サイドキョーコ
「ねぇ、京子さん、どうした?」俯いたままの私に敦賀さんが私を怖がらせないように精一杯優しい話し方で話しかけてくれる。安心させる為に腕の中に納めようとしてくれる。どうして?どうしてあなたはそんなに穏やかで大人な対応ができちゃうんですか?失ったものはあなただって沢山あるはずなのに…。事故からの3日間、ずっと私の傍にいて、傘になって壁になって、私を守ってくれる優しい人。あなたといると安心できるし怖くない。でも、私の居場所が本当にここなのか解らなくなるんです。私はあなたの足手まといにしかならないじゃないですか…。その腕にまた甘えちゃったら、もう私は一人で立ち上がれないような気がして、怖い。だから、甘えちゃだめなんです。もう、お願いだから優しくしないで…。
「私がこの3日間に出来た事といえば、泣く事と怯える事くらいで…」
あれ?なんで涙が出るの?泣いちゃだめっ!もう沢山泣いたでしょ。その度敦賀さんを困らせてるじゃない。これ以上敦賀さんの足手まといになりたくないのに…。
敦賀さんが何か言っている。でも、少しずつ声が遠くなる。視界が狭いのは泣いているせいかな。段々身体に力が入らない。肩を引かれて上体が傾いていくのに力を入れる事も抵抗することもできない。ただ落ちていく感じ。未だに涙が止まらない。自分の嗚咽だけが身体を震わしている。怖い、苦しい。…息が…息が出来ない。
助けて!助けて!誰か助けて!
敦賀さん!助けて下さいっ!
多分この辺りで意識を手放したんだと思う。次に気づいたらベッドの上で、白い天井に白い壁。左の腕には点滴が入っていた。右手に温もりを感じて視線を移せば大きくて綺麗に整った手が私の手を包んでくれていて、そのすぐ傍で端整な顔が眠っていた。
「ねぇ、京子さん、どうした?」俯いたままの私に敦賀さんが私を怖がらせないように精一杯優しい話し方で話しかけてくれる。安心させる為に腕の中に納めようとしてくれる。どうして?どうしてあなたはそんなに穏やかで大人な対応ができちゃうんですか?失ったものはあなただって沢山あるはずなのに…。事故からの3日間、ずっと私の傍にいて、傘になって壁になって、私を守ってくれる優しい人。あなたといると安心できるし怖くない。でも、私の居場所が本当にここなのか解らなくなるんです。私はあなたの足手まといにしかならないじゃないですか…。その腕にまた甘えちゃったら、もう私は一人で立ち上がれないような気がして、怖い。だから、甘えちゃだめなんです。もう、お願いだから優しくしないで…。
「私がこの3日間に出来た事といえば、泣く事と怯える事くらいで…」
あれ?なんで涙が出るの?泣いちゃだめっ!もう沢山泣いたでしょ。その度敦賀さんを困らせてるじゃない。これ以上敦賀さんの足手まといになりたくないのに…。
敦賀さんが何か言っている。でも、少しずつ声が遠くなる。視界が狭いのは泣いているせいかな。段々身体に力が入らない。肩を引かれて上体が傾いていくのに力を入れる事も抵抗することもできない。ただ落ちていく感じ。未だに涙が止まらない。自分の嗚咽だけが身体を震わしている。怖い、苦しい。…息が…息が出来ない。
助けて!助けて!誰か助けて!
敦賀さん!助けて下さいっ!
多分この辺りで意識を手放したんだと思う。次に気づいたらベッドの上で、白い天井に白い壁。左の腕には点滴が入っていた。右手に温もりを感じて視線を移せば大きくて綺麗に整った手が私の手を包んでくれていて、そのすぐ傍で端整な顔が眠っていた。