撮影中****
「まゆみちゃん、俺、朝食まだなんだ。腹ペコだよ。」と言われてまた上野を見上げると上野は笑っていた。いつもの笑顔で。その笑顔にほっとしてまゆみは言い募る。「だめじゃない、食事は生活の基本よ。疎かにしてたら後で絶対に後悔するんだからっ!」「はい。だからさぁ、これから俺のブランチに付き合ってくんないかなぁ?」「えっ?」「市内なら色々とあるでしょ。」「うん、それはまぁあるよ。」「重くなりすぎずに少しゆっくり出来るところがいいな。」こうなればもう上野のペースだ。「こっから歩ける範囲でどこか知らないかな?」「多分あるよ。湊町だからね。」と綺麗に笑うまゆみ。「では、よろしくお願いします。」と上野は軽く首を傾げてお願いしてくる。「仕方ないなあ、じゃあ、行きましょうか?」とまゆみが言うと上野は「やったぁっ!」と大喜びで歩き始めた。「上野くん!お店解らないんじゃないの?」とさっさと歩いていく上野を小走りで追いかける。「馬車道を抜けて少し行った所に可愛いお店があったんだ。」追い付いてきたまゆみにそう告げる上野をまゆみはキッと睨んで「知ってるなら私に案内させなくてもいいじゃないっ!」と抗議する。「一人で食べるより可愛い娘と一緒の方が数倍美味しいからね?」と悪びれもせずに言い放つ上野。「もぉっ!」とまだ物言いたげなまゆみ。上野はそんなまゆみの右手を取って歩を進める。まゆみは引かれるままに上野について歩く。
煉瓦を敷き詰めた道。点々と立っているガス灯。中世ヨーロッパを想像させる歴史資料館の前を通り、二人はゆっくりと歩く。午前中の柔らかな日差しが街路樹をキラキラさせている。上野に捕まれた手から上野の温もりが伝わってくる。ほっとする温もりと大きな背中。もしも実の父がいればこんな感じなのだろうか。それとも兄がいたならこんなふうに安心させてくれるのだろうか…。まゆみは上野の背中をぼんやり眺めながらそんな事を考えていた。そうこうしている内に二人は上野の案内で目的とするカフェについた。
「まゆみちゃん、俺、朝食まだなんだ。腹ペコだよ。」と言われてまた上野を見上げると上野は笑っていた。いつもの笑顔で。その笑顔にほっとしてまゆみは言い募る。「だめじゃない、食事は生活の基本よ。疎かにしてたら後で絶対に後悔するんだからっ!」「はい。だからさぁ、これから俺のブランチに付き合ってくんないかなぁ?」「えっ?」「市内なら色々とあるでしょ。」「うん、それはまぁあるよ。」「重くなりすぎずに少しゆっくり出来るところがいいな。」こうなればもう上野のペースだ。「こっから歩ける範囲でどこか知らないかな?」「多分あるよ。湊町だからね。」と綺麗に笑うまゆみ。「では、よろしくお願いします。」と上野は軽く首を傾げてお願いしてくる。「仕方ないなあ、じゃあ、行きましょうか?」とまゆみが言うと上野は「やったぁっ!」と大喜びで歩き始めた。「上野くん!お店解らないんじゃないの?」とさっさと歩いていく上野を小走りで追いかける。「馬車道を抜けて少し行った所に可愛いお店があったんだ。」追い付いてきたまゆみにそう告げる上野をまゆみはキッと睨んで「知ってるなら私に案内させなくてもいいじゃないっ!」と抗議する。「一人で食べるより可愛い娘と一緒の方が数倍美味しいからね?」と悪びれもせずに言い放つ上野。「もぉっ!」とまだ物言いたげなまゆみ。上野はそんなまゆみの右手を取って歩を進める。まゆみは引かれるままに上野について歩く。
煉瓦を敷き詰めた道。点々と立っているガス灯。中世ヨーロッパを想像させる歴史資料館の前を通り、二人はゆっくりと歩く。午前中の柔らかな日差しが街路樹をキラキラさせている。上野に捕まれた手から上野の温もりが伝わってくる。ほっとする温もりと大きな背中。もしも実の父がいればこんな感じなのだろうか。それとも兄がいたならこんなふうに安心させてくれるのだろうか…。まゆみは上野の背中をぼんやり眺めながらそんな事を考えていた。そうこうしている内に二人は上野の案内で目的とするカフェについた。