撮影中****
上野は時々ぼんやりと窓の外を見るでもなく眺めているみのるを見かけるようになった。最初は偶然かと思ったが、何度も続けば何かあると解ってしまう。
「みのる、何みてんだ?」「…いや、別に。」「なんだよ、最近ぼんやりしてりよなぁ。何か考え事か?」「ん?まぁ、そんなところかな?」「なんだよ、歯切れ悪いなぁ。まゆみちゃんの事か?」「…」
いきなり核心をつかれたみのるは一瞬上野を睨んで直ぐに目をそらして俯いてしまった。
「おいおい、色男がそんな顔をするもんじゃないぜ?」「俺はそんな…。」みのるの声はとても小さくて聞き取るのがやっとだ。
「まゆみちゃんと喧嘩でもしたのか?」「そんな事はないよ。」「お前達、所謂『お付き合い』とかしないのかよ。見てて凄くじれったいんだけど?」「はっ?なんだよそれ?」「まゆみちゃんとお前、お似合いだと思うぜ。ただ言い出せないだけなら勢い付けてやっからよ。早く纏まってくんねぇかなぁ?」
「無理だ。」「は?」「無理なんだよ。」「なんでだよ?まゆみちゃんだって満更じゃないと思うぜ?」心底不思議そうな上のにみのるは打ち明ける。
「俺は、大切な存在は作れない。」「なんだよいきなり。お前今までに彼女がいた事もあったじゃないか?」「あぁ、そうだな。言われるままに付き合って求められる事に応えて、彼女達が離れていくのを見送ってきた…。」「なんだよ、この前俺が言った事、根にもってんのか?」「そうじゃないよ。言われてみればそんな関わり方しかしてなかったと気付いたんだ。」
「ふぅん、で、まゆみちゃんはどうなんだよ。」「解らない。彼女博学で、運動神経も悪くない。話の内容はとても楽しくて居心地いいんだ。」「それなら一歩踏み込んでもいいんじゃないのか?」「今のままじゃダメなのかっ?」「ダメじゃないけどさ、お前はそれでいいのか?」「……。」
みのるは机に頬杖をついてまた窓の外を眺める。上野はは大切な友達だ。だが、今のみのるは上野よりもまゆみを大切に思っている事を自覚してしまっている。まゆみの傍は居心地が良くてお気に入りの場所。だからこそ今の関係が変わってしまうのが怖いとも思っている。それ以前に、みのるは今の自分には大切な存在を作る資格などないと思っているのだ。上野はそんなみのるを眺めながらお手上げだなぁとため息を吐いて立ち去った。
上野は時々ぼんやりと窓の外を見るでもなく眺めているみのるを見かけるようになった。最初は偶然かと思ったが、何度も続けば何かあると解ってしまう。
「みのる、何みてんだ?」「…いや、別に。」「なんだよ、最近ぼんやりしてりよなぁ。何か考え事か?」「ん?まぁ、そんなところかな?」「なんだよ、歯切れ悪いなぁ。まゆみちゃんの事か?」「…」
いきなり核心をつかれたみのるは一瞬上野を睨んで直ぐに目をそらして俯いてしまった。
「おいおい、色男がそんな顔をするもんじゃないぜ?」「俺はそんな…。」みのるの声はとても小さくて聞き取るのがやっとだ。
「まゆみちゃんと喧嘩でもしたのか?」「そんな事はないよ。」「お前達、所謂『お付き合い』とかしないのかよ。見てて凄くじれったいんだけど?」「はっ?なんだよそれ?」「まゆみちゃんとお前、お似合いだと思うぜ。ただ言い出せないだけなら勢い付けてやっからよ。早く纏まってくんねぇかなぁ?」
「無理だ。」「は?」「無理なんだよ。」「なんでだよ?まゆみちゃんだって満更じゃないと思うぜ?」心底不思議そうな上のにみのるは打ち明ける。
「俺は、大切な存在は作れない。」「なんだよいきなり。お前今までに彼女がいた事もあったじゃないか?」「あぁ、そうだな。言われるままに付き合って求められる事に応えて、彼女達が離れていくのを見送ってきた…。」「なんだよ、この前俺が言った事、根にもってんのか?」「そうじゃないよ。言われてみればそんな関わり方しかしてなかったと気付いたんだ。」
「ふぅん、で、まゆみちゃんはどうなんだよ。」「解らない。彼女博学で、運動神経も悪くない。話の内容はとても楽しくて居心地いいんだ。」「それなら一歩踏み込んでもいいんじゃないのか?」「今のままじゃダメなのかっ?」「ダメじゃないけどさ、お前はそれでいいのか?」「……。」
みのるは机に頬杖をついてまた窓の外を眺める。上野はは大切な友達だ。だが、今のみのるは上野よりもまゆみを大切に思っている事を自覚してしまっている。まゆみの傍は居心地が良くてお気に入りの場所。だからこそ今の関係が変わってしまうのが怖いとも思っている。それ以前に、みのるは今の自分には大切な存在を作る資格などないと思っているのだ。上野はそんなみのるを眺めながらお手上げだなぁとため息を吐いて立ち去った。