撮影中****
部屋に帰り、広いベッドに身体を横たえて天井を眺める。みのるは困惑していた。まゆみに何度か女子学生をふる現場を見られた時、『不味いところを見られた』と思った。今までそんなふうに思った事などなかったのに。まゆみに嫌味を言われると何故か胸の奥がキュっと痛くなった。
さっき、まゆみが危ないのではと思ったら頭で考えるよりも先に身体が反応していた。らしくなく焦って『走る』などというみのるにとっての奇行をしてしまった。まゆみを男子学生達の中から奪った時、ほっとして、そしてとても嬉しかった。まゆみが上野を知っていた事実に驚きと寂しさを感じた。上野に言われるまでそんな『怖い顔』をしているなんて気づきもしなかったが。
みのるはまゆみの存在が危険だと思った。彼女はみのるが知らないみのるをさらけ出させてしまう。みのるがみのるでいられなくなるのではないかと思う程に心を揺さぶられてしまう。まゆみがいなければみのるは心穏やかに過ごす事ができるのではないかと考えるが、ふと気づくと五感全てがまゆみを探している。広いキャンパスでまゆみを見つけた時は星の砂を見つけたような衝撃を毎回みのるに運んできた。
みのるはそんな自分が信じられない。他人の存在が自分にこれほどまでに影響を与える事などなかった。老若男女を問わず、人はみな自分の前に現れ、過ぎ去っていく。関わり方は人それぞれだったがみのるのスタンスが変わる事はなかった。なのにまゆみに対してはどうしていいのか解らない。いつものように付かず離れずの距離が保てない。いや、彼女の事を『知りたい』とさえ思ってしまう自分がいる。そんな事は初めてだった。
そして、みのるはそんな心の動きの名前をまだ知らずにいる。心のと後かでその気持ちの名前を知ってはいけないと、無意識の内に避けている。だが、そんなみのるの動揺をおいてけぼりにして、その気持ちだけはどんどん育ってしまっていた。その気持ちの名前が『恋』だとみのるが知るのはもう少し先の話になるのだが…。
部屋に帰り、広いベッドに身体を横たえて天井を眺める。みのるは困惑していた。まゆみに何度か女子学生をふる現場を見られた時、『不味いところを見られた』と思った。今までそんなふうに思った事などなかったのに。まゆみに嫌味を言われると何故か胸の奥がキュっと痛くなった。
さっき、まゆみが危ないのではと思ったら頭で考えるよりも先に身体が反応していた。らしくなく焦って『走る』などというみのるにとっての奇行をしてしまった。まゆみを男子学生達の中から奪った時、ほっとして、そしてとても嬉しかった。まゆみが上野を知っていた事実に驚きと寂しさを感じた。上野に言われるまでそんな『怖い顔』をしているなんて気づきもしなかったが。
みのるはまゆみの存在が危険だと思った。彼女はみのるが知らないみのるをさらけ出させてしまう。みのるがみのるでいられなくなるのではないかと思う程に心を揺さぶられてしまう。まゆみがいなければみのるは心穏やかに過ごす事ができるのではないかと考えるが、ふと気づくと五感全てがまゆみを探している。広いキャンパスでまゆみを見つけた時は星の砂を見つけたような衝撃を毎回みのるに運んできた。
みのるはそんな自分が信じられない。他人の存在が自分にこれほどまでに影響を与える事などなかった。老若男女を問わず、人はみな自分の前に現れ、過ぎ去っていく。関わり方は人それぞれだったがみのるのスタンスが変わる事はなかった。なのにまゆみに対してはどうしていいのか解らない。いつものように付かず離れずの距離が保てない。いや、彼女の事を『知りたい』とさえ思ってしまう自分がいる。そんな事は初めてだった。
そして、みのるはそんな心の動きの名前をまだ知らずにいる。心のと後かでその気持ちの名前を知ってはいけないと、無意識の内に避けている。だが、そんなみのるの動揺をおいてけぼりにして、その気持ちだけはどんどん育ってしまっていた。その気持ちの名前が『恋』だとみのるが知るのはもう少し先の話になるのだが…。