横浜でのロケ。一日目の撮影は順調に予定を終えて、撮影クルーは新開監督を中心に中華街に来ていた。
キョーコは見るもの全てが珍しくてキョロキョロしながら「わぁ!」だの「おぉっ!」だの感嘆の声をあげている。蓮と貴島はそんなキョーコを二人で横から挟むように、三人並んで歩いている。
その後ろを新開がのんびりと、続いてセバスチャン、社、貴島のマネージャーの三人が歩く。そしてスタッフ達が続く。
一番前ではしゃぐキョーコに新開は笑いながら声をかける。「キョーコちゃん、あんまりはしゃぐと転ぶぞぉ。」キョーコは振り返えり「はぁい、気を付けます!」と満面の笑みを返す。だが前を向いてすぐにその舌の根も乾かぬ内にまた「わぁっ!」とか「きゃぁっ!」と言いながらあちこちキョロキョロしている。
「きやっっ!」と小さな悲鳴を上げてバランスを崩したキョーコ。両脇の男達がとっさに支えると「す、すいません…」としょんぼり眉尻を下げる。「大丈夫かい?」と貴島に笑いかけられて少し俯いて頬を染めるキョーコ。蓮はキョーコの頭をポンポンと撫でて「危なっかしいお姫様だな」と笑う。キョーコはそんな蓮を上目遣いで睨むように見上げる。蓮は『そんな顔も可愛いなぁ』と無表情で固まってしまう。
そこに後ろから追いついた新開が「言わんこっちゃないなぁ。ほら、キョーコちゃん、俺が捕まえててあげるよ。」とキョーコの腕を軽く掴んで前に進む。
「きゃっ!監督っ!冗談は止めてくださいよっ!」と抗議の声は虚しく、キョーコは新開に引っ張られる形で歩き始める。キョーコが体制を整えて新開に付いて歩き始めると、気をよくした新開はキョーコの腰に手を回して並んで歩き始めた。
「蓮、とんびに油揚げだな。」と後から来た社は笑いながら通り過ぎる。セバスチャンと貴島のマネージャーは無言で過ぎる。その後ろからスタッフ達にも抜かされ、蓮と貴島は立ち止まったまま顔を見合わせる。貴島がお手上げというゼスチャーをすると蓮ははぁっと大きなため息を吐く。そして二人の男はクスクスと笑いだし、その笑い声はだんだんと大きくなった。
「いや、参ったなぁ。キョーコちゃんにかかると天下の『敦賀蓮』も形無しなんだな?」と歩き始める貴島に「貴島くんだって相当浮き名を流しているだろうに完敗だよね?」と蓮も続く。
中華街の夜は穏やかに過ぎていった。
キョーコは見るもの全てが珍しくてキョロキョロしながら「わぁ!」だの「おぉっ!」だの感嘆の声をあげている。蓮と貴島はそんなキョーコを二人で横から挟むように、三人並んで歩いている。
その後ろを新開がのんびりと、続いてセバスチャン、社、貴島のマネージャーの三人が歩く。そしてスタッフ達が続く。
一番前ではしゃぐキョーコに新開は笑いながら声をかける。「キョーコちゃん、あんまりはしゃぐと転ぶぞぉ。」キョーコは振り返えり「はぁい、気を付けます!」と満面の笑みを返す。だが前を向いてすぐにその舌の根も乾かぬ内にまた「わぁっ!」とか「きゃぁっ!」と言いながらあちこちキョロキョロしている。
「きやっっ!」と小さな悲鳴を上げてバランスを崩したキョーコ。両脇の男達がとっさに支えると「す、すいません…」としょんぼり眉尻を下げる。「大丈夫かい?」と貴島に笑いかけられて少し俯いて頬を染めるキョーコ。蓮はキョーコの頭をポンポンと撫でて「危なっかしいお姫様だな」と笑う。キョーコはそんな蓮を上目遣いで睨むように見上げる。蓮は『そんな顔も可愛いなぁ』と無表情で固まってしまう。
そこに後ろから追いついた新開が「言わんこっちゃないなぁ。ほら、キョーコちゃん、俺が捕まえててあげるよ。」とキョーコの腕を軽く掴んで前に進む。
「きゃっ!監督っ!冗談は止めてくださいよっ!」と抗議の声は虚しく、キョーコは新開に引っ張られる形で歩き始める。キョーコが体制を整えて新開に付いて歩き始めると、気をよくした新開はキョーコの腰に手を回して並んで歩き始めた。
「蓮、とんびに油揚げだな。」と後から来た社は笑いながら通り過ぎる。セバスチャンと貴島のマネージャーは無言で過ぎる。その後ろからスタッフ達にも抜かされ、蓮と貴島は立ち止まったまま顔を見合わせる。貴島がお手上げというゼスチャーをすると蓮ははぁっと大きなため息を吐く。そして二人の男はクスクスと笑いだし、その笑い声はだんだんと大きくなった。
「いや、参ったなぁ。キョーコちゃんにかかると天下の『敦賀蓮』も形無しなんだな?」と歩き始める貴島に「貴島くんだって相当浮き名を流しているだろうに完敗だよね?」と蓮も続く。
中華街の夜は穏やかに過ぎていった。