撮影中****
上野はまゆみを家の近くまで送り届けていつもと同じように別れた。「まゆみちゃん、また学校でね。」「うん、また学校で。」軽く手を振って別れ、上野は駅に向かってのんびりと歩き始めた。らしくなく本気の告白をしてみた。見事に玉砕したけれど後悔はしていない。今までずっと軽いノリで女の子と関わってきた上野は自分をこんな気持ちにさせてくれたまゆみをやはり好きだと思った。
東京に戻ると上野はみのるに連絡を入れた。「例のクライアントとの交渉は問題ない。」「お疲れさま、さすがは上野だな。」「関係書類は手元にあるけど、どうする?」「そうだな、早めに見たい。」「解った。なら持って行くよ。」通話を終えてため息を一つ。これから会うビジネスパートナーは恋敵。しかも自分はふられたばかりだ。自分を叱咤してみのるの待つ家へと向かう。
玄関から家政婦に促されて母屋に入るとみのるが部屋から顔を出した。「こっちだ。」と声をかけられたので家政婦に会釈してみのるの元に進む。みのるの部屋はシンプルで無機質だ。初めてではないが居心地があまりよくない。まるでこの部屋がみのるの心の中のようで心配になる。
「遅かったな。」上野を招き入れて部屋の扉をしめ、みのるはそう切り出した。「クライアントとの話が難航したのか?」「いや、凄くスムーズに進んだよ。これが資料だ。」みのるは手渡された封筒の中身を確認する。「なら寄り道か?」「あぁ、なんと言っても横浜だからな。」みのるの動きが止まる。油の切れたロボットのようにギギギーと軋む音を立てるような動きで目線を書類から上野に移す。「…高橋…さん?」「あぁ、まゆみちゃんに会ってきた。」「…それで?」「ノックアウト食らいました。」そう言い放ってみのるのベッドに飛び込んでうつ伏せに寝転がる上野。みのるはどう言葉をかけるべきか解らずに上野を見ていた。ベッドに突っ伏していた上野はムクッと起き上がり、みのるをキッと睨む。みのるはビクッと肩を震わせる。
「まゆみちゃんはやっぱりいい娘だよ。俺、ますます好きになっちゃったよ。」「えっ?」「あははは、お前達同じ反応するのなぁ。似た者同士ってやつか。」「似た者同士?俺と高橋さんが?」「あぁ、彼女も俺の告白聞きながらそんな顔してたよ。驚いてどうしていいか解らなくてって顔。」「俺が…?」「俺は動いた。結果は散々だったけど後悔はない。さぁ、お前はどうする?」上野が不適に笑った。
上野はまゆみを家の近くまで送り届けていつもと同じように別れた。「まゆみちゃん、また学校でね。」「うん、また学校で。」軽く手を振って別れ、上野は駅に向かってのんびりと歩き始めた。らしくなく本気の告白をしてみた。見事に玉砕したけれど後悔はしていない。今までずっと軽いノリで女の子と関わってきた上野は自分をこんな気持ちにさせてくれたまゆみをやはり好きだと思った。
東京に戻ると上野はみのるに連絡を入れた。「例のクライアントとの交渉は問題ない。」「お疲れさま、さすがは上野だな。」「関係書類は手元にあるけど、どうする?」「そうだな、早めに見たい。」「解った。なら持って行くよ。」通話を終えてため息を一つ。これから会うビジネスパートナーは恋敵。しかも自分はふられたばかりだ。自分を叱咤してみのるの待つ家へと向かう。
玄関から家政婦に促されて母屋に入るとみのるが部屋から顔を出した。「こっちだ。」と声をかけられたので家政婦に会釈してみのるの元に進む。みのるの部屋はシンプルで無機質だ。初めてではないが居心地があまりよくない。まるでこの部屋がみのるの心の中のようで心配になる。
「遅かったな。」上野を招き入れて部屋の扉をしめ、みのるはそう切り出した。「クライアントとの話が難航したのか?」「いや、凄くスムーズに進んだよ。これが資料だ。」みのるは手渡された封筒の中身を確認する。「なら寄り道か?」「あぁ、なんと言っても横浜だからな。」みのるの動きが止まる。油の切れたロボットのようにギギギーと軋む音を立てるような動きで目線を書類から上野に移す。「…高橋…さん?」「あぁ、まゆみちゃんに会ってきた。」「…それで?」「ノックアウト食らいました。」そう言い放ってみのるのベッドに飛び込んでうつ伏せに寝転がる上野。みのるはどう言葉をかけるべきか解らずに上野を見ていた。ベッドに突っ伏していた上野はムクッと起き上がり、みのるをキッと睨む。みのるはビクッと肩を震わせる。
「まゆみちゃんはやっぱりいい娘だよ。俺、ますます好きになっちゃったよ。」「えっ?」「あははは、お前達同じ反応するのなぁ。似た者同士ってやつか。」「似た者同士?俺と高橋さんが?」「あぁ、彼女も俺の告白聞きながらそんな顔してたよ。驚いてどうしていいか解らなくてって顔。」「俺が…?」「俺は動いた。結果は散々だったけど後悔はない。さぁ、お前はどうする?」上野が不適に笑った。