サイド蓮
「お休みなさい」とキッチンを出ていく京子さんの背中を見送っていた。なんだか可愛いなぁ思いながら。なのに、彼女の姿が視野から消えると一気に不安が押し寄せてきた。『怖い』…、不安は恐怖に変わって俺を追い詰める。俺は彼女の背中を追ってキッチンを出た。京子さんはちょうど自室の扉を開けて入ろうとしているところだった。
「京子さん?」出た声は自分でも驚くほどに掠れて小さな声だった。それでも京子さんを止めるには充分で、彼女は俺に振り返って「はい?」と首を傾げている。
「…、いやあの…。」俺は近づきながらも伝えるべき言葉が見つからずに戸惑う。
「敦賀さん、どうされましたか?」
「いや、大した用事がある訳じゃないんだけど…ね。」
「変な敦賀さん(笑)それじゃ、お休みなさい」
また破壊力絶大の笑顔でそういうと一度閉めた扉をもう一度開けて部屋へ入ろうと動き出す。
俺はその背中がまた視野から消えてしまうと思った刹那、彼女を後ろから抱き寄せて彼女の肩に顔を埋めてしまっていた。
彼女の体が一瞬大きく跳ねて、その後は微かに震えているのが解る。怖がらせてしまっただろうか。何か言わなければ。彼女を怖がらせなくてすむ言葉を…。
「こうするとなんだか落ち着くんだよ。凄く暖かくて懐かしくて、いい匂いがする…」
「…、私も敦賀さんの暖かさや匂い、大好きですよ?」
そう言いながら肩の上にある俺の頭をゆっくり撫でてくれる。彼女の身体の震えは止まっているようなのに、まだ震える感触がある…、何が?震えてるのは…俺…だった。
「一緒に寝ようか?」
「…はい」
そのまま京子さんを部屋に招き入れ、二人で使っても広すぎる程の大きなベッドに入った。大きなベッドで少し距離を空けて寝転がる。俺は彼女の方に身体を向けて折り曲げた手の上に頭を置いて、彼女は大きな枕を抱えてこちらに身体を向けて横になった。俺が京子さんを少し見下ろす形になる。眠い目を一生懸命開けようとしている彼女の表情に笑み崩れながらゆっくり頭をなでえやれば安心したようにその瞼がゆっくり閉じられる。そしてほんの数瞬で規則正しい寝息が聞こえてくる。俺は目を閉じてその寝息を心地よく聞いていた。でも、それもほんの少しの時間しか味わえながった。すぐに心地いい眠りが俺に訪れたからだ。
「お休みなさい」とキッチンを出ていく京子さんの背中を見送っていた。なんだか可愛いなぁ思いながら。なのに、彼女の姿が視野から消えると一気に不安が押し寄せてきた。『怖い』…、不安は恐怖に変わって俺を追い詰める。俺は彼女の背中を追ってキッチンを出た。京子さんはちょうど自室の扉を開けて入ろうとしているところだった。
「京子さん?」出た声は自分でも驚くほどに掠れて小さな声だった。それでも京子さんを止めるには充分で、彼女は俺に振り返って「はい?」と首を傾げている。
「…、いやあの…。」俺は近づきながらも伝えるべき言葉が見つからずに戸惑う。
「敦賀さん、どうされましたか?」
「いや、大した用事がある訳じゃないんだけど…ね。」
「変な敦賀さん(笑)それじゃ、お休みなさい」
また破壊力絶大の笑顔でそういうと一度閉めた扉をもう一度開けて部屋へ入ろうと動き出す。
俺はその背中がまた視野から消えてしまうと思った刹那、彼女を後ろから抱き寄せて彼女の肩に顔を埋めてしまっていた。
彼女の体が一瞬大きく跳ねて、その後は微かに震えているのが解る。怖がらせてしまっただろうか。何か言わなければ。彼女を怖がらせなくてすむ言葉を…。
「こうするとなんだか落ち着くんだよ。凄く暖かくて懐かしくて、いい匂いがする…」
「…、私も敦賀さんの暖かさや匂い、大好きですよ?」
そう言いながら肩の上にある俺の頭をゆっくり撫でてくれる。彼女の身体の震えは止まっているようなのに、まだ震える感触がある…、何が?震えてるのは…俺…だった。
「一緒に寝ようか?」
「…はい」
そのまま京子さんを部屋に招き入れ、二人で使っても広すぎる程の大きなベッドに入った。大きなベッドで少し距離を空けて寝転がる。俺は彼女の方に身体を向けて折り曲げた手の上に頭を置いて、彼女は大きな枕を抱えてこちらに身体を向けて横になった。俺が京子さんを少し見下ろす形になる。眠い目を一生懸命開けようとしている彼女の表情に笑み崩れながらゆっくり頭をなでえやれば安心したようにその瞼がゆっくり閉じられる。そしてほんの数瞬で規則正しい寝息が聞こえてくる。俺は目を閉じてその寝息を心地よく聞いていた。でも、それもほんの少しの時間しか味わえながった。すぐに心地いい眠りが俺に訪れたからだ。