撮影中****

遅めの朝食、散歩道、公園…、久しぶりにゆったりのんびりした休日。しかも隣には聡明で可愛らしい女性が座っている。上野は本当に穏やかな時間を過ごしている。『プレーボーイ』の浮き名を流している上野は今までそれこそ沢山の女性と関わってきたが、こんなに穏やかな時間を過ごしたのは初めてではないかと思うほどだ。あのみのるでさえも惹かれてしまうその魅力に上野もまた抗えない。思わずすぐそこにある温もりに手を伸ばしてしまいそうになる。その衝動をぐっと堪えてしまうのは、まさに純粋培養という言葉がぴったり似合うまゆみを汚してはいけないと思ってしまうから。そんないつもと勝手の違う相手と、いつものように自分のペースに持ち込めない自分に上野は苦笑する。だが困った事にそんならしくない自分も嫌いではないと思ってしまう。今まで知らなかった新しい自分を見つけた事を嬉しくも思う。だが、どんどんまゆみに惹かれて傾いている気持ちをこのままにしておく事はもう出来ない程にまゆみへの気持ちは育ってしまった。
「まゆみちゃん、俺と付き合ってくれないかい?」
「えっ…?」
二人の時間が世界から切り離された。