「お姉様ぁっ!」
母屋の玄関に入ると嬉しそうに駆け寄ってくるマリア。そのままの勢いでマリアはキョーコに抱き着く。

「お姉様、お姉様はマリアが選んだ服を着てくださったんですのね?」
「えっ?これマリアちゃんが選んでくれたの?」
「ええ、そうですわ。全部じゃありませんけど、幾つかお姉様に似合いそうな物を入れさせていただきましたの。でも、真っ先にこのワンピースを選んで下さるなんて、マリアは嬉しくて、嬉しくて…」
涙目になるマリアにキョーコは目線を合わせて「ありがとう。私もこのワンピース凄く気に入ったの。マリアちゃんが私の為に用意してくれたんだ、これからも大事にするね?」
にっこり笑ってもう一度マリアを抱きしめる。マリアは満足そうに頷いて蓮を見る。
「蓮様はやはり何を着ても絵になりますのね。」と言ったすぐに少し頬に朱が混じる。この子は本当に小学生なのかとその場にいた大人達はみな突っ込みたくなるのを理性で抑え込んだ。

後ろからローリーの声がする。
「やぁ、よく来たね二人とも。さぁ、食事にしよう。今日は堅苦しくないメニューだそうだからあまり緊張せずに気楽にやってくれ。」
「「はい、ご招待をありがとうございます。」」
「いやなに、マリア、お前達と食事がしたいと言うから誘ってみただけだ。お陰でマリアもご機嫌だよ、ありがとう。」
「「はい」」
「マリア、そろそろ食事にしよう。二人を席に案内してやってくれ。俺はちょっとだけ遅れるがすぐに戻る。」
「解りましたは、お祖父様。さ、蓮様、お姉様、今夜はこちらでお席を御用意しております、どうぞ。」

小さなナビゲーターは二人をにこやかに案内する。蓮はキョーコの手を取り、キョーコは素直に蓮に続いていく。

テーブルにつくと程なくローリーも現れて食事が始まった。