サイドキョーコ
横浜ロケのあの朝からなんとなく敦賀さんの顔を見るのが少し怖い。敦賀さんはいつもと変わらない。穏やかな笑顔と優しい声、何くれとなくいつも傍に居てくれる。ゲストルームでの生活は快適で楽しいし、何の不自由も文句もない。なのに、敦賀さんとの距離を少しだけ開けようとしてしまう私がいる。解ってる。とても怖かった。あの朝の敦賀さんが…。感情と感覚を失った表情。私を映してはくれない瞳、私の声が届かない事に悲しいとか寂しいとかではなく怖いと感じた。あの時は失いたくないと必死で、どこかに行ってしまった敦賀さんをなんとか呼び戻せた。その事に安心したし、とても嬉しかった。でも、またそうなったら?敦賀さんがまたどこかへ行ってしまったら、私は…、多分堪えられない。こんな私が敦賀さんの傍にいる事自体、過分な事だと想う。敦賀さんの凄さは社長からいただいた資料の内容だけでも解るし、撮影現場での周りの対応からも推し量る事が出来る。そんな敦賀さんが私ごとき駆け出しのタレントに目をかけて下さる現状は奇跡でしかないと想う。それわ当たり前のように受けて、あまつさえ失いたくないなんて想う私は身の程知らずでしかない。こんな私が傍にいる事を今は許されているけれど、そう長くは続かない事は簡単に想像出来る。だから、必要以上に近づかないようにした。いや、近づけなくなったの。そうしたらあっという間に必要以上の距離が出来てしまったような気がする。それでも、敦賀さんは笑いかけてくれるし、私を疎んだりする事はない。その事に安心する。近づき過ぎて嫌われたくない。敦賀さんに近いところ、この居心地のいい立ち位置を失いたくない。敦賀さんが笑ってくれるなら何だってするけれど、敦賀さんは私のこんな分不相応な気持ちをぶつけていい相手じゃない。だから少しだけ距離をとる。この手を伸ばしてしまわないように。だから捨てないで下さい。私はいい子にしていますから。一人にしないで下さい、私は頑張りますから。わがままはいいません、困らせたりもしません。だから、こうやって貴方を見つめる事だけは許してください、敦賀さん。
横浜ロケのあの朝からなんとなく敦賀さんの顔を見るのが少し怖い。敦賀さんはいつもと変わらない。穏やかな笑顔と優しい声、何くれとなくいつも傍に居てくれる。ゲストルームでの生活は快適で楽しいし、何の不自由も文句もない。なのに、敦賀さんとの距離を少しだけ開けようとしてしまう私がいる。解ってる。とても怖かった。あの朝の敦賀さんが…。感情と感覚を失った表情。私を映してはくれない瞳、私の声が届かない事に悲しいとか寂しいとかではなく怖いと感じた。あの時は失いたくないと必死で、どこかに行ってしまった敦賀さんをなんとか呼び戻せた。その事に安心したし、とても嬉しかった。でも、またそうなったら?敦賀さんがまたどこかへ行ってしまったら、私は…、多分堪えられない。こんな私が敦賀さんの傍にいる事自体、過分な事だと想う。敦賀さんの凄さは社長からいただいた資料の内容だけでも解るし、撮影現場での周りの対応からも推し量る事が出来る。そんな敦賀さんが私ごとき駆け出しのタレントに目をかけて下さる現状は奇跡でしかないと想う。それわ当たり前のように受けて、あまつさえ失いたくないなんて想う私は身の程知らずでしかない。こんな私が傍にいる事を今は許されているけれど、そう長くは続かない事は簡単に想像出来る。だから、必要以上に近づかないようにした。いや、近づけなくなったの。そうしたらあっという間に必要以上の距離が出来てしまったような気がする。それでも、敦賀さんは笑いかけてくれるし、私を疎んだりする事はない。その事に安心する。近づき過ぎて嫌われたくない。敦賀さんに近いところ、この居心地のいい立ち位置を失いたくない。敦賀さんが笑ってくれるなら何だってするけれど、敦賀さんは私のこんな分不相応な気持ちをぶつけていい相手じゃない。だから少しだけ距離をとる。この手を伸ばしてしまわないように。だから捨てないで下さい。私はいい子にしていますから。一人にしないで下さい、私は頑張りますから。わがままはいいません、困らせたりもしません。だから、こうやって貴方を見つめる事だけは許してください、敦賀さん。