サイド奏江
そうこうしているうちにキョーコの点滴が終わり、針を抜いたのでキョーコは起き上がってベッドに腰かけている。敦賀さんはまだ床にへたりこんだままだ。
「ちょっとあんた、さっき私の事『モー子』って呼んだわよね?なんでよ?なんなのその名前?」
「えっ?だってモー子さんさっきからずっとモーモー言ってるから…。(笑)」
キョーコと出会った頃、この子が私につけたあだ名『モー子』をまた同じ理由で同じこの子につけられてしまった。私をこの名前で呼ぶのはこの子一人。だから私はもう二度と『モー子』と呼ばれる事はないのかも知れないと思っていた。だから、私は嬉しくて目頭が少し熱くなった。
全てを失ってもこの子はちゃんとこの子として今を生きている。そして私もいる。その事実が全てのように思えた。以前はこの子が私の『親友第一号』の名乗りをあげた。今度は私から名乗りをあげさせてもらうわ。そして、頼れる相棒の座を勝ち得てみせる。
「そんな変な名前で呼ばないでよねっ!」
「えぇっっ(泣)モー子さぁん(泣)」
「はいはい、解った、解ったから抱きついて泣くのも却下っ!」
「それもダメなの?」なんで思いっきり涙目になるかなぁ…。
「ほら、あんたに手を離された顔だけへたれ俳優が寂しくて死にかけのウサギみたいよっもぉっ!」
そう言ってキョーコの背中を押して敦賀さんの方へ追いやる。キョーコが項垂れる敦賀さんの頭に手を触れると、敦賀さんの体がビクッと跳ねて、ゆっくり持ち上げられたその端整な顔がキョーコを視野に捕らえると一瞬で笑み崩れた。周りで見ていても恥ずかしくなるほどに可愛いと思ってしまうほどに…。
そうこうしているうちにキョーコの点滴が終わり、針を抜いたのでキョーコは起き上がってベッドに腰かけている。敦賀さんはまだ床にへたりこんだままだ。
「ちょっとあんた、さっき私の事『モー子』って呼んだわよね?なんでよ?なんなのその名前?」
「えっ?だってモー子さんさっきからずっとモーモー言ってるから…。(笑)」
キョーコと出会った頃、この子が私につけたあだ名『モー子』をまた同じ理由で同じこの子につけられてしまった。私をこの名前で呼ぶのはこの子一人。だから私はもう二度と『モー子』と呼ばれる事はないのかも知れないと思っていた。だから、私は嬉しくて目頭が少し熱くなった。
全てを失ってもこの子はちゃんとこの子として今を生きている。そして私もいる。その事実が全てのように思えた。以前はこの子が私の『親友第一号』の名乗りをあげた。今度は私から名乗りをあげさせてもらうわ。そして、頼れる相棒の座を勝ち得てみせる。
「そんな変な名前で呼ばないでよねっ!」
「えぇっっ(泣)モー子さぁん(泣)」
「はいはい、解った、解ったから抱きついて泣くのも却下っ!」
「それもダメなの?」なんで思いっきり涙目になるかなぁ…。
「ほら、あんたに手を離された顔だけへたれ俳優が寂しくて死にかけのウサギみたいよっもぉっ!」
そう言ってキョーコの背中を押して敦賀さんの方へ追いやる。キョーコが項垂れる敦賀さんの頭に手を触れると、敦賀さんの体がビクッと跳ねて、ゆっくり持ち上げられたその端整な顔がキョーコを視野に捕らえると一瞬で笑み崩れた。周りで見ていても恥ずかしくなるほどに可愛いと思ってしまうほどに…。