サイド蓮
カウンセリングの時間は正直言って苦痛だった。俺にはこれまでの記憶がない。それは異常な状態だとは思う。だが、今の俺はその記憶がそれほど大事なものなのか解らない。今を生きるのに過去はそれほど必要なのだろうか。知識や経験というのであれば、確かに積み重ねて培われた物なのだろうけれど、今の俺にはあまり必要ないもののように思えてしまう。
例えば、俺が失った記憶を取り戻したいと強く願うならばその為のプロセスや努力は必要だ。でも、なぜか俺はそれを求めていない。逆に今の何の柵もない環境が心地よく思えてしまう程だ。この考え方は異常なのだろうか…。
鈴木という医者は困っている事はないかと聞いた。答えはノーだ。だから、今日のようなカウンセリングが続くのならば俺には必要ないのではないか?
俺は俺だ。今を生きて、敦賀蓮を演じる。演じる事で何か見えてくるものが有ればいい。無ければないでも構わない。今の俺は多くを求めてはいないと思う。ただ、自分であり続ける事。それと彼女を守る事。それさえ出来ればいい。そして、その為には多分俺は死をも厭わない。
カウンセリングの時間は正直言って苦痛だった。俺にはこれまでの記憶がない。それは異常な状態だとは思う。だが、今の俺はその記憶がそれほど大事なものなのか解らない。今を生きるのに過去はそれほど必要なのだろうか。知識や経験というのであれば、確かに積み重ねて培われた物なのだろうけれど、今の俺にはあまり必要ないもののように思えてしまう。
例えば、俺が失った記憶を取り戻したいと強く願うならばその為のプロセスや努力は必要だ。でも、なぜか俺はそれを求めていない。逆に今の何の柵もない環境が心地よく思えてしまう程だ。この考え方は異常なのだろうか…。
鈴木という医者は困っている事はないかと聞いた。答えはノーだ。だから、今日のようなカウンセリングが続くのならば俺には必要ないのではないか?
俺は俺だ。今を生きて、敦賀蓮を演じる。演じる事で何か見えてくるものが有ればいい。無ければないでも構わない。今の俺は多くを求めてはいないと思う。ただ、自分であり続ける事。それと彼女を守る事。それさえ出来ればいい。そして、その為には多分俺は死をも厭わない。