サイド奏江
目の前で繰り広げられるいちゃラブな光景にふと考えが浮かぶ。社長がこの子を連れ帰るのに反対した理由、敦賀さんなのかもしれない。この子の意識が私に移った途端に敦賀さんの表情が変わってしまったものね。一瞬、私は『勝った』と心の中でガッツポーズしちゃったくらいに。敦賀さんからこの子を取り上げると敦賀さんが危ないのかも…?
えっ、まさか…。天下の敦賀蓮よ。芸能界一いい男、抱かれたい男性No.1の敦賀蓮よっ。そんな事あり得ないでしょ?
「君の考えた通りだよ。今の蓮は最上くんがいないと自分を保てなくなるんだ。極度の最上くん依存症だね。」
多分私は変な顔で考え込んでいたんだと思う。近づいてきた社長が私にだけそう告げた。
「えっ…、でも、天下の…。」
「今の蓮に肩書きはない。今は全てを失ったただの男だ。蓮を支えているのは最上くんとの関わりだけなんだ。母親を唯一無二の存在と思っているヒナ同然なんだよ。」
にわかには信じ難い。でも、一心にキョーコを見つめ、キョーコだけを求める敦賀さんは今までの私が関わってきた彼とはやはり別人で、一見穏やかで以前同様の温厚紳士なんだけれど、言われてみればいつも視線をキョーコに向け、キョーコを追い、キョーコに触れていようとする。キョーコが離れると途端に表情が固くなり、動きまでも鈍くなる。
以前はキョーコに関わる全ての者に嫉妬して男女問わずにけんせいしていた。私もよく牽制されたくちだ。でも今は違うように見える。あの子のいない世界が怖いのだと、全身全霊で訴えている。どうしてそんなことになったのかは解らない。でも、この状況は異常で、危険だという事だけは解る。いったいこれからどうなっていくんだろう、この二人…。
目の前で繰り広げられるいちゃラブな光景にふと考えが浮かぶ。社長がこの子を連れ帰るのに反対した理由、敦賀さんなのかもしれない。この子の意識が私に移った途端に敦賀さんの表情が変わってしまったものね。一瞬、私は『勝った』と心の中でガッツポーズしちゃったくらいに。敦賀さんからこの子を取り上げると敦賀さんが危ないのかも…?
えっ、まさか…。天下の敦賀蓮よ。芸能界一いい男、抱かれたい男性No.1の敦賀蓮よっ。そんな事あり得ないでしょ?
「君の考えた通りだよ。今の蓮は最上くんがいないと自分を保てなくなるんだ。極度の最上くん依存症だね。」
多分私は変な顔で考え込んでいたんだと思う。近づいてきた社長が私にだけそう告げた。
「えっ…、でも、天下の…。」
「今の蓮に肩書きはない。今は全てを失ったただの男だ。蓮を支えているのは最上くんとの関わりだけなんだ。母親を唯一無二の存在と思っているヒナ同然なんだよ。」
にわかには信じ難い。でも、一心にキョーコを見つめ、キョーコだけを求める敦賀さんは今までの私が関わってきた彼とはやはり別人で、一見穏やかで以前同様の温厚紳士なんだけれど、言われてみればいつも視線をキョーコに向け、キョーコを追い、キョーコに触れていようとする。キョーコが離れると途端に表情が固くなり、動きまでも鈍くなる。
以前はキョーコに関わる全ての者に嫉妬して男女問わずにけんせいしていた。私もよく牽制されたくちだ。でも今は違うように見える。あの子のいない世界が怖いのだと、全身全霊で訴えている。どうしてそんなことになったのかは解らない。でも、この状況は異常で、危険だという事だけは解る。いったいこれからどうなっていくんだろう、この二人…。