ローリーに言われてなんとか立ち上がった蓮だったが、自分でも不思議なほどに最初の一歩が踏み出せない。その事に蓮の中でどんどんと焦燥感だけが膨らんでいく。『俺はなんで動けない?何が俺を縛るんだ?』足だけでなく動きにくくなっている頭で必死に答えを探すが、見つけられる気がしない。余計に困惑して立ち尽くす。
そんな思考の坩堝にはまっていると、くっと服の裾を引っ張られる感触に蓮自身も現実に引き戻された。引っ張られているところを振り替えればそこには小さな、でも女性らしい手があって、その元をたどればキョーコの笑顔に出会った。それだけで今まで蓮を支配していた不の感情が無惨する。
「敦賀さん、私はここにいてもいいですか?」と少し不安げにといかけられる。
「…えっ?」
「いえ、あの、ご迷惑…じゃないですか?」
蓮はキョーコに向き直り、その頭をポンポンと撫でてやる。そして屈んでキョーコの目の高さまで降りて聞く。
「待っててくれり?」
「はい」と、また破壊力絶大な笑顔で即答され、蓮は思わずキョーコをこのまま連れ去りい衝動にかられるが、ここは我慢だと自分に言い聞かせる。
「敦賀さん、私、私、待ってますから、早く帰って来てくださいね。」そういうと自分の台詞が恥ずかしかったのか視線を落として頬を赤くしている。
『君はまたそうやって俺の理性を試しているのかっ!?』と叫びたくなる蓮がいる。それもなんとか我慢して頭を撫でるだけに留める。
「それじゃ、行ってくるよ。」
蓮はそういうと今度はすっと立ち上がり背を向けて歩き始める。「行ってらっしゃい」と聞こえるキョーコの声に振り向かずに右手をひらひらと振って、ローリーに付いて部屋を後にした。キョーコは蓮達が出ていった今は閉ざされた扉を見ながらニコニコしている。その光景を目の当たりにした社も奏江も呆気にとられていた。
『今の何?』社も目だけで奏江に訴える。『知りませんよ、もぉっ!』と奏江も視線を返す。二人ともなぜか口の中がやたらざらざらと甘ったるい。
『それにしても恐ろしいわねぇ、この子。あの顔だけへたれ俳優をあんな些細な事でちゃんと敦賀蓮にしちゃうんだから…。』
奏江はこのキョーコの天然たらしぶりの恐怖を感じるのだった。
そんな思考の坩堝にはまっていると、くっと服の裾を引っ張られる感触に蓮自身も現実に引き戻された。引っ張られているところを振り替えればそこには小さな、でも女性らしい手があって、その元をたどればキョーコの笑顔に出会った。それだけで今まで蓮を支配していた不の感情が無惨する。
「敦賀さん、私はここにいてもいいですか?」と少し不安げにといかけられる。
「…えっ?」
「いえ、あの、ご迷惑…じゃないですか?」
蓮はキョーコに向き直り、その頭をポンポンと撫でてやる。そして屈んでキョーコの目の高さまで降りて聞く。
「待っててくれり?」
「はい」と、また破壊力絶大な笑顔で即答され、蓮は思わずキョーコをこのまま連れ去りい衝動にかられるが、ここは我慢だと自分に言い聞かせる。
「敦賀さん、私、私、待ってますから、早く帰って来てくださいね。」そういうと自分の台詞が恥ずかしかったのか視線を落として頬を赤くしている。
『君はまたそうやって俺の理性を試しているのかっ!?』と叫びたくなる蓮がいる。それもなんとか我慢して頭を撫でるだけに留める。
「それじゃ、行ってくるよ。」
蓮はそういうと今度はすっと立ち上がり背を向けて歩き始める。「行ってらっしゃい」と聞こえるキョーコの声に振り向かずに右手をひらひらと振って、ローリーに付いて部屋を後にした。キョーコは蓮達が出ていった今は閉ざされた扉を見ながらニコニコしている。その光景を目の当たりにした社も奏江も呆気にとられていた。
『今の何?』社も目だけで奏江に訴える。『知りませんよ、もぉっ!』と奏江も視線を返す。二人ともなぜか口の中がやたらざらざらと甘ったるい。
『それにしても恐ろしいわねぇ、この子。あの顔だけへたれ俳優をあんな些細な事でちゃんと敦賀蓮にしちゃうんだから…。』
奏江はこのキョーコの天然たらしぶりの恐怖を感じるのだった。