サイドキョーコ
敦賀さんの演じるみのるくんに手を引かれついて歩き始めた私は敦賀さんの背中を見上げてドキドキしていた。きっとまゆみちゃんのドキドキがうつったんだと想う。
敦賀さんに掴まれている腕から熱が伝わってくるようでなんだかふわふわした気分になる。その大きな背中にすがるような思いでついていく。今の私はまゆみちゃんそのものなんだろうと想う。なんだかよく解らないけど凄く切ない。泣いてしまいそうなくらい切ないのにすごく安心する。まゆみちゃんはこの時すでにみのるくんを好きになってしまっていたんだろう。自分で気づかない内に好きって気持ちが大きく育っているんだわ。恋って怖い病気よね?
ねぇ敦賀さん、まゆみちゃんがみのるくんを想うように私があなたを思っていても許されますか?
サイド蓮
みのるとして掴んだまゆみの腕は思いの外細くて華奢で、儚さを感じるほどだった。台本通りの行動、台本通りのセリフ。なのに俺自身がその全てに動揺してしまう。みのるがまゆみを捕まえただけなのに、俺がキョーコちゃんの腕を掴んで離したくないと思っている。これは役とのシンクロなのか?
カットの声がかかりスタジオはざわつき始める。俺はキョーコちゃんの腕を掴んだまま社さん達の所へ戻った。なぜか手を離せないでいる。
「敦賀さん、そろそろ離していただけると嬉しいんですが…。」と控え目に訴えるキョーコちゃんに「いやだ、今この手を離したら君がどっかに行っちゃいそうだから…。」なんとも情けない顔になっている事だろう。
「クスクス、私は逃げませんよ。いつもあなたの傍にいますから。」心配そうに俺を見上げてくるキョーコちゃんに何とか笑顔を返して束縛を解く。
キョーコちゃんの腕から離れた手に感じる空気がやたらと冷たくて掌をじっと見詰めているとキョーコちゃんの小さな両手がその手を包み込んでくれた。俺は彼女の手の温かさに安心を覚えた。みのるがまゆみに抱いている気持ち、みのるはまだ気づいていないが、俺はキョーコちゃんに抱いている気持ちの名前にもう気づいている。この気持ちが『恋』なんだと、彼女の温もりが教えてくれる。ねぇキョーコちゃん。俺はみのるがまゆみを求めるよりも強く君を求めても許されるのかい?
敦賀さんの演じるみのるくんに手を引かれついて歩き始めた私は敦賀さんの背中を見上げてドキドキしていた。きっとまゆみちゃんのドキドキがうつったんだと想う。
敦賀さんに掴まれている腕から熱が伝わってくるようでなんだかふわふわした気分になる。その大きな背中にすがるような思いでついていく。今の私はまゆみちゃんそのものなんだろうと想う。なんだかよく解らないけど凄く切ない。泣いてしまいそうなくらい切ないのにすごく安心する。まゆみちゃんはこの時すでにみのるくんを好きになってしまっていたんだろう。自分で気づかない内に好きって気持ちが大きく育っているんだわ。恋って怖い病気よね?
ねぇ敦賀さん、まゆみちゃんがみのるくんを想うように私があなたを思っていても許されますか?
サイド蓮
みのるとして掴んだまゆみの腕は思いの外細くて華奢で、儚さを感じるほどだった。台本通りの行動、台本通りのセリフ。なのに俺自身がその全てに動揺してしまう。みのるがまゆみを捕まえただけなのに、俺がキョーコちゃんの腕を掴んで離したくないと思っている。これは役とのシンクロなのか?
カットの声がかかりスタジオはざわつき始める。俺はキョーコちゃんの腕を掴んだまま社さん達の所へ戻った。なぜか手を離せないでいる。
「敦賀さん、そろそろ離していただけると嬉しいんですが…。」と控え目に訴えるキョーコちゃんに「いやだ、今この手を離したら君がどっかに行っちゃいそうだから…。」なんとも情けない顔になっている事だろう。
「クスクス、私は逃げませんよ。いつもあなたの傍にいますから。」心配そうに俺を見上げてくるキョーコちゃんに何とか笑顔を返して束縛を解く。
キョーコちゃんの腕から離れた手に感じる空気がやたらと冷たくて掌をじっと見詰めているとキョーコちゃんの小さな両手がその手を包み込んでくれた。俺は彼女の手の温かさに安心を覚えた。みのるがまゆみに抱いている気持ち、みのるはまだ気づいていないが、俺はキョーコちゃんに抱いている気持ちの名前にもう気づいている。この気持ちが『恋』なんだと、彼女の温もりが教えてくれる。ねぇキョーコちゃん。俺はみのるがまゆみを求めるよりも強く君を求めても許されるのかい?