サイド蓮
キキキィーっ!!
けたたましいブレーキ音とそれに続いてドンという鈍い音が響く。周りは暗くて何も見えない。
『人殺しっ!』女性の甲高い叫び声。
俺はその言葉に頭が真っ白になる…。
俺は少ししてやっと手を握りしめていた事に気づく。そして俺の両手は濡れているようだ。握っていた手をやっくり開き、指先で濡れている感覚を確かめる。なまあたたくてぬるっとする感触は普通の水ではない。暗がりに慣れてきた目で掌を見れば、その液体は黒くて手だけではなく俺の服のあちこちにも付いている。鉄臭い臭いからそれが血液だと解る。
『人殺しっ!』の意味をそこで理解した…。俺は、俺が…、お、お、お、れは…
「うわぁぁぁぁぁっ!!!!」
俺は自分の叫び声ではっとした。心臓はあり得ない程の速鐘を打っている。肩を揺らしながら浅く速い呼吸を繰り返すが、うまく空気が入ってきているのか解らない。体をいやにひんやりした汗が流れる。今までべったりと俺の手を汚していたはずの血糊は、ない。その事に疑問と安堵を感じながら辺りを見回す。ここは俺にあてがわれたホテルの一室。目に映るもの全てがさっきの光景が夢だった事を物語る。俺はうたた寝をしていたようだ。それにしてもリアルな夢だった。
俺は呼吸を整えて汗を流すためにバスルームへ向かった。熱めのシャワーを浴びながらさっきの夢を思い返す。『人殺しっ!』の絶叫と俺の手にまとわりついた血液。とんでもない夢だったと苦笑する。現実にはない事だが、夢の中ではよくある事、俺はその時の俺の姿を見ている。夢の中で狼狽える俺は今の俺ではなく、まだ少年の面影が色濃く残る金髪碧眼の青年だった。
キキキィーっ!!
けたたましいブレーキ音とそれに続いてドンという鈍い音が響く。周りは暗くて何も見えない。
『人殺しっ!』女性の甲高い叫び声。
俺はその言葉に頭が真っ白になる…。
俺は少ししてやっと手を握りしめていた事に気づく。そして俺の両手は濡れているようだ。握っていた手をやっくり開き、指先で濡れている感覚を確かめる。なまあたたくてぬるっとする感触は普通の水ではない。暗がりに慣れてきた目で掌を見れば、その液体は黒くて手だけではなく俺の服のあちこちにも付いている。鉄臭い臭いからそれが血液だと解る。
『人殺しっ!』の意味をそこで理解した…。俺は、俺が…、お、お、お、れは…
「うわぁぁぁぁぁっ!!!!」
俺は自分の叫び声ではっとした。心臓はあり得ない程の速鐘を打っている。肩を揺らしながら浅く速い呼吸を繰り返すが、うまく空気が入ってきているのか解らない。体をいやにひんやりした汗が流れる。今までべったりと俺の手を汚していたはずの血糊は、ない。その事に疑問と安堵を感じながら辺りを見回す。ここは俺にあてがわれたホテルの一室。目に映るもの全てがさっきの光景が夢だった事を物語る。俺はうたた寝をしていたようだ。それにしてもリアルな夢だった。
俺は呼吸を整えて汗を流すためにバスルームへ向かった。熱めのシャワーを浴びながらさっきの夢を思い返す。『人殺しっ!』の絶叫と俺の手にまとわりついた血液。とんでもない夢だったと苦笑する。現実にはない事だが、夢の中ではよくある事、俺はその時の俺の姿を見ている。夢の中で狼狽える俺は今の俺ではなく、まだ少年の面影が色濃く残る金髪碧眼の青年だった。