜から帰って2日ぶりにゲストハウスで二人、遅めの夕食を終えて、後片付けを手伝おうとする俺を制して「私がやりますから敦賀さんは先にゆっくりして下さい。」とキョーコは俺をバスルームへ向かわせる。俺はキョーコちゃんに促されるままシャワーを浴びてリビングに戻った。キョーコちゃんはキッチンで明日の朝食の用意をしていた。バスルームから俺が出てきた事に気付いて冷えたミネラルウォーターを手渡しながら「これが終わったら私もシャワーして寝ますから。」と今度は寝室に追いやられる。俺はキョーコちゃんに言われるままに寝室に入ってベッドに腰かけた。なんとなくキョーコちゃんがいつもと違うように感じた。言葉も態度もいつもと変わらない。けれどなんとなく空気が違う。朝の件があったので気遣われているのかもと思ってあえて気にしないようにした。サイドテーブルにミネラルウォーターのボトルを置いてベッドに横たわると改めてベッドの広さを感じる。これまでずっと彼女が隣にいたからゆったり眠れる大きなベッドがとても快適だったのに、今はこの広さがさらに俺の不安を煽る。このままここに一人で取り残されてしまったら…。そんな事が頭を過るともう一人きりでここにいることが出来なくなってしまった。俺は徐にベッドから起き上がって寝室を出て、彼女がいるだろうリビングへ向かった。リビングに彼女の姿はなく、俺は焦りを感じる。目が、耳が、体中の感覚が必死に彼女を探してる。キッチンの方から漏れる光と音に吸い寄せられるように近づくとそこにある彼女の存在に一気にほっとしてしまった。