キョーコがゲストハウスに戻ると蓮はまだ戻ってないようだった。多分社長と今後の事を話しているのだろうと思うと、キョーコは面倒な事や交渉事を昨日から全部蓮に任せっきりになっている事に気づき、申し訳ないと思いながら自分の弱さを感じてしまった。
「はぁ、ダメだなぁ。病室で目をさましてからずっと敦賀さんの背中に隠れて、全部敦賀さんに頼りきっちゃってる。記憶をなくす前の私もこんなに弱かったのかしら。そうだったら嫌だ。強くなるのよ、私っ!」
リビングのソファの端っこに座って、誰にいうでもなくそう呟いた。
玄関でガチャっと鍵があく音、続いて扉が開く音がした。それまで自己嫌悪に落ちていきそうだったキョーコはその音に弾かれたようにソファから立ち上がり、玄関に駆け出した、満面の笑みを浮かべて。
蓮はゲストハウスの玄関に女性ものの靴を見つけて安心した。『よかった。今夜はマリアちゃんのところでお泊まりとかだとどうしようかと思ったんだよなぁ。』
靴を脱ぎ、その女性ものの靴の横に並べて置いて、廊下を進もうとした時に、リビングからパタパタという足音が聞こえ、扉が開くと、満面の笑みを浮かべたキョーコが「お帰りなさい、敦賀さん。」と駆け寄ってくる。そのキョーコの行動だけで蓮はさっきローリーと話をしていた時に感じていた不安も恐怖も、霧散していくのを実感する。心の中では子供のようにはしゃいでいるのだが、そんな本音をオクビにも出さず、「やぁ、ただいま」と小さくつぶやく。「帰ってくるの早かったんだね、マリアちゃんと楽しめた?」そう聞くと「はい、すごいんですよ、彼女の部屋わ!」と本当に楽しそうに話し始める。蓮に続いてリビングに向かいながらマリアの部屋にあったお姫様仕様の家具や小物、そして天蓋つきのベッドの話を、目をキラキラさせながら話している。その楽しそうな表情に蓮も気持ちがフワフワしてくる。ゆっくりとソファに腰を下ろすとキョーコが「お茶いれますね?」とキッチンへ行った。不意に目の前からキョーコが居なくなった事で、さっき霧散したはずの不安と恐怖がまた蓮を襲った。蓮は慌ててキョーコを追いかけてキッチンへ向かった。キョーコは足音に振り返り、そこにいた蓮の切羽詰まった顔に驚いて目を見開いた。それでも、極力柔らかく「敦賀さん、どうしたんですか?」と首を傾げてみせる。
「えっ!」蓮は驚いて、自分の失態に段々恥ずかしくなってしまった。
「はぁ、ダメだなぁ。病室で目をさましてからずっと敦賀さんの背中に隠れて、全部敦賀さんに頼りきっちゃってる。記憶をなくす前の私もこんなに弱かったのかしら。そうだったら嫌だ。強くなるのよ、私っ!」
リビングのソファの端っこに座って、誰にいうでもなくそう呟いた。
玄関でガチャっと鍵があく音、続いて扉が開く音がした。それまで自己嫌悪に落ちていきそうだったキョーコはその音に弾かれたようにソファから立ち上がり、玄関に駆け出した、満面の笑みを浮かべて。
蓮はゲストハウスの玄関に女性ものの靴を見つけて安心した。『よかった。今夜はマリアちゃんのところでお泊まりとかだとどうしようかと思ったんだよなぁ。』
靴を脱ぎ、その女性ものの靴の横に並べて置いて、廊下を進もうとした時に、リビングからパタパタという足音が聞こえ、扉が開くと、満面の笑みを浮かべたキョーコが「お帰りなさい、敦賀さん。」と駆け寄ってくる。そのキョーコの行動だけで蓮はさっきローリーと話をしていた時に感じていた不安も恐怖も、霧散していくのを実感する。心の中では子供のようにはしゃいでいるのだが、そんな本音をオクビにも出さず、「やぁ、ただいま」と小さくつぶやく。「帰ってくるの早かったんだね、マリアちゃんと楽しめた?」そう聞くと「はい、すごいんですよ、彼女の部屋わ!」と本当に楽しそうに話し始める。蓮に続いてリビングに向かいながらマリアの部屋にあったお姫様仕様の家具や小物、そして天蓋つきのベッドの話を、目をキラキラさせながら話している。その楽しそうな表情に蓮も気持ちがフワフワしてくる。ゆっくりとソファに腰を下ろすとキョーコが「お茶いれますね?」とキッチンへ行った。不意に目の前からキョーコが居なくなった事で、さっき霧散したはずの不安と恐怖がまた蓮を襲った。蓮は慌ててキョーコを追いかけてキッチンへ向かった。キョーコは足音に振り返り、そこにいた蓮の切羽詰まった顔に驚いて目を見開いた。それでも、極力柔らかく「敦賀さん、どうしたんですか?」と首を傾げてみせる。
「えっ!」蓮は驚いて、自分の失態に段々恥ずかしくなってしまった。